「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

Jリーグ60クラブ時代、各クラブは何を目指して20年、30年やっていくのか?

2023年12月17日 16時53分15秒 | Jリーグ・三大タイトル
2023年の日本のサッカーシーンも終わり、年明け1月1日に行われる日本代表のテストマッチ・タイ戦を待っているところです。

2023年シーズンのJリーグ3大タイトルは、リーグが神戸、ルヴァンを福岡、天皇杯を川崎Fが分け合うという、近年にない顔ぶれとなりました。

30年の歩みを重ねたJリーグも、最初の10年、次の10年、そして直近の10年と、少しづつリーグの「顔」が変わっていることを感じます。

またカテゴリーも、J1、J2、J3と増えて、クラブ数もいつの間にか60クラブになりました。Jリーグの野々村チェアマンによると、これからも入りたいと思っているクラブが20~40もあるといいますから驚きです。

世界各国リーグのほとんどが、一つのカテゴリーのクラブ数を20以内にしていますから、増えていくたびカテゴリーがJ4、J5と増えていくことになると思います。日本のプロサッカーが4部リーグにもなるなんて、ちょっと想像を超えた増え具合です。

野々村チェアマンは「これ、すごいと思うんですよ。ある意味、大成功です。」と地域の盛り上がりを評価していますが、当・夢追い人は、地域の盛り上がりが20年、30年と長続きするのかどうか、よく確かめたい気持ちになっています。

どこの地域も、地元にプロサッカークラブを立ち上げようという時期は、数年間は大きな熱量をもって支援し、応援し、支えようという機運が続きます。

問題は、そのあとです。クラブが何を目指し、地域が何を目指すのか、そこがしっかりしていないと決して長続きはしないと思います。

プロスポーツという産業は、勝ち負けによってクラブの収益も、地域の関心度も大きく変動する難しい産業です。

けれども「だから仕方がない」「負けが込めば落ちるしかない」というところで思考を止めているとクラブの持続的、長期的存続も危うくなるというわけです。

Jリーグがこれほど多くのクラブの参入を可能にしたのは、プロ野球のような「興行主義」「12球団維持」というビジネスモデルを採用せず「地域密着主義」「カテゴリー数増加によるクラブ数拡大」というビジネスモデルを採用したからです。

30年前のこの選択は、日本において新たなプロスポーツが根付くためには、どのようなモデルがいいのか、という手探りの中で、プロサッカー先進国である欧州各国リーグのあり方をモデルにしようという思いが原点となっています。

そこには「地方の小さな都市にも歴史あるプロサッカークラブが根付いていて、そのクラブは地域みんなの宝物、いわば地域の公共財になっている。それこそが日本が目指すべき姿」という強い信念がありました。

30年後の現在、日本の社会におけるプロサッカークラブを取り巻く環境は、いろいろな意味で大きく変わってきました。

その変化の主なものとして、
一つは、日本の社会全体が少子高齢化、地方の衰退の進行など、いろいろな社会課題を抱える社会になっていること。

二つ目には、人々の興味、関心、嗜好といったものが、氾濫する情報の中で、ますます多様化、細分化、個人化していること。

三つ目は、プロスポーツビジネスが、社会において一定のマーケットをとれる状況とみて、バスケットボール、バレーボール、ラグビーなどが次々とプロリーグを立ち上げ、いわば競合他社が一気に増えてきていること。
があげられます。

こうした環境変化の中で、プロサッカークラブ経営を、これまでと同じ考え方、同じビジネスモデルだけでやっていこうとすると、他のプロスポーツとの競合の中で相対的に埋没してしまったり、地域が抱える社会課題に対応できず、地域から評価されないクラブに陥ってしまう可能性が出てきているわけです。

その一方、プロサッカークラブの経営にとって、厳しいことばかりではなく、うまく取り込んでいければ、持続的なクラブ経営が見通せる材料も出てきています。

例えば、少子高齢化の状況は、いわば元気な高齢者が年々拡大再生産されていることになり、健康志向、スポーツ志向の高まりも留まるところを知らない状況を作り出しています。

また、サッカーの世界は、ワールドワイドな世界で、小さな町のクラブに超有名なサッカー選手を呼ぶことも可能なことから、それが、その町と選手の出身国との交流のキッカケを作ることがあるとともに、アジアの国々が日本のJリーグに強い憧れや目標意識をもっている状況もあります。

さらには、近年のさまざまな情報通信技術やテクノロジーの進歩によって、これまでとはまったく違ったツールを経営に取り込むことが可能になり、それをクラブ経営の新たな武器にできるといった状況になっています。

Jリーグ30年を経て勢揃いした60のクラブには、60の経営があります。中にはメガクラブ、ビッグクラブと言われて、クラブの年間予算が100億円超ものクラブもあれば、年間予算僅か数億円といったミニクラブもあります。

では、数億円のミニクラブが将来のないお寒いクラブなのかと言えば、断じてそうではないところがプロサッカークラブ経営の魅力でもあり、資金豊富なクラブといえども、20年先、30年先まで安泰なのかと言えば、断じてそうではないところがプロサッカークラブ経営の難しさだと思います。

そのような中、60ものプロサッカークラブに共通して言える「心しておかなければならないこと」を述べてみたいと思います。

まずプロサッカークラブの経営を、持続的、発展的な軌道に乗せ続けるために何が必要かという点です。それは、先に申し上げたような「社会におけるプロサッカークラブを取り巻く環境変化」を的確に捉えて、それをクラブ経営の変革・革新につなげるクラブとしての「自己革新力」が必須であるということです。

クラブの中には経営母体となる親会社があって、クラブ経営者は親会社から来るといったタイプのクラブもあることでしょう。また別のクラブは地域の中小の熱心なスポンサー企業に支えられて、その関係者がクラブ経営を担っているというケースもあるでしょう。

大切なのは、どこから来た経営者なのかではなく、クラブとして「自己革新力」がある経営ができるかどうかなのです。

その意味で、プロスポーツ業界が、ここ10年ぐらいの間に劇的に変化したと思うのは、トップリーダーが次々と若返っていることで、なぜ若返っているかというと、カテゴリーが上位になればなるほど「自己革新力」のある経営をやっていかないと、次代に生き残れないという強い危機感をもっているからだと思います。

そのいい例がJリーグチェアマンです。前任の村井満チェアマンは8年間の在任中、革新的な経営でJリーグの財政基盤を確固たるものにした、いわば中興の祖とも言うべき功労者の方ですが、その村井チェアマンが、2022年、後任に野々村芳和氏を迎えて勇退しました。

同じようにBリーグ(ジャパン・プロバスケットボールリーグ)チェアマンも、Jリーグ創設の経験を活かしてBリーグ創設に尽力した川淵三郎氏の後任として活躍した大河チェアマンが、在任4年の2020年、後任に島田慎二氏を迎えています。

新チェアマンに共通しているのは、スポーツクラブ経営者として確固たる実績を残し、かつ年齢的にも若く革新的な考えと行動力を備えている、まさに「自己革新力」を持ったリーダーであることです。

さらに、今回、日本サッカー協会が、新会長に46歳の宮本恒靖氏を迎える予定になっています。この人選も、日本サッカー協会が、これからの時代を乗り切っていくため必要な能力と行動力、決断力を備えた人物でなければならないという強い危機感から出た人選であるように感じました。

このように、プロスポーツ業界は「現状維持は退歩を意味する」という厳しい考え方で新陳代謝を繰り返していく業界です。
60クラブの経営者の皆さんも、同じ認識を共有されているとは思いますが、認識が認識だけに終わることのないよう、行動で自己革新を図っていただきたいものです。

さて、チェアマンの交代で話題にしたBリーグですが、そのビジョンも革新的なもので、Jリーグ各クラブがむしろお手本にすべきではないかと思うほどの内容ですので、ぜひご紹介したいと思います。

Bリーグが現在進めているプロジェクトは「B・革新2026」と名付けられたプロジェクトで、2026年から新しいBリーグとしてのレギュレーションをスタートさせる内容となっています。

その考え方や方向性を列挙して見ると、プロスポーツとしては先輩のはずのJリーグが、うっかりしていると置いていかれそうな内容です。

何より刺激的なのが「Jリーグのビジネスモデルからの脱却」です。Bリーグもまずは「地域密着」型をビジネスモデルとしてスタートしたと言います。それを次に「地域愛着型」そして「地域創生型」ビジネスモデルにステップアップさせていくというのです。

以下、島田慎二チェアマンが、これからの地域経済をつくるための祭典「POTLUCK FES’23 -Autumn-」のオープニングセッション「地域密着から地域愛着、そして地域創生へ。Bリーグの「ココロ、たぎる」挑戦。」で講演され、また会場からの質疑応答に応えられた内容を、記事にまとめられたwebメディア「LOCAL LETTER」サイトの河瀬 佳代子氏のレポートから多くを引用してご紹介します。

島田慎二チェアマンによれば「地域で商いをする以上は地域密着が当たり前で、そこから地元の評価が上がって価値も上がり、外部から人を吸引できるレベルにいく状態が地域愛着です。」とのこと、その上で「バスケとその舞台であるアリーナを通して地域を盛り上げ、地域活性化と地域創生に寄与していくレベルを目指すのです」というわけです。

そのために2026年からどういうBリーグにしていくか。
まず、勝敗による昇格降格制は廃止します。一定の事業規模に達したクラブから順にカテゴリー分けをします。

「B.LEAGUE PREMIER(プレミア)」は世界で通用する日本代表の強化、地域活性化のシンボリックな存在になっていくクラブです。
「B.LEAGUE PREMIER(プレミア)」の基準は、平均の入場者数4000人、売上高が12億円、基準を満たすアリーナを保有しているかの3つです。

お客様や事業規模も増やし、我々が目指しているような世界観のアリーナが準備できない場合は、どんなに勝利してもトップカテゴリーには行けません。

次のカテゴリーの「B.LEAGUE ONE(ワン)」は全国の一番クラブ数が多いディビジョンで、一番下の「B.LEAGUE NEXT」は新しいクラブに登竜門として来てもらう役割になります。

事業規模がトップカテゴリーの基準を満たせば、「B.LEAGUE PREMIER(プレミア)」所属のクラブは増える一方ですし、基準を満たすクラブが現れなければ、いつまでも増えません。そこが勝敗あきりではないことの特徴です。

勝敗による昇格降格がなければ、クラブは選手の給料を上げるために稼ぐのではなく、地域のために稼いだ結果、投資できる範囲内で選手に投資する考え方に変えることができます。それが本来のビジネスの在り方であり、そのように変えるべきというのが「B.革新」の本筋です。

まずクラブが地域にとって「勝てなくても存在価値のあるクラブ」になり、地域がクラブ事業に投資ができる仕組みにすることでスポンサー・自治体・商店街等、地域のステークホルダーとの結びつきを強化し、チームの勝敗に依存しないビジネスモデルに転換して息長く繁栄する状況に変えることを目指すのです。

その促進により地域が活性化し、チームの存在価値がさらに上がる。チーム人気が上がると収入も増え、資金が選手に回り始めます。

そのような「B.革新」を成功させるために重要なのは「経営力・社会性・日本代表の強化」です。

「経営力」なくして地域を盛り上げていく活力はないため、クラブの経営力がまずは大切になります。経験ある経営者が地域内にいらっしゃっることに越したことはないですが、外部から呼ぶとなると報酬が高くなります。「資金がないので呼べない→呼べないからクラブが稼げない→稼げないから経営がきつい」というループがずっとありました。

今、Bリーグの成長に期待してくださる経営者が増えM&Aが多く起きています。そのため大企業の資金力を持ってして、いい人材を確保できています。我々が経営者を育成するのは簡単なことではありませんが、Bリーグの可能性を標榜することでM&Aを通じて経営者を変えていくのがトレンドかと思います。

また、スポンサーもいつまでも応援してくれる甘い時代ではないため、地域に必要とされるリーグになるために「社会性」は必須です。
これまでのスポーツ界の経営においてはどこかで無理をしたり、巨額のマネーが入ってこないと成り立たなくなることが通例でしたが、そうではなく身の丈に合った経営にしたいと考えていました。地域経済に負荷がかかりすぎる、極端な値段にしないと観客が会場に来れない、地元がスポンサードしても価値を見いだせないなど、相手にされない構造になってしまうと厳しいです。その点バスケットボールはある程度成長性を保ちながらも地域で支えられるスポーツコンテンツという意味で、ジャストフィットするサイズです。

一方で、地域密着から地域愛着、そして地域創生というと全てを地域で完結するように聞こえてしまうかもしれません。そういうクラブもたくさんあります。現行のB1・B2・B3では下のカテゴリーであればあるほどその要素が強く、上に行くほど地域だけで支えるのみならず外からの投資が起こって動いています。それなりの事業規模でないと戦えないのが実情です。

改革後の最上位カテゴリーになる「B.LEAGUE PREMIER」は、現行のB1よりもさらに一段上のグローバルなスケールのクラブを作り、選手を輩出していきます。資金面では地域だけで完結できなくなってきますので、ナショナルクライアントからの資金、さらに海外からの投資も呼び込んでいきます。

これから、多くの地域が、通年で応援するようなスポーツ好きな人たちを、幾つかのプロスポーツチームが互いに取り合っていく時代になります。

「スポーツ渋滞」といって1つの地域に支えるべきスポーツが多すぎてしまうと、地域で支えることが困難になります。1つの地域にプロスポーツチームがいくつも固まることが本当に必要なのか、考える時期に来ていると思います。

その意味で我々はコンパクトである程度のメジャーであること、競技者人口も若くビジネスの体現を明確に示していて、このスポーツ渋滞の中で勝ち抜くために手を打っています。

規模が大きい所が勝つわけではなく、要はクラブの存在価値です。そこを見誤らないようにしないといけない。野球とサッカーが強くて次をバスケットボールが追いかけているね、という序列にとらわれすぎることがないようにしたい。街おこしのやり方はいくらでもあります。

以上が、webメディア「LOCAL LETTER」サイトの河瀬 佳代子氏のレポートによる、Bリーグ・島田慎二チェアマンのプロジェクトです。
このプロジェクトには、もっと踏み込んだ「Bリーグが目指す5つのコミュニティ」といったプログラムもあります。

60のJリーグクラブは、当然「B・革新」のプログラムを勉強していることと思います。いいところはどんどんパクって欲しいと思います。各種目同士が競争し合う関係になっていく時代ですから・・・。

最後にサッカー界から出されている提言で、印象に残ったものを一つ。さる2021年2月6日放送のテレビ東京「FOOT×BRAIN」に当時「日本サッカー協会・欧州駐在強化担当部長」という肩書で出演された元日本代表、ジュビロ磐田の黄金期メンバーの藤田俊哉氏の提言です。

欧州では、サッカースタジアムの中に立派なラウンジがあり、地域の経済人、ビジネスマンが商談・接待などに普通に利用しています。試合観戦という楽しみとビジネスを結びつけ、食事をとりながらミーティングしているのです。

ここからは当・夢追い人が付け加える提案ですが、日本のスタジアムにもそういうところが出てきましたが、まだこれからです。地域経済のためにも、スタジアム内に商談用ラウンジを併設する動きが加速していけばと思います。

これまでスタジアムにあるラウンジというと、VIPルームのような個室程度のスペースが主流ですが、もっと広い数人程度が会食できるルームを2~3室、現在のスタジアムにも増設できるような建築基準法上の工夫も含めた対応策が欲しいと思います。

建築上の制約を取り除いた上で、すべてのクラブがホームスタジアムに必ず数人程度が会食できるラウンジを2~3室設置することを義務付けるよう進めて欲しいと思います。

仮に公営のスタジアムでも、例えば県の三役さん、部長さんがミーティングの場を設けるニーズがあってもおかしくないと思います。要はビジネス的な使い方を欧州では普通にやっているというわけです。

【ここからの部分は2024年1月16日に加筆しました】
さる2015年5月15日に放送されたテレビ東京のサッカー番組「FOOT×BRAIN」に、当時、川崎Fのプロモーション部長をされていた天野春果部長が招かれ、ホームスタジアムの等々力競技場の改修計画で実現した、さまざまなプランを紹介していました。

川崎市という公営のスタジアム、等々力緑地公園という都市公園法の規制を受けるところに立地している制約、さらには一般的な制約である建築基準法上の制約に縛られながら「じゃあ、あきらめるしかない」というスタンスではなく「その制約の中でできる最大限のことをやる」というスタンスで行った改修計画で「スカイテラス」という部屋は、まさに商談が可能なラウンジといったコンセプトのようです。

また「ファミリーシート」といって、ちょうどお花見の時に敷く大家族用のシートの大きさぐらいの席を作り、観戦に集中できない乳幼児連れのご家族の利便を図る席も作ったようです。

天野部長という方は、川崎Fが地域密着のお手本クラブと評されるぐらいになった、さまざまな仕掛けを打ち出した原動力となった方で、昨年12月22日に開催された今季限りでの退職をねぎらうかわさきFM主催のトークイベント「アマトーーク FINAL」には、天野氏の貢献を知る850人の参加者が集ったそうです。

他のクラブから見れば「ああいう人がいたから出来たこと」という見方もあると思いますし、また、我がスタジアムもとっくにそうしています、というクラブも多いかも知れません。とはいえ全部で60にも増えたクラブです。まだまだだと思い書き足しました。

では、また。














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ザッケローニがいた国立競技場、天皇杯決勝、3日前内部見学しましたので臨場感がありました。

2023年12月09日 18時30分30秒 | Jリーグ・三大タイトル
本日12月9日、第103回天皇杯サッカー決勝が6万人以上の観衆を集めて国立競技場で行われました。今日の書き込みは試合内容ではなく、3日前に国立競技場を内部見学した関係で、それにまつわるお話です。

やはり実際、競技場に行ったばかりでしたので、テレビ画像を見ていても臨場感を味わうことができて、これまでとは違うテレビ観戦になりました。

あのピッチというのは、外から国立競技場に入った時、エレベーターで地下2階に降りて、あのピッチになっていたのです。

つまり地下2階分、掘り下げてピッチを設けたことがわかりました。選手たちがピッチに出る前に最後のミーティングや気持ちを高める輪を作ったであろうロッカールームにも入りましたので、今日の選手たちの動きがイメージできました。

そして何より、選手たちがピッチに出る直前のスペースに、あのザッケローニ元監督が腕組みをして柱にもたれかかって選手たちを見送っただろうと思うと、貴重な内部見学でした。



ところで、なぜ、あの場所にザッケローニ元監督なのでしょうか? ここにザッケローニ元監督がいるとすれば、他の場所にはジーコ元監督やトルシエ元監督もいるのだろうか?

そう思いながら内部見学を終えましたが、他にいる形跡はありませんでした。どうやらザッケローニ元監督だけのようなのです。

となると、なぜザッケローニ元監督だけが・・・・。

当・夢追い人なりに調べてみましたら、どうやら、前の国立競技場で最後の国際試合となったのが2014年3月6日に行われた日本代表vsニュージーランド代表の試合のようで、ザッケローニ元監督が「もう、この国立競技場とはお別れなのであれば、最後の試合はぜひ日本代表の試合にしたい」と、たっての願いで実現したらしいのです。

日本代表の試合を旧・国立の最後の舞台にしてくれた、いわば旧・国立を愛してくれたザッケローニ元監督の思いを記憶に留めようと作られた像のようです。

今日の決勝を戦ったイレブンだけでなく、日本代表の試合をはじめ多くのサッカーの試合でピッチに向かう選手たちを、ザッケローニ元監督の像は慈愛の眼差しで送り出しているということを知りました。

さて、今日の天皇杯決勝、川崎Fvs柏戦、テレビ観戦していて柏の若さの勢いというのを感じて見ていました。

結果、PK戦にもつれ込んで二転三転、10人目のキッカーで決着しましたが、何が勝負を分けたのか分からないほど拮抗した試合でした。

優勝した川崎Fはこれで、Jリーグ三大タイトルを7年間で7個目、7年間で無冠だったのは2022年の一度だけという記録でした。

まだまだ鹿島の実績には遠く及ばないものの、2021年シーズンまでのメンバーが少なくなり、新しい戦力を底上げや、ケガ人の穴埋めなど、難しいやりくりの中で獲得したタイトルには価値があると思います。

そう言えば、今日の試合、途中投入した小林悠選手を延長後半に下げる采配をした鬼木監督。小林選手は相当悔しかったに違いありません。

普通であれば、家長選手を下げるのではと思いそうですが、例え運動量が落ちてもワンプレーで勝負を決めることができる家長選手は、鬼木監督にとっては外せない選手であり、あらゆる手を尽くして勝ち切るという信念の采配だったと思います。勝負は結果責任。負ければ不協和音の元になりかねない采配でしたが吉と出ました。

おそらく鬼木監督のことですから小林悠選手には、十分なケアを施すことでしょう。

一方の柏はFWの細谷真大選手のように、勢いのある選手が多く、今回タイトルには手が届かなかったものの、いずれタイトルを手にする日が近いように感じたのは、当・夢追い人だけでしょうか。






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川崎Fが鹿島と並ぶ「Jの双璧」になることを強く期待しています。

2022年12月29日 12時04分27秒 | Jリーグ・三大タイトル
2022年カタールW杯が終わり、もはやサッカーカレンダーは新シーズンに向かって歩み出しているようです。

26日(月)には川崎F・鬼木監督の続投が発表されました。そして昨日28日(水)には日本代表・森保監督の続投も発表されました。

当ブログは、鬼木監督の続投が発表されたのは、日本代表・森保監督の続投が固まったのを確認してのことだったと考えています。

スポーツ紙の報道には「他に元ドイツ代表監督のレーブ氏などをピックアップしていた」とだけ載っていて、鬼木監督の名もリストの中にあったのかどうか不明ですが、当ブログはカタール大会前から「もし森保監督が退任する場合には、国内の候補者として鬼木監督に勝る人はいない」という考えでした。

おそらく川崎Fサイドも「鬼木監督への代表監督オファー」の可能性を意識しながら、代表監督人選の行方を見守っていたと思います。

兎にも角にも来シーズンも川崎Fは鬼木監督が指揮をとります。
そうなったからには、今シーズン、残念ながら無冠に終わったタイトル、とりわけリーグ覇者のタイトル奪還に向けて、戦力を整えて欲しいものです。

当ブログが、あえて個別のクラブを名指しして応援するのは、川崎Fの活躍が、単に川崎Fだけではなく、Jリーグ全体にもたらす意味合いが大きいと考えているからです。

すなわち鹿島一強時代から、鹿島・川崎FがJリーグの双璧となる時代に向かって欲しいと願っているからです。Jリーグスタートから30年、鹿島は見事なまでのクラブ運営により、リーグ三大タイトル19冠という圧倒的な地位を築きました。

当ブログは、これまで何度も書いてきましたが、その鹿島と覇を競い合うクラブの存在なくしてJリーグの更なる進化・発展はないと考えてます。

それを川崎Fに期待するという意味です。

鹿島を追うクラブとして他に横浜M、G大阪がありますが、この2クラブへの期待感よりは川崎Fへの期待感が大きいものがあります。

理由は何かと問われれば、川崎Fが辿ってきたクラブの歴史が、それを可能にするのではないかという点です。

川崎Fが辿ってきたクラブの歴史には二つの特筆すべき点があると思います。
一つは「三大タイトルを賭けて戦うチーム力」を着実に積み上げてきた点
もう一つは、クラブ草創期に起きた、一人の選手の選手生命にかかわる危機に適切に対応できなかった反省から出発して、クラブとして「ゆるぎないクラブ運営力」を備えていこうとする連綿たる努力を続けてきた点です。

川崎Fというクラブは、その両面で、他のJリーグクラブの追随を許さない特筆すべきクラブだと感じています。

まず「三大タイトルを賭けて戦うチーム力」を着実に積み上げてきた点ですが、これは、多くの方がご存じのとおり、長い間「シルバーコレクター」と呼ばれるほど、強豪チームではあるもののタイトルは取れない期間を経て、2017年シーズンにリーグ初制覇を果たすと、堰を切ったようにタイトルを重ねるチームに変貌し、わずか5年のうちに8冠を獲得したチームです。

この、長い間のシルバーコレクター時代とその後の常勝軍団への変貌は、覇者の一つの形を持っていると感じているのです。

もう一つ「ゆるぎないクラブ運営力」の面で、当ブログは、長らく川崎Fに問いかけてきた問題があります。

それは、いわゆる「我那覇問題」といわれるものです。
2007年春、当時、川崎Fのエースストライカーだった我那覇和樹選手が「ドーピング疑惑」をかけられた問題です。

この問題は、最終的には国際スポーツ仲裁裁判所(CAS))まで持ち込まれた結果、我那覇選手が無実であることが証明された問題ですが、この時、我那覇選手は所属する川崎Fから十分な支援が得られず、私財を投じて孤独の戦いを続けるという苦難を味わいました。

この問題についてはサッカージャーナリストの木村元彦氏が2011年に「争うは本意ならねど」という著書を上梓されています。
当ブログは、この本を涙なしには読めませんでした。同時に、川崎Fというクラブは一体何をしていたのだろうか、という思いが、ずっと小さなとげのように心の中に突き刺さっていました。
この本の発行元である集英社のURLをお知らせしておきます。
http://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-745835-0

この問題から著書を読むまで10年以上の時が流れました。ですから当初の「川崎Fは一体何をしていたのだろうか」という思いから「川崎Fは我那覇問題を糧に進化したクラブになったのだろうか」という思いに変わりながら、クラブのありようを見ていました。

2019年というと、2017年のリーグ初タイトルから3年連続で三大タイトル獲得を果たし、すっかり強豪クラブになりつつある時期です。その時期だからこそ、どうしても「クラブとして、我那覇問題を乗り越えて、ゆるぎない運営力を備えたクラブになったのかどうか」確認したいと思い続けていました。

そして、最近になって、ようやく「川崎Fは我那覇問題を糧に大変な努力を連綿と積み重ね、いまやJリーグを代表する、あるいはJリーグをリードするクラブ運営力を持ったクラブだ」と確信できる出来事を知りました。

それは、今年、Jリーグチェアマンを勇退された村井前チェアマンが経済誌「プレジデント」誌のインタビューに応えて語った「中村憲剛選手に「Jリーグの努力は甘い」と言われ…村井チェアマンが厳しい言葉に深く感謝した理由」という記事で知ったものです。

それによりますと村井前チェアマンは、2016年9月「スポーツナビ」の企画で中村憲剛選手(元日本代表、川崎フロンターレ)と対談する機会があったそうです。

その席で中村憲剛選手がまるで挨拶がわりのように「チェアマンにぜひ伝えたいことがある」と切り出したそうです。
村井前チェアマンは軽い気持ちで「フロンターレは頑張ってるよね」と応じたら、中村憲剛選手は「誤解を恐れずに言うと、Jリーグの努力は甘いと思うんですよね」と続けたそうです。

さらに「Jリーグは(地域貢献活動を)一応やってはいるものの、非常に形式的なことに終始しているように見えるんです。生意気ながら、本気で体を張ってホームタウン活動をしている僕らの側からすれば、Jリーグがもっとアイデアを出してくれればと思うんですよね」と。

村井前チェアマンはこう感じたそうです。「憲剛選手たちには「チェアマンやリーグに言われようが言われまいが、俺たちはこうやるよ」っていう、自分の人生とか社会とかに対する強烈なオーナーシップを感じたんですよね。それが羨ましくもあり、「ああ俺は何をやってるんだろう」と思いました。」

それをインタビュアーのジャーナリスト・大西康之氏は「(中村憲剛選手そして彼のクラブである川崎Fは)自分の人生と社会に「圧倒的当事者意識」を持っている」と評しました。
村井前チェアマンは、2014年に就任してから、この対談の時期までには、まだ「Jリーグの社会貢献活動、Jリーグチームのホームタウン活動」というものに対する軸が定まっていなかったといいます。

ですから「正直に言うと「Jリーグにできることにも限度がある」とぼんやり考えていた時期だった。強烈なパンチを喰らい、目が覚める思いだった」そうです。

この村井前チェアマンと中村憲剛選手のやりとりのことを紹介している経済誌「プレジデント」誌のインタビューの部分のURLをお知らせしておきます。
https://president.jp/articles/-/63461?page=1

このエピソードを読んで、当ブログは「あぁ、川崎Fは10年以上も我那覇問題を乗り越えるために自問自答を続けながら、ひたすら地域貢献活動に打ち込んで来たんだ」そして「そのレベルはもはや地域貢献について司令塔となるべきJリーグチェアマンに対して、堂々と建言できるほどに進化していたんだ」と実感しました。

これほど強い地域とのつながりは「クラブのゆるぎない運営力」なくして生まれません。当ブログが10数年前の我那覇問題で川崎Fに対して抱いた疑念は晴れ、心に刺さっていた小さいトゲは見事に抜けました。

Jリーグ30年、かすかに残っていた心のわだかまりの一つが消え、晴れ晴れした気持ちになっています。

最後にもう一度繰り返します。川崎Fが辿ってきたクラブの歴史は「三大タイトルを賭けて戦うチーム力」の面と、「ゆるぎないクラブ運営力」の両面で特筆すべきクラブです。

それゆえに鹿島に並ぶ「Jリーグの双璧」と言われる実績を積み上げて欲しいと願うのです。

【ジャーナリストの木村元彦氏の著書「「争うは本意ならねど」」の上梓時期を2019年と記載していましたが、2011年でしたので、2023年1月28日訂正しました】





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清水、磐田そろってJ2降格、静岡からJ1チームが消滅の1年になります。

2022年11月08日 14時22分38秒 | Jリーグ・三大タイトル
J1の日程が終了して、清水、磐田ともJ2降格が決まったそうです。来シーズンは静岡からJ1チームが消滅の1年になります。

両チームとも、すでにJ2降格経験があるチームですから、それが揃って降格と言っても大きな驚きではありませんが「サッカー王国・静岡」という代名詞が通じてきた地域からの消滅は、やはり歴史的なことと言えます。

やはり30年というJリーグの流れの中で、栄枯盛衰の一つの姿ということだと思います。当ブログは、むしろ来シーズンの両チーム、いずれかが1年で戻る反発力を示せるかどうかのほうに関心があります。

これまで何度も書いてきましたが、名門と言われるクラブが往々にしてJ2に指定席を求めています。東京Vしかり、ジェフ千葉しかりです。

清水、磐田には、その点を心配しています。
解説者で磐田OBの山本昌邦さんは、「復活には長期的なロードマップが必要」と指摘しています。すなわち「いつまでにJ1で優勝する、アジアのチャンピオンになるというビジョンだ。他クラブには存在するが、静岡の2クラブからはあまり聞こえない。ロードマップを掲げれば、目標に対して足りないものが見えてくる。」というわけです。

つまりクラブ経営の問題ということでしょうか?
そこにメスが入るかどうか、少しウォッチしていきたいと思います。
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横浜Mリーグ制覇、文句なしの帰結

2022年11月06日 20時14分41秒 | Jリーグ・三大タイトル
昨日、11月5日(土)、今シーズンJ1リーグ、最終34節まで決まらなかった優勝争いは横浜Mが勝利。文句なしの帰結となりました。

リーグ最多の得点力、最小失点の守備力、どれをとっても文句なしという内容です。
クラブの方針、監督の手腕、選手の活躍、いろいろな要因分析は専門家にお任せします。

当ブログは、さる10月13日と16日の書き込みで、32節と33節の間の16日間の休戦、33節と34節の間のカタールW杯日本代表発表という出来事が、横浜M、川崎Fに与える影響について指摘しました。

果たしてかな、16日間の休戦の結果、横浜Mは、それまでの連敗の悪夢からすっすり覚めてチームが元通りになりました。

また最終節、相手の神戸は、エース・大迫勇也選手がカタールW杯日本代表に漏れてしまいモチベーションの維持が難しい状況での試合となりました。

明らかに、16日間の休戦とカタールW杯日本代表発表が、横浜Mに味方しました。これも含めて今シーズンは横浜Mが制覇する運命(さだめ)にあったと言えます。

川崎Fは、最終節まで勝負の行方を延ばしたことで十分健闘しました。けれども、いかんせん戦力的には限界だったと思います。

鬼木監督は6シーズン目にして初めて無冠に終わったそうですが、逆に5シーズン連続でタイトルをとり、うち4シーズンはリーグ制覇、これがもし、今回3連覇できたとすると、6シーズン連続タイトル奪取という、とてつもないことになっていました。

「それは、いくら何でも虫が良すぎます」とサッカーの神様がお止めになったのだと思います。

横浜Mはケビン・マスカット監督が連覇を目指すことに疑いの余地ありません。では川崎Fが、どのように立て直すのか気になります。

あの、目にも留まらぬ高速パスを連続して相手ゴール前を混乱に陥れるサッカーと堅いディフェンスの安定した試合運び、また見られるのか、もう懐かしむだけのことになるのか、です。
やはり前者の川崎Fが戻ってくることを切望して止みません。

さぁ、いよいよカタールW杯です。代表が集まる期間が短く、シーズン的にもイレギュラーな大会期間設定が、一体、どのチームに幸運をもたらすのか、読めない大会とも言えます。

森保監督が掲げた「ベスト8以上、いままで見たことのない風景を見る」目標も、指揮官の不退転の決意としてリスペクトしたいと思います。

私たちは「信じて応援する」。いままでのW杯と同様、この強い気持ちで迎えたいと思います。

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天皇杯優勝の甲府監督退任はやむなしなのか?

2022年10月18日 18時25分50秒 | Jリーグ・三大タイトル
天皇杯優勝の余韻冷めやらぬ翌日、甲府・吉田監督の退任が発表されました。
最初は「どういうこと? クラブ首脳陣は何を考えているの? 」と義憤気味でしたが、いろいろな論評を読んでみると、意外に「やむなし」「優勝置き土産の花道退任もまた良し」などの肯定的な論評も多く、そうなのか、と思い直しました。

甲府としては、今季こそ「J1昇格」が至上命題だったようで、それが「惜しくも」という程度ならまだしも18位では、弁解の余地のない結果ということのようです。

たまたま天皇杯を制覇したことから、やや検討の余地が出たという程度で「続投」というところまでは、到底いかなかったのでしょう。

それにしても、来季の甲府は、監督・コーチ陣も含めて、よほど戦力を整えない限り、惨憺たるシーズンになりかねません。

ACLは辞退というなら別だが、J2を戦いながらのACLとなると、リーグ戦も壊滅的なことになると思います。

来シーズンからACLは秋スタート、翌年春終了という日程のようで、グループステージは9月中旬から始まるようです。
J1のビッグクラブでさえ、JリーグとACLの同時進行は、過酷な対応になっています。

そこは、首脳陣にしっかり注文しておきたいと思います。
あまり来シーズンのことまで話すつもりはありませんでしたが、監督退任のニュースが少し響いているみたいです。
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敗れた広島に期待する「気持ちを立て直す」エネルギー

2022年10月17日 14時57分43秒 | Jリーグ・三大タイトル
昨日の天皇杯決勝で敗れた広島、甲府の粘り強い守備戦術に手こずった結果ということも大きな要因だと思いますが、テレビ観戦していても、何より「勝ちたい」という気迫が十分だとはいえなかったという気がしました。

当の選手たちは決してそうではなかったと思いますが、それを証明する機会がもう一つ与えられていることを幸運と思って欲しいと思います。

ぜひ気持ちを立て直して「勝ちたい」という気持ちが相手より上回るエネルギーを蓄えて欲しいと思います。

つい最近まで三冠の可能性をもって戦ってきたチームが無冠に終わるのは、かなり問題を抱えることになります。
ぜひ、そうではないことを証明するには、次の土曜日の戦いで勝つしかありません。気持ちの立て直しに期待します。
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甲府の天皇杯優勝はドラマ性満載の大偉業、100年に一度のまさに「大偉業」です。

2022年10月17日 08時48分48秒 | Jリーグ・三大タイトル
昨日10月16日行われた第102回天皇杯決勝、甲府vs広島戦、最後はPK戦の末、甲府が制しました。その試合経過はいろいろなメディア情報に譲ります。

当ブログは、今回の甲府の優勝までの道のりが、いかにドラマ性満載だったということを考えながら書きたいと思います。

映画やテレビドラマ、あるいは漫画でスポーツもの、サッカーものを作りたいと思った時、原作者は、ストーリーがよりドラマチックになるような設定をいろいろ考えます。

つまりフィクションだから出来る途方もない設定をいろいろと考えるわけですが、昨日の甲府の出来事は、そういった「フィクション」を超えた、リアルな世界で起きたということを記録しておきたいのです。

それでは、これからリアルな世界で起きたドラマ性満載の出来事を「シナリオ」の形に整理し直して記録しておきます。

・ある地方都市をホームタウンにするJクラブがあります。このクラブはもともと、長年、地元出身者の社会人選手たちで構成されてきた地域クラブが母体となって発足したクラブです。

・大きな企業のバックアップを得たクラブでもなく、大都市の大きなスタジアムに大観衆を集められるようなクラブでもないことから、Jクラブとして発足してから間もなく、財政的に厳しくなり消滅の危機を迎えます。

・それでも地元の熱心なサポーターの存続に対する熱意を知っている地元大手企業が、クラブに役員を派遣するとともに財政的なバックアップを行ない、消滅の危機を免れたクラプです。

・その後、下のカテゴリーからトップカテゴリーに昇格を果たしますが、降格・昇格を繰り返し、5シーズン続けてトップカテゴリーで健闘する時期もありましたが、現在はJ2。再昇格をうかがう戦いを見せてはいるものの、今シーズンは下位に低迷しています。

・そんなクラブに20年も在籍しているレジェンドがいれば、学生当時無名だった選手が見いだされ育ち、世界に羽ばたいていった代表選手もいます。このクラブからJリーガーとしてのキャリアをスタートさせて強豪クラブにステップアップを図る役割を果たしています。

・また、このクラブは、上のカテゴリーで出場機会に恵まれない有望な選手をレンタルという形で受け入れ、活躍の場を与え自信をつけさせて元のクラブに戻し、飛躍させる役割も果たしています。

・そんなクラブには、降格しても変わらずに応援してくれる熱心なサポーターがいます。その象徴がいつも大きなチームブラッグを振り続けている白髪男性のお年寄りです。このクラブから巣立っていった選手たちを誇りに思ってくれる暖かいサポーターたちでもあります。

・選手たちは、これほどまでに応援してくれるサポーターたちに、低迷する成績を申し訳ないと思いつつ、どんな形でも何か報いたいと密かに心に誓っています。

・そんなチームを今年から指揮を執っている監督がいます。今年のリーグ戦の下位低迷は、チームとしての戦い方を浸透させる過渡期によくある現象ですが、リーグ戦とほぼ同時並行で進んだ第102回天皇杯の戦いの中で、少しづつ、その成果が見え始めてきたのです。

・監督は、自分のサッカーがチームに浸透してきていることに手応えを感じているためか、天皇杯の戦いで、上位カテゴリーのチームとの戦いでも、常に笑顔を絶やさず「楽しんでやろう」というメッセージを発しています。

・この監督は、かつてJ1で戦っていたこのチームを引き受けましたが、あえなく降格させてしまい翌年解任された経歴のある監督ですが、その後の経験値を買われて、今年再びチームを任されることになったのです。

・今年の天皇杯、J2クラブは2回戦から登場します。2回戦で格下チームを破ると3回戦からはJ1クラブとの対戦が始まります。

・J2クラブがJ1クラブを立て続けに破っていくことは、ままあることですが、3回戦、4回戦、準々決勝、さらには準決勝まで進み、そこでも勝って決勝に進んだとなると、すでに対J1チーム4連勝であり、通常であれば、これだけで十分、今大会の大健闘として称賛される決勝進出です。

・またJ2クラブのような下のカテゴリーのクラブが頂点に立つ例も、これまでいくつかありました。しかし決勝でトップリーグのクラブを下して優勝するという例は、Jリーグ発足後はありません。

・決勝の相手は、今シーズン新監督のもと、直前までJリーグ三大タイトルすべて制覇の可能性を残しながら勝ち上がってきた強豪。

・リーグタイトルの可能性こそなくしたものの、二冠に王手をかけての最初の決勝に臨む相手です。今シーズンの好調ぶりから考えて、いかなJ1クラブ4連勝の勢いをもってしても決勝を勝ち抜くのは至難の技というのが大方の予想です。

・それでも、このJ1クラブ、こと天皇杯に限って言えば、かなりタイトルから見放されているクラブという歴史を持っていることも事実です。

・この30年の中で、過去4回決勝進出を果たしながら、いずれも決勝で苦杯をなめているというクラブです。5度目の挑戦にして今度こそ初タイトル。まぁ、大方のサッカーファンがそのように予想するに違いありません。

・J1クラブを4度破って5度目の挑戦となるJ2クラブ、これまで4度の決勝進出を果たし5度目にして初タイトルを目指すJ1クラブという「5度目」が共通する構図の決勝です。

・実は準決勝でJ1クラブを撃破した立役者で、今大会好調だったMFが決勝を前にした練習でケガをしてしまい無念のリタイア。イレブンには「彼のためにも」という静かな闘志が宿っていました。

・対するJ1クラブには、選手としてのキャリアを相手チームでスタートさせた選手や、レンタル移籍で力をつけた選手が合わせて4人もいて、試合前はお互いの健闘を祈りつつも、かつてはチームメイトだったお互いの選手たちに少し複雑な思いを抱かせたことも確かです。

・そんな、さまざまな思いと因縁が絡み合った中で決勝のホイッスルが鳴ります。J2クラブは、監督が1年かけて浸透させた戦術が機能して互角に戦いを進める中、前半26分、見事に先制します。

・しかし、後半じりじりとJ1チームの地力に押されていくと、後半38分、同点に追いつかれます。そのまま試合は延長へともつれ込みます。

・選手交代で余力を残していたJ2クラブは、延長に入って次々とフレッシュな選手を送り込みJ1クラブの圧力に耐え続けます。延長後半8分には、在籍20年のレジェンドDFをピッチに送り出します。長い間チームの精神的支柱としてピンチの時も落ち着きをもたらしてきた彼の力を知る監督の決断です。

・ところが延長後半終了間際、悪夢の瞬間が訪れます。ペナルティエリア内で相手選手が蹴ったボールが、このレジェンドの左手に当たってしまったのです。故意ではないにしてもPKの宣告です。

・なんということでしょう。よりによって投入されたばかりのレジェンドDFがPKをとられたのです。もはや延長戦終了間際のことです。PKが決まれば万事休すです。

・やはりJ1の壁をすべて突き崩すのは無理なことか・・・。多くのサッカーファンがそう思ったことでしょう。

・しかしドラマにはまだ続きが待っていました。相手選手のPKを、GKが乾坤一擲の横っ飛び。右手の先っぽにボールを当てることに成功して阻止したのです。簡単なボールではありませんでした。何かの力に後押しされなければ、止められないPKでした。

・長い間チームを支えてきたきたにも関わらず、ここにきて悪夢を見ようとしているレジェンドに対する「あのまま終わらせるわけにはいかない」という思い、前の試合まで大活躍していながら決勝を前にしてリタイアしてしまった若武者に対する思い。そして日本最大のスタジアムに詰めかけてくれた多くのサポーターの声援に応えたいという思い、さまざまな思いが彼の横っ飛びに力を与え、はじき出す指に力を与えた、そうとしか思えないセーブでした。

・この日、このスタジアムには37,000人もの観客が入ったそうです。J2クラブと比較的地味なJ1クラブの決勝にも関わらず、という感じです。詰めかけた大観衆は、幸運にも稀にみるドラマの目撃者になりました。

・そして、ドラマのクライマックスが近づいてきました。いよいよPK戦による決着です。両チーム3人目までは淡々と蹴り込みましたが、見ているほうは、1人蹴るごとに次第に息詰まってきます。

・そして4人目、先に蹴ったJ1チームのキックを、またしてもGKがストップします。J2クラブは4人目も成功、ついに最後の5人目となります。相手チームが成功させたあとJ2クラブの5人目は、あのPKを献上してしまった在籍20年のレジェンドです。

・なんという筋書きでしょう。なかなか、こうまで描きたくても描けないシナリオです。見ているほうからすれば、さぞかしプレッシャーで押しつぶされそうなのではないかと思います。

・一度どん底に落とされそうになったところを、味方GKのスーパープレーによって救われた選手に、今度は自分のキックで、チームに栄光をもたらすチャンスが巡ってきたのです。

・静かにボールをセットした彼は、「魂のキック」を迷いなく蹴りこみました。勝負を決するPKを、彼は成功させました。その瞬間、100年に一度の大偉業は達成されたのです。これほど数々のドラマが詰まった試合、最後は筋書きのないドマラそのもの試合を「優勝」という形で完結させたのです。

・フィクションの世界のような、いくつもの「ありえない」ようなことリアルの世界で起きて、その結果、弱小クラブのハッピーエンドという形で物語が完結する。その物語を私たちは共有したのです。

・「サッカーを愛する人たちすべて」に贈られた珠玉のドラマ、珠玉のサクセスストーリー、それが今回の「甲府・第102回天皇杯サッカー」優勝だったと思います。

・この快挙については、J2クラブが5度もJ1クラブを撃破して頂点に上り詰めた「史上最大の下剋上」といった見出しが躍るに違いありません。インパクトの強さを狙えば、そういう表現になるのでしょうけれど、それだけでは「ドラマ性に満ちた、このJ2クラブの偉業」を表し切ったとは言えません。やはり「大偉業」と評されるべきであり「100年先まで語り継がれる大偉業」「100年に一度の大偉業」と評されるべき出来事だと思います。

日本代表・森保監督の感想は「カテゴリーが上のチームが絶対勝つ」などという「絶対」はあり得ないんだということを、あらためて実感した、というものでした。

まさに11月に開催されるカタールW杯で置かれている日本代表の立場は、甲府と似たようなものだと思います。当ブログは日本代表の健闘を密かに願いながらも、ドイツ、コスタリカ、スペインと続く戦いには、そう多くを期待するのは禁物という気持ちになっています。

しかし指揮官が「絶対」はあり得ないんだという気持ちをさらに深めてくれたのは心強いことです。
来週のルヴァン杯決勝、そしてJリーグ残り2試合、ドラマにつぐドラマを共有したのち、カタールW杯というもう一段の筋書きのないドラマに酔いしれることになります。

鳴呼(ああ)、サッカーの世界の素晴らしさよ、感動的なことよ。



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Jリーグ最終盤に挟まる大きなイベントが横浜M、川崎Fに与える影響Part.2

2022年10月16日 07時34分26秒 | Jリーグ・三大タイトル
前回の書き込みで、12日(水)のJリーグ試合後、次の試合まで17日間の間隔が空くことで首位・横浜Mと2位川崎Fに、いろいろと微妙な影響が出るドラマ性に満ちた期間になると述べました。

この17日間、書き込んだ時は、どうして17日間も空くのか、あまり考えていませんでしたが、Jリーグ三大タイトルの残り2つの決勝が組まれていたのですね。

本日、天皇杯決勝、そして22日(土)にルヴァン杯決勝。リーグ優勝を争う2チームは、どちらのタイトルにも無縁となりました。天皇杯は広島と甲府、ルヴァン杯は広島とC大阪というカードだそうです。

広島に二冠の可能性があるということですね。広島は直近の試合に敗れてJリーグ制覇の可能性をなくしたものの、それまでは三冠の可能性を残して勝ち上がっていたことから、広島サポーターの間では横浜Mや川崎Fのことなど論外で盛り上がっていたのだと思います。

確かに二冠達成であれば、十分にニュースバリューがあります。17日間というリーグ戦中断のあいだの最大の注目は、それだということです。

ところで広島が、ここで二冠達成ということになると、Jリーグ三大タイトル獲得数も気になりますが、広島は森保現日本代表監督が広島監督時代に3度のリーグ制覇を果たしてはいるものの、天皇杯とルヴァン杯(旧ナビスコ杯)タイトルはゼロで、今回2つを積み上げても総数で5に伸びるだけで、まだまだというところです。

Jリーグ最終盤に挟まる、もう一つの大きなイベントが11月1日に発表されるカタールW杯代表メンバー発表です。

26名の枠だそうですが、海外組が多くなってきた中で、国内組はおそらく一桁、横浜M、川崎Fからはそれぞれ多くても2人ぐらいだと思いますが、それでも当落が多少なりとも心理的な影響を与えることが考えられます。

W杯代表メンバー発表が、果たして横浜M、川崎Fどちらのチームにポジティブな効果をもたらすかにも注目したいと思います。
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J1リーグ最終盤、まさかの展開になってきましたね

2022年10月13日 13時19分49秒 | Jリーグ・三大タイトル
昨日12日(水)、J1リーグの試合が5試合行われたようで、そのうち首位横浜Mが磐田、2位川崎Fが清水とそれぞれ対戦しました。

結果は、横浜M敗戦、川崎F勝利で、先週土曜に続いて、また勝ち点が3縮んだのです。先週金曜時点で勝ち点差8、当ブログも10月2日書き込み段階で「川崎F、V3への挑戦は終戦模様ですね」と嘆き、同じ日の書き込みで「王者・鹿島への挑戦者は横浜Mなのか」と逆に横浜Mを見直していました。

先週土曜、勝ち点差5に縮んだものの「まだまだマリノス圧倒的有利な状況には変わりない」と書きました。

それが勝ち点差2まで縮んできたのです。
まさかの展開になってきました。

そして次の試合が16日後の29日土曜です。このシチュエーションは、いろいろなことが絡んだ実にドラマ性のある間隔です。

まず、16日間の間隔は両チームにどのような効果や影響をもたらすか。
まず戦力の回復という点で、少し川崎Fに光明が差すかもしれせん。10月2日の書き込みでは「札幌との試合を見ていて、とても優勝を争える戦力にはなっていない」と感じました。
果たしてケガをした選手がどれほど戻れるかわかりませんが、今よりは良くなっているように感じます。

次に対戦相手という点でばどうでしょうか?
横浜Mは浦和、川崎Fは神戸です。この両チーム、どちらも当面の目標や危機のない状況にあるクラブです。特に神戸が昨日の試合に勝ち、降格圏から脱出したというのは川崎Fにとっては幸運とも言える状況だと思います。

さらに、この16日間という間隔は両チームにどのような心理的な影響をもたらすでしょうか。今日現在は、横浜Mイレブンは、いやな気分を払拭することに精一杯でしょう。16日間という間隔は、平常心に戻すに十分な時間と言えるように思います。

そうなると、残り2試合、両チームの対戦相手の因縁のようなものが明暗を分ける可能性があります。
神戸は、次節川崎F、最終節横浜Mとの対戦になっており、このチームがカギになりそうです。

川崎Fの最終節はFC東京ということで、いわゆる「多摩川クラシコ」という因縁もありそうです。

凄いドラマ性に満ちた16日間、そして残り2節ということになりましたね。
試合のない次の1週間にも何か変化がありそうで、目が離せない感じです。
また書き込みたくなるに違いありません。

では、また。


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川崎F、横浜Mと勝ち点5差、終戦模様から少し押し返したが・・・。

2022年10月09日 17時23分25秒 | Jリーグ・三大タイトル
Jリーグ31節、川崎Fが逆転勝ち、横浜Mは零敗で勝ち点が3つ縮まり5差に。残り3試合でのこういう変化は、首位に立つチームにはかなりのプレッシャーになる。

横浜Mのように、高い攻撃力を誇るチームであれば、力でねじ伏せるサッカーができる。だから、攻撃が上滑りというか雑にさえならなければ2勝は十分可能で、まだまだマリノス圧倒的有利という状況には変わりない。

川崎F、最後まであきらめない気持ちが結果に結びついたものの、次もその次も勝ち続けなければならないことには変わりない。残り3試合のうち、次の2試合で、一つでも勝ちを逃せば終戦となる。

次の両チームの試合は12日(水)、中3日だ。これは日程的に大変重要になってくる。ここで横浜Mが勝てば、あとは29日(土)まで20日近く間隔があく。

川崎Fが勝っても勝ち点差5のままであれば、この20日間を過ごす横浜Mのイレブンは心理的にかなり余裕のある状態になるが、もし横浜負け、川崎勝ちで、勝ち点差が2に縮まると、これは大変だ。
横浜引き分け、川崎勝ちだと勝ち点差が3、これも川崎の追い上げムードが増す。横浜負け、川崎引き分けでは勝ち点差が4、この場合は横浜安泰となる。

どうやら、12日(水)の両チームの試合は今シーズンの帰趨を決めることになると思う。
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王者・鹿島への挑戦者は横浜Mなのか。

2022年10月02日 13時49分41秒 | Jリーグ・三大タイトル
1週間ほど前の書き込みで「Jリーグ、今年の最大の関心は川崎のV3への挑戦」と題して期待を寄せましたが、あえなく終戦模様。

逆に横浜Mがタイトル獲得となれば、鹿島の8を追撃する5回目となる。しかも三大タイトル獲得数でも、横浜は8となり、鹿島の19個を追う2番手にG大阪とともに並ぶ。

横浜マリノスのチーム作りが継続性のある安定したものかどうか不明だが、少なくともアンジェ・ポステコグルー監督、ケビン・マスカット監督と続くチーム作りが続けばという期待はある。

もし横浜マリノスが強さを維持できれば、王者・鹿島への挑戦者になり得ると考えるようになった。
来シーズンも川崎と横浜Mから目が離せない。



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川崎F、V3への挑戦は終戦模様ですね。

2022年10月02日 13時12分27秒 | Jリーグ・三大タイトル
昨日、川崎Fが札幌とアウェーで対戦、終盤、GKのチャン・ソンリョン選手にアクシデントが発生、すでに交代枠を使い果たしたことから控えGKを出せずにチャン・ソンリョン選手が痛みをおして試合を継続、しかし札幌に勝ち越しゴールを許して敗北しました。

同じ時間に試合を行なった横浜Mが快勝したことから勝ち点差が8に開き、横浜は次節にも優勝の可能性が出てきたとのこと。

当プログが期待を寄せていた、川崎F、V3への挑戦は終戦模様となりました。川崎Fの鬼木監督は試合後「自分のゲームマネジメントのせいで試合を落としてしまった」と語ったそうです。

確かに、交代枠5人を使い切ったあとのアクシデントに対応できないマネジメントは失敗ということになりますが、それは結果論であり、交代枠を使い切る選手投入には背水の陣、退路を断つという決意があってのことで、勝負に出たものの報われなかったという意味合いが強いと思います。

当プログが札幌戦を見ていて強く感じたのは、今年の終盤の川崎Fは、とても優勝を争える戦力になっていないというのが率直な印象です。

レアンドロ・ダミアン、大島僚太選手の二枚が欠けただけで、大幅な戦力ダウンになってしまっていることを考えれば、今年の川崎Fはシーズン全体を通しても、むしろ、よく2位につけているというのが正解のようです。

川崎F、V3への挑戦は終戦、となると、気になるのは来シーズンのチーム編成です。
一つは鬼木監督は果たして続投するのかどうか、もう一つは監督が誰になるのかと、表裏一体ではありますが、どういう戦力補強をするのか、です。

Jリーグ30年の歴史の中で、一時期隆盛を誇ったクラブが急速に凋落した例が二つあります。最初の10年の初頭のヴェルディ川崎と、その10年の終盤のジュビロ磐田です。

二つとも「なぜ、そこまで転げ落ちるのか」という凋落を見せました。磐田は辛うじてJ1に復帰しているものの、今シーズン後、J2に逆戻りでしょう。ヴ川崎は低迷のままです。

川崎Fに、その道を歩んで欲しくないと願うのは当ブログだけでしょうか?
つい先日の書き込みで「鹿島に並ぶタイトル数獲得を目指せるクラブ」になって欲しいと期待したクラブです。それが、凋落・低迷の心配をするハメになろうとは・・・・。

それは、札幌戦を見ていて、あまりの戦力ダウンぶりに驚いたためです。かつて、観ているサッカーファンが目で追いきれないほどの高速パスを回して相手チームに何もさせないようなサッカーをしていたクラブが、パスの出しどころをさがしながらサッカーをするクラブになっていた驚きは、衝撃的ですらありました。

高速パスを回しながらプレーできるスキルの選手が20人も30人もいるクラブであれば、数人が移籍で抜けてもサッカーは変わらないのでしょうけれど、欧州のビッグクラブというわけにはいかない日本のクラブでは、起こり得ることかも知れません。

あとは、この戦力ダウンをどうやって盛り返すことができるかです。来シーズンの川崎Fに目が離せません。
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Jリーグ、今年の最大の関心は川崎FのV3への挑戦

2022年09月24日 20時33分13秒 | Jリーグ・三大タイトル
カタールW杯の今年、Jリーグにも期待がある。最大の関心は川崎FのV3への挑戦だ。Jリーグ30年の歴史の中でV3を達成しているのは鹿島ただ一つ。

その鹿島は、三大タイトル獲得数でも他を圧倒しており、まさに、ここ30年での王者だ。
当フォーラムの最大の関心は、その鹿島に並び立つ実績をあげるクラブはどこになるのかという点だ。

川崎Fに関心を寄せているのは、今回V3を達成することによって、鹿島追撃の一番手に躍り出る期待があるからだ。

まだ、これまでの三大タイトル獲得数では、鹿島の19個、G大阪の8、ヴ川崎と横浜Mそして浦和の7には及ばないもののリーグチャンピオンは、鹿島の8に続いて、今回V3を果たせば5となり、4で並んでいた横浜Mを抜いて単独2位になる。

逆に横浜Mが川崎FのV3を阻止すれば、横浜Mが5となり単独2位になる。今年はその意味でも目が離せない。

私が川崎Fに関心を持つのは、過去の優勝がすべて鬼木監督のもとで持たらされた点にある。鹿島もタイトルを積みあげた時はトニーニョ・セレーゾ、オズワルド・オリベイラという長期にわたって務めた監督の時である。

やはりクラブがぶれないで監督を信頼して任せる風土がなければ、強いクラブは作れない。その意味で、川崎Fは、鬼木監督のもとでV3を達成してもらいたいし、そうすれば、それを花道に鬼木監督には次の道が待っていると思う。

問題は、ポスト鬼木ということになる。かつて風間八宏監督のもとで超高速バス回しの魅惑の攻撃サッカーを構築したあと、鬼木監督が盤石の守りを固め、川崎Fサッカーが完成形をみたが、果たして、それを引き継げる後継者がいるのかどうか。

あるいは川崎Fが内部昇格では強いクラブを維持するのは難しいと考えて外国人監督に頼るのかどうか、そこにも関心がある。

20年前、鹿島と覇を競い合った磐田が、2003年の天皇杯以降、わずか1個しかタイトルを積み上げられずJ2との昇降を繰り返すクラブになってしまったことを思うと、長きにわたり強いクラブを維持し続けることの難しさをつくづく思い知らされる。

川崎Fには、何としてもクラブが構築したサッカーを引き継いで、ぶれない監督のもとで、鹿島追撃の一番手になって欲しい。
そう願って、残るシーズンを見守りたい。
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本日、Jリーグ30年目の記念日です。

2022年05月15日 20時44分29秒 | Jリーグ・三大タイトル
本日、2022年5月15日、Jリーグは30年目を迎えました。
この5月15日という日は、沖縄復帰の記念日でもあり今年は50年という大きな節目の年ですので、社会的には、このことで注目される日ですが「サッカーを愛してやまない者」にとっては、Jリーグ30年も大きな節目の日です。

せめてスポーツ紙ぐらいは、それらしい扱いをしてくれるかなと思って、コンビニで各紙1面を確認しましたが、どこも扱っていませんでした。終面でもおそらく(全紙は未確認なのですが)扱っていないでしょう。

確かめてみて、妙に納得してしまいました。1面もしくは終面で扱うほどのことなのかと言われれば、確かに「それほどのことでもない」かも知れないと感じたのです。

テレビ放送でも日曜の日中、特に目立った予定は見当たらず、わずかにTBSが深夜の「解放区」というドキュメンタリー番組で「Jリーグ創設ー夢に奔走した男たちー」というテーマの放送を予定しています。
深夜の放送ですので、明日以降、録画を観ようと思います。

そんな中、昨日、当「サッカー文化フォーラム」が「Jリーグ30年記念企画」として、5つのテーマについて日本サッカーの未来を考えたいと告知いたしました。

1回目のテーマは「Jリーグを支える観客とサポーター、観客の8割が年間シート保有者で占める日を迎えるためには何が必要か?」
これは、昨日も書きましたが、昨日のスポーツニッポン紙のインタビューに初代川淵チェアマンが「スタジアムの8割ぐらいが年間シートで埋まっている状況にならなければ、日本にサッカー文化が根付いたとはいえない。まだまだJリーグは発展途上だと・・・」と答えていることに触発されています。

川淵さんは別の新聞のインタビューでこう話しています「欧州では、子供が生まれると、親は自分と同じクラブのサホーターにしようとする。ゴール裏の年間パス(シート)を親から子、子から孫へと引き継ぎ、何十年先まで空席がないクラブもある。Jリーグにそこまでいっているクラブはまだないよね。」

確かにまだJリーグは30年、サポーターはまだ第一世代です。
でも、むしろ、これが肝心なところです。Jリーグはスタート時にサポーターになった人たちが今も長くサポーターであり続けていて、若い世代のあらたなサポーターが増えていないという指摘があります。

でも、まだ30年しか経っていないのですから、そんなことをあまり気にしなくていいのかも知れません。大事なのは、各クラブが、これまで長くサポーターになってくれている「サポーターの第一世代」の人たちに、そろそろ「子供さんに引き継いでもらえる年間パス(シート)を所持してくれるよう、上手に営業することではないでしょうか。
クラブが、これまで長く支えてくれた古参のサポーターたちとのwin-winの関係を作れるかどうか、これからの取り組みにかかっているといえると思います。

鹿島、横浜Mといった「ファースト10」(オリジナル10)で一度も二部落ちしていないクラブを筆頭に、浦和、G大阪などのコアなサポーターの分厚いクラブ、そしてJリーグの新たな時代の王者の気配を漂わせている川崎Fなどが、そうした年間パス(シート)による持続可能なクラブへの取り組みをぜひ進めて欲しいと思います。

また鳥栖、磐田、湘南など都市規模の小さな地域にあるクラブも、永続的に生き残っていく方策として「年間パス(シート)の保持と子供世代への引継ぎプロジェクト」に積極的に取り組んで欲しいものです。

「第一世代のサポーターの思い」に関連して、実は当方に一つの夢があります。それは1998年に一旦消滅した「横浜フリューゲルス」の復活です。その時「横浜フリューゲルス」は消滅しましたが、そのサポーターたちの思いが「横浜FC」の立ち上げという形で引き継がれています。

そして、もし今季「横浜FC」がディビジョン2から1への再昇格を果たすとすれば、そのタイミングこそが「横浜フリューゲルス」復活のタイミングだと思うのです。30年目の今季、昇格を果たし31年目のシーズンから「横浜フリューゲルス」が復活する。それはJリーグが一度経験した苦渋の消滅を、復元するストーリーであり、未来に向けて大きな意味を持つと思います。

そのためには、現在クラブ名に「F・マリノス」としてフリューゲルスの思いを引き継いでくれてきた横浜Mが、快く「自分たちの役割は終わった」として「F」の文字を外して「横浜フリューゲルス」に返してくださることが必要になります。

どうかJリーグチェアマンをはじめとしたリーグ関係者の方々、そして横浜FC、横浜Mのクラブ関係者の方々・サポーターの皆さん、30年記念企画の一つとして成し遂げていただけませんでしょうか?

当「サッカー文化フォーラム」は、「ファースト10」(オリジナル10)の一員だった「横浜フリューゲルス」がディビジョン1の一員として戻ってきて、そのホームゲームシートが、フリューゲルスサポーターだった人々と、横浜FCになってからサポーターになった人々が一緒になって、親から子へ、子から孫へと「年間パス(シート)」として引き継いでいき、二度と消滅することのない不滅のクラブとして100年先まで残っていって欲しいと願っています。夢から提言に、そして実現に向かうことを切に希望しています。

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