「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

サッカーの世界は分岐点に立っている

2015年10月26日 17時51分27秒 | サッカー日本代表
このところサッカーの世界はネガディブな話題ばかりだ。

私は、いつも10年、20年先に思いをはせ、いい方向に向かうかどうか考えてきた。この20年間は右肩上がりでいい方向にきたサッカーの世界、いま分岐点に立っているように思う。

世界のサッカー界も、日本のサッカー界も、両方同時に分岐点を迎えているように思う。

世界のサッカー界で言えば、なんといってもFIFAのスキャンダルだ。FIFA会長をはじめ、世界のサッカー界を牽引してきたビッグネームが次々と疑惑の目にさらされ、もはや、かつてのような栄華を誇ったFIFAに戻ることは難しくなった。

2018年ロシアW杯はまだしも、2022年W杯の問題も漂流したままだから、FIFA体制のみならず世界のサッカー界が極めて不透明な中にある。

クラブレベルでも、スペインリーグが転換点に差し掛かるのではないか。理由はバルセロナのあるカタルーニャ州の独立問題である。もしカタルーニャ州が独立した場合のリーグ構成はどうなるのか、世界最高のリーグにおける最高のカードと言われるバルセロナvsレアル・マドリー戦はどうなるのかといった、世界のサッカーファンにとっては目が離せない問題がある。

一方、日本のサッカー。日本代表の戦いぶりをはじめカテゴリー別の日本代表も苦戦が続いていて、未来が明るいと思わせる材料が少ない。

プロ野球界に賭博問題が起きても、高校野球での豊富な話題、五輪種目への復活などを含めて地盤沈下どころか明るい話題に事欠かない。Jリーグの影は薄くなるばかりで人々の話題になかなか登らない。

ラグビーW杯での華々しい日本代表の活躍も日本サッカー界にとっては危機感の材料になるだろう。2019年にはラグビーW杯が日本で開催されるから、その前年に行なわれるサッカーロシアW杯に、日本がどのような形で臨んでいるか、格好の対比材料になる。

私は、少なくとも日本サッカー界の近未来の浮沈をハリルホジッチ率いる日本代表が握っていると思っている。

長谷部誠、本田圭祐、岡崎慎二、長友佑都の各選手たちはピークを過ぎているが、同等の才能に恵まれた選手は多い。2010年南アフリカW杯で岡田武史監督が見せたチームづくりのように、ハリルホジッチ監督が、寸分の狂いのないチームづくりを見せれば、厳しいアジア予選を突破して本大会でも日本中を熱狂させることは十分可能だと思うが、そのチームづくりがうまくいくかどうか、不透明だ。

2006年のジーコ監督、2014年のザッケローニ監督は、ともに強固な守備の構築を怠った。2002年のトルシエ監督、2010年の岡田監督は、ともに守備を整備した上で本大会に臨んだ。ハリルホジッチもチュニジアでの成功を見れば、守備の構築についての力量はあるとみていいだろう。問題は、その上で計算できる攻撃パターンを持てるかどうかだ。

少なくとも、これまでの戦いでは、香川真司を筆頭に、才能十分と思われる選手たちが十分能力を発揮できていない。今後は、宇佐美貴史、原口元気、清武弘嗣、武藤嘉紀らが押しも押されぬスタメンを張るチームになって、コンビネーションを磨き上げなければアジア最終予選突破すらおぼつかない。

加えて選手たちには、日本サッカーの浮沈を握っているという悲壮感を強く持って欲しい。昔、カズ選手やラモス瑠偉選手が「日の丸を背負っている覚悟」を口にしていたように、今の選手たちも、先輩たちが築いてきたW杯連続出場記録を、自分たちの世代で途切れさせないという覚悟を強く持って欲しい。

アジア予選を勝ち抜くことは、その時代、時代のアジア各国のチーム力や出場枠などによって、状況が異なっている。ロシアW杯アジア予選は、これまで4~5回のアジア予選の中で最も難しい状況にあるといっていい。

中国や中東各国のレベルが格段に上がっていて、これまでの対戦成績があてにならない状況になっている。こうした変化は日本代表チームとして十分危機感を持っているだろうが、肝心な個々の選手たちが危機感を共有しているかどうかである。

時代は変わっていて、昔のように、理屈抜きで「勝つんだ」という精神性を求めることは難しい時代になり「勝ちたいとは思っているけれど、勝負だからしかたがない」というスタンスの選手が増えたことも否定できない。

そうであれば、勝負は相対的なものだから、昔、韓国の選手たちが「負けて国に戻れない」という気概で試合に臨んできたように「絶対負けたくない」と望んでくるチームに勝つのは難しくなる。6月にシンガポールに勝てなかったようなことが起こるのだ。

結構、くどくどと説教じみた話を並べたが、これが「取り越し苦労」に終わることだけが私の願望だ。来年後半「だから、あれほど言ったのに」という愚痴に変わらないことだけをひたすら願って、今日は終わりたい。
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賀川浩さんのサッカー史講演を聴きにいきました。

2015年10月21日 10時52分29秒 | サッカー文化
10月19日(月)夜、日本サッカー協会の会議室で開催された「サッカー史研究会」に参加させていただいた。

月例で行われているこの勉強会は、日本のサッカージャーナリストの大御所の一人、牛木素吉郎さんが主宰されているもので、私には敷居が高く入れない勉強会ですが、今回は、神戸から賀川浩さんをお招きして講演していただくということで、ふだんのメンバー以外にも門戸を開放してくださったのだ。

私は、この場でも何度か紹介しているように「サロン2002」という交流会に入れていただいている関係で、ご案内メールを受け取る幸運に恵まれた。

さすがにFIFAバロンドール「会長賞」を受賞され、いまや日本のみならず世界のサッカージャーナリスト界のレジェンドとなられた賀川浩さんの講演とあって、主宰の牛木さんも「用意した資料が足りなくなって、あとから入場された方には申し訳ない」とおっしゃるぐらいの人が集まった。

前回、講演をお聞きしたのが4月、やはりこの建物で行われた「日本サッカーミュージアム」主催のトークショー「サッカー本事始め」の時です。今回もお元気に登壇され、起立したままお話しを始められるご壮健ぶりでした。さすがに、どなたかが「どうぞ、お座りになって」を声をかけたので椅子に座られたが、その様子にあらためて感銘を受けました。

ご講演の内容は、おそらく「サッカー史研究会」がまとめた形で公表されると思うので、ここでは控えるが、賀川さんの博識、勉強ぶりはスゴイなと思う。

今回驚いたもう一つのことは、著名なサッカージャーナリストたちが何人も聴きにきておられたことだ。すでに、これまでテレビ・雑誌等で功なり名を遂げた人たちだろうに、いまなお新しい知識を吸収しようとしているのだろうか?

思うに、この場に集まった人たちは、それぞれのネットワークでつながっている人たちで、おそらくパーティでもやれば「この人はあの人とのつながり、この人はあっちの人とのつながり」という具合に、全員が「クモの巣」のネットワークのように、つながった間柄なんだろうなと感じた。

もし、そうなった場合、おそらく私だけが誰ともつながりのない「クモの巣」のネットワークに入らない存在なんだろうと、同時に思った。

私は「サッカー情報の収集・蓄積と次世代への継承」という立場から約25年間サッカーにかかわってきたつもりだが、残念ながらサッカー関係者のネットワークに自分も入った形でかかわるという意識が長らく薄かった。

ようやく、ここにきて、その意識を持ち、幸い「サロン2002」という交流会が、私のようなものでも「ウエルカム」してくれた。

ありがたいことだ。

当「サッカー文化フォーラム」の活動も、webサイト「ようこそサッカーの世界へ」のHOMEページリニューアルと、僅かながら動画コンテンツの埋め込みという作業を終えたところで、当分休止することになります。

前回の書き込みで「動画としてお見せできるのは、まだ1993年Jリーグ開幕、前期第1節の5試合ダイジェストだけですが・・・」と書き込みました。

実際にリニューアルサイトをアップロードしましたが、動画へのリンクが不具合で、肝心の試合ダイジェストが見れません。今月中には修正したいと思いますが、少しお待ちください。

このリニューアルサイトでは、HOMEページから「データパビリオン」ページに飛ぶと「Jリーグ」「日本代表・国内サッカー」「W杯・海外サッカー」のカテゴリーがあって、現在はJリーグのうちコンテンツとして出来上がった「1993年Jリーグ開幕、前期第1節」にアクセスできるようになっています。

例えば「1993年5月15日ヴ川崎vs横浜M}をクリックしていただくと、その試合カードのPDFに飛びます。試合カードですから、さまざまな項目を載せているわけですが、いわゆる公式データブックとは違う諸元になっています。

例えばテレビ放送データです。どのテレビ局の放送を収録して誰が実況、誰が解説、放送時間はどれぐらいといった情報を載せてあります。

そして、画像という項目を設けて試合ダイジェスト動画にリンクを張っています。

また、今回の作業ではリンクを張れませんでしたが、その試合に関するサッカー誌、スポーツ紙の記事PDFも見れるようにする予定です。

そして、出場全選手のデータがわかる公式試合データPDFにもリンクさせて、一つの試合について、動画でも記事や写真でも楽しめて、丸わかりできるパビリオンにしていきます。

この作業がいつ、どんな形で再開できるか、いまのところ見当がつきません。この壮大な企画に、どちらかからスポンサーがついてくださり、作業スタッフの方によって再開できればありがたいと思います。

そうでなくとも、あと何年か後に、また作業に戻ってきて、ビデオテープのカビ取りから始まり、パソコンHDDへの動画取り込み、データベースへの記録、動画のYouTubeアップのための編集、データベースカードのPDF化と動画の埋め込み等々に取り組みたいと思います。

もし、このプログやwebサイト「ようこそサッカーの世界へ」をご覧になった方で、志を抱いてくださる方がいらっしゃったら、ぜひ声をかけてください。

私はこれまで、1993年Jリーグスタート以降の全試合映像の収録、サッカー関連番組の収録、そしてサッカー専門誌・スポーツ紙等の収集を続けてきました。

3年前からはビデオテープに録画していた試合・番組映像をパソコンHDDに取り込む作業を開始して1998年分まで進めてきました。

そして今年は、それをコンテンツ化してwebサイトに紹介していくという段階に入りました。
これによって「日本のサッカー文化の進化発展の歴史を100年先まで繋ぎ継承する」という夢の具体的なカタチへの一歩を踏み出したように思います。

しかし一旦中断せざるを得ない状況になりました。理由は簡単です。資金的な理由です。一旦中断するのは資金を確保するためです。それが順調にいけば再開できます。必ず再開に戻ってきます。そう勇気づけてくださったのが、19日講演を聴かせてくださった賀川浩さんです。

「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を云う。(中略)ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない 理想を失うとき初めて老いる。(中略) 頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、80歳であろうと人は青春にして已む。」

サミュエル・ウルマンの詩「青春」をまさに体現されているのが賀川浩さんであり、私も賀川さんを範として、この詩を事あるごとに口ずさみ頑張っていきたいと思います。

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