「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

日本がW杯で優勝するようになる条件、二人の指導者が語る共通のキーワード「親子3世代が公園で楽しくサッカーに興じている風景が全国どこでも普通になれば・・・」

2023年12月01日 18時24分33秒 | サッカー文化
日本がサッカーW杯で優勝できる日はいつ来るのか、もうすぐなのか、まだまだ先なのか、まだ見ぬ未来に思いを馳せて、我が日本代表が世界一に上り詰める姿を「サッカーを愛する」多くの日本人が夢見ていることと思います。

そんな未来の夢に明確に道筋をつけてくれるような考えを、最近、二人の指導者が持っておられることを知りました。

一人は、東京国際大学サッカー部の前田秀樹監督、もう一人は大阪・興国高校サッカー部の内野智章監督です。

前者は、元日本代表のキャプテンも経験され現役引退後は、それこそジュニア世代から、ユース、そしてプロクラブまで、すべてのカテゴリーでの指導経験を持つ稀有なキャリアの方です。

前田監督の著書に竹書房刊の書籍『東京国際大学式 「勝利」と「幸福」を求めるチーム強化論』という書物があるようですが、うまい具合に「REALSPORTS」社のサイトが「変わりつつある『大学』の位置付け。日本サッカーの大きな問題は「19歳から21歳の選手の育成」」というタイトルで、この書籍からエッセンスを抜粋してくれました。

その中で前田監督が述べているのは、
「スポーツは社会にとって必要なのか、必要ではないのかと考えた時にスポーツが必要だということを多くの人に理解してもらわないといけない。だから、サッカー経験者を増やすことが大事なんだと私は考えています。」

そして、
「サッカーの輪を広げるために、東京国際大学は部員の枠を作らず、希望者全員を入部させることにしています。4年合計約350人の大所帯のチーム編成となっているのです。我ながら、すごい人数だと思います(笑)。毎年100人以上が入部してくるので、10年で1000人以上のサッカーファミリーを生み出していることとなります。」

さらに、
「すべての選手がプロの選手になるわけではありません。大事なのは、すべてのカテゴリーの選手がサッカーを好きであり続けること。卒業後にJリーグの試合を見に行くようになり、将来的に結婚をして子どもができた時にサッカーをさせて人口を増やしていってくれれば、サッカーはメジャースポーツに近づいていきます。」と述べています。

前田監督は、こう締めくくっています。
「普及活動はすぐに結果が出るものではありません。成果が表れるのは10年後か20年後かもしれません。でも、短期的なものではなく、長い目線で見ていく必要があると思います。ワールドカップで優勝することはそんなに簡単ではありません。

なぜ、ブラジルが強いのか。サッカーが国民に浸透していて、日常にあるからなんです。それが強さの秘訣だと思います。一人でも多くサッカーを経験する人を増やすことが大切なんです。そして、サッカーを文化にしていくことが大事なんです。それをこの大学でやっていきたいんで
す。」

次に大阪府の興国高校サッカー部の内野智章監督。
興国高校サッカー部は、冬の全国高校サッカー選手権の常連校ではない学校ですが、プロを目指す若き才能が数多く集まることで注目を集めています。

内野智章監督は、体育教師の傍ら2006年、監督に就任すると、同校を「関西のバルセロナ」と呼ばれるほどの強豪校に成長させました。

加えて、日本代表で、スコットランド・セルティックに所属して得点王に輝くなどの活躍をしている古橋亨梧選手を始め、この10年間で30人以上のプロ選手を輩出(Jリーガーは27人)していることから、その指導が注目を集めています。

今年6月、監督を退任して同校のジェネラルマネージャー(以下GM)に就任、部員の進路に関するサポートや有望選手のスカウティングをはじめ多岐にわたってFC KOKOKUのプロモーターとして尽力されることが学校から発表されました。そこで、ここからは「前監督」と表記します。

サッカーの技術だけでなく、高校生が高校生らしく、本来持ち合わせているべき感覚を尊重する指導法が特徴とのことですが、その内野前監督が、2020年8月15日放送のテレビ東京サッカー番組「FOOT×BRAIN」に招かれました。

番組でのトークのメインは内野監督(当時)の指導法でしたが、最後に「夢はどんなことですか?」と質問されて答えた内容が、

「日本全国どこの公園に行っても、おじいちゃんと孫がサッカーボールで遊んでいるぐらいになるのが夢です。それぐらい裾野が広い、サッカーが日本の文化になってくればW杯で優勝することができるのでは・・・。いや、それぐらいにならないとW杯で優勝できないのではないかと思います。」というものでした。

前田監督も内野前監督も、それぞれの立場で違う考え方でサッカーの指導をされていますが、未来を見据える夢は同じだということに、目からウロコが落ちる思いでした。

前田監督がブラジルのことを例にしていましたが、実はお二人とも同じ体験をされていて、研修のためドイツに行った時「スポーツシューレ(複数の競技種目に対応できる大規模な滞在型総合型スポーツ施設)」で、まさに、おじいちゃんと孫が楽しそうにサッカーボールで遊んでいる光景を見て同じことを考えたそうです。

「日本もこうなればいいな、サッカーが日常にある姿、サッカーがその国の文化になっているというのは、こういうことを指すのだろう。日本がこういう姿になるように、自分も少しでも貢献したい」と。

当・夢追い人も「日本にサッカー文化が根付くために」という思いでおりますが、では「サッカー文化が根付いている姿」が実際にはどのような姿か、なかなか一言では言い表せないでいました。

これからは、わかりやすく「日本全国どこの運動公園に行っても、芝生の広場があり、そこでおじいちゃんと孫がサッカーボールで遊んでいる光景、サッカーが日常に普通になっているぐらい、サッカーを愛する人たちが多い状況、これが『サッカー文化が根付いている状況』です」とお話ししていきたいと思います。

お二人に共通だったもう一つの点は「それぐらいサッカー文化が根付いていないとW杯優勝は大変だと思います。ドイツもブラジルもサッカー大国なのは、サッカー文化が根付いているからだと思います。」というお話です。

サッカー文化が根付いたらW杯優勝できるのか、W杯優勝したらサッカー文化が根付いたと言えるのか、鶏が先か卵が先かの議論になりそうですが、少なくとも2023年末時点では、まだW杯優勝が現実味を帯びているようには思えません。

けれども次の北中米W杯までに森保ジャパンが私たちに大きな夢を見させてくれる期待感はあります。代表に招集されるレベルの選手たちがグングン成長して、しかも切磋琢磨して分厚い選手層が作られ、チーム内競争が高いレベルで続いている状況を見ると、このまま成長していって欲しいと願うばかりです。

日本中の津々浦々、芝の公園が普通になり、そこでおじいちゃんも、おばあちゃんも、孫とサッカーボールで遊んでいる様子が普通の光景、そして、W杯ではいつも優勝争いに絡む常連国になっている光景、どちらも、いつの日か現実になることでしょう。ここ3~4年後か、10年ぐらい後か、それ以上にまだまだ先か・・・。

忘年会の口角泡を飛ばす激論のテーマになればと思います。


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