「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

Jリーグ30年記念企画第三弾「サッカー指導者の未来像について」考えます。

2022年05月31日 21時34分54秒 | サッカー日本代表
Jリーグ30年記念企画第三弾は「サッカー指導者の未来像について」考えます。
このテーマについて、当フォーラムは「こうあるべき」とか「こうすべき」といった提言をしようとは考えていません。
このテーマを取り上げたいと思ったのは「サッカー界にとどまらず日本のスポーツ界で「パワハラ」問題が後を絶たない原因は「暴力を振う指導者が寂しく、孤立している人だから」」という驚くべき指摘を目にしたからです。

この指摘をできるだけ多くの皆さんに伝えなければならない、という思いで取り上げたというのが本心です。
それは、スペイン在住の日本人女性指導者からもたらされた指摘なので傾聴に値すると感じたのです。
その記事は、「スペインのサッカーに学ぶ「パワハラと指導」の違い/故オシム監督の「ブラボー」は「心理的安全性」を生んだ」という記事で、現在もスペインを拠点にサッカー指導者として活躍している佐伯夕利子氏にインタビューしたオルタナSのネット記事です。

インタビューで佐伯さんはこう話しています。
「これまではパワハラは、無いものにされてきました。私自身も日本で信じられないほど指導者が選手を罵倒する現場を目の当たりにしてきました。正直に言うと、その現場を見て日本のスポーツ界に失望した一人でもあります。
一昔前はほかの先進国からすると訴訟が起きて当然のことが、学校レベルで片づけられたケースが散見されていました。」

また、こうも述べています。
「プロ・アマ問わずスポーツ界は上下関係が基盤にあります。その上下関係に歪みが起きたときに、人はハラスメントをする生き物だと認識しています。一方で、人はその歪みを正すことができる生き物でもあります。
パワハラ対策に「模範解答」はありません。対策を考えるには、まず加害者はどこから来たのかをしっかりと検証する必要があります。」

そして、次のように指摘していらっしゃるのです。
「私は2018年から4年間、Jリーグの理事として多くの日本のクラブを見てきました。振り返ると、心が病んでいる人が多いと感じます。暴力を振う指導者の共通項に、「寂しさや不安」があります。ある一定の実績を収めた人たちなのに、寂しく、孤立していました。」

「私から日本の指導者に伝えたいのは、人として本質的なことを教えてほしいということです。日本の子どもたちは、正しいことを教え込まれ過ぎている印象を持ちます。そうして育った子どもは、人としての感情や衝動を表に出しづらくなります。私はこれを「感情の抑圧」と呼んでいます。我慢することを学習するのです。
言葉で論理的に説明する以上に、人として大事なことを教えられた経験があれば、「心理的安全性」を感じるようになり、ミスを恐れずにのびのびとプレーできます。」

ここまでの佐伯さんのインタビューを読んで感じたのは「正しいことを教える」ことと「本質的なことを教える」ことは違うということのようです。

つまり、こうではないでしょうか? 指導者が正しいことを教えたつもりでも、教えられたとおりにやらなければまずいと考えて、委縮したプレーに走る。

けれども、そこに「人は誰でもミスをするものなのだ、大事なのはミスをしたあと、どういう行動をとるかなのであり、その行動がキチンとできれば大丈夫なのだ」という指導が加わっていれば、「正しいことができるに越したことはないけれど、たとえミスしても、それをリカバーする行動をしっかりとるようにすればいいんだ」と考え、ミスを恐れずにのびのびとプレーできる、という意味ではないでしょうか?

記事は、そのあと「心理的安全性はオシムさんの「ブラボー」に学べ」と題して続くのですが、残念なことに、そこからは有料ネット記事になっているため、途切れてしまっています。

その前に、さきほど述べた「一昔前はほかの先進国からすると訴訟が起きて当然のことが・・・」というところですが、そうしたパワハラ問題を改善していくには、まだまだやるべきことが多くあるようで、佐伯さんは、
「改善の仕組みは「サーキュラ―」であるべきです。サーキュラ―とは、内通者や被害者を救うことはもちろん、加害者をも排除してはいけないのです。指導者の改善だけでなく、指導現場のパトロールも必要です。ここでいうパトロールとは問題を監視する意味ではなく、素晴らしい指導者を認めていくという意味です」と述べています。

ここでいう「サーキュラ―」とは、いわば「定期的に指導現場を巡回して、問題の有無を聞き取りしたりして、改善を促す役割の人」という感じではないでしょうか。

日本では、とかく、そういう人がうろうろしていれば「監視しに来た」という捉え方になりがちですが、もしパワハラの事例があれば改善に向けて、その人が役割を果たすのは当然ですが、一方で素晴らしい指導者、素晴らしいクラブがあれば、その事例も広く共有する役割も持つということのようです。

それにしても驚きではありませんか。スペインで長らく指導現場にいた人が日本の指導現場をご覧になって「心が病んでいる人が多いと感じます。暴力を振う指導者の共通項に、「寂しさや不安」があります。ある一定の実績を収めた人たちなのに、寂しく、孤立していました。」と感じたのです。

私自身は「さもありなん」と思えるような手がかりをもっていませんので「驚きだなぁ」としか言いようがなく「それって本当に心の病いってことですか?」と問い返したくなります。

そうであれば、つまり指導者そのものの教育・研修・指導、それも技術的なことではなく心理的アプローチから取り組む必要があるということです。

これは相当な「指導者教育研修プログラム」を構築しないと難しいですし、スペインではクラブ組織が育成の中心なので、クラブ全体にそういう網をかければいいのですが、日本では、小学校から高校まで、まだまだ町のサッカーチーム、学校の部活動が指導を担っていますから複雑で大変です。

ただ、そこに手をつけないと、日本サッカーにおける指導者の未来像は描けないと思います。
おそらく日本サッカー協会は、ある程度のことを考えてはいるでしょうむけど、文部科学省や毛細血管の先にあるような町クラブの果てまで巻き込むことについてはどうなのでしょう。
知りたいところです。

冒頭、申し上げましたように、今回の書き込みは提言型ではなく、スペイン発・佐伯夕利子氏の知見を皆さんにもお伝えしたいという趣旨です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「伝説の年、1997~1998年」 もう一つの検証事項

2015年02月05日 22時27分47秒 | サッカー日本代表
前回の書き込みで「伝説の年、1997~1998年」、それはただの伝説の年ではなく、検証すべき事が残された「伝説の年」ということで、日本代表加茂監督更迭、岡田コーチ昇格に絡む検証事項を取り上げた。

そして、この年の、もう一つの伝説は「カズ選手のワールドカップ代表落ち」である。これも、まさしく大事件、大伝説となった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アギーレ問題、サンスポだけ論陣を張り続けている感じ

2015年01月10日 21時34分23秒 | サッカー日本代表


12月15日のアジアカップ代表メンバー発表後、スペイン発で飛び込んできた「アギーレ八百長関与」問題。

翌16日、主要スポーツ紙のうち3紙が一斉に1面トップで報じて以来、今日1月10日まで26日間経過した。最初の4日間は連日3紙以上が1面トップで報じていたが、12月20日以降、1面トップは、1月5日の2紙以外、1紙取り上げる日が何日かある程度だ。そうそう毎日ネタがあるわけではないだろうから。

12月23日から1月4日までの13日間は、アギーレはおろかサッカーネタが1面に来る日がなかった。

12月23日に、当ブログの書き込みでは、たまたま日刊スポーツ紙が、中のほうのページで、見出しと本文に「FC東京」のことを言っているのに「東京」とだけしか記述せず、あやうく「東京ヴェルディ」なのか「FC東京」なのか判断がつかない記事を書いたと指摘したが、この時期あたり、アギーレ問題の報道では日刊スポーツ紙が一歩リードしていると感じていた。

その日刊スポーツも、1月5日を最後にアギーレ問題を1面トップから外している。
翌1月6日は、どういう風の吹き回しか、スポニチ紙だけがサッカーをトップに持ってきたのだが、ネタは武藤嘉起選手だった。他紙はアギーレ問題はもちろんのことサッカーを1面にしていない。

すると、日刊スポーツ紙と入れ替わるように、1月7日からはサンスポ紙だけがアギーレ問題をトップに据えるようになった。7,8,10日と3回だ。その間、他紙は全くサッカーを1面に持ってきていない。サンスポ紙も12月21日から1月6日まで17日間アギーレ問題をトップにしていなかった時期があったわけなので、何か理由があってスタンスを変えたような感じだ。

私は、サッカーファンの間でアギーレ問題は議論が二分していると思う。まだ責任問題を追及するのは時期尚早だという意見と、そもそも協会がろくに調査もせずに招へいしたことが間違いだ。協会の責任も含めて、早めにケジメをつけるべしという意見だ。

アジアカップが近づくにつれて他紙が少し静観気味になっているのに、サンスポ紙だけが論陣を張り続けている理由も、おそらく矛先を協会に向けているからであろう。

協会が一番恐れているのは、マスコミを通じて、事が大きくなってしまうことだ。マスコミさえ騒がなければ、政治問題になる心配もないし、ある意味痛くも痒くもない。けれどもスポーツ紙から火がついて、次に週刊誌などのメディア、そして、一般新聞やテレビなどにも取り上げられる事態になってしまうと大変なことになる。

スポーツ紙は、そういう流れに持っていければ、その口火を切ったメディアとして存在をアピールできる。

12日からアジアカップの日本の戦いが始まる。協会は、アジアカップでそれなりの結果が出て、とりあえずアギーレ問題を一旦沈静化させたいところだが、期間中、スポーツ紙は日本が勝っても負けてもアギーレ問題と絡めて報道するに違いないし、グループリーグでも日本が負けたりすれば、次の試合まで何日間か各紙とも1面トップが続くに間違いない。

サンスポ紙のアギーレ問題論陣を読みながら、そんなことを感じた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久しぶりの日本代表戦に感じたこと、それは、やはり本田、香川両選手のことです。

2014年03月08日 20時49分46秒 | サッカー日本代表

水曜日に、久しぶりの日本代表戦がありました。

前半17分までに4点も入れて、この先どれぐらい入るんだろうと思いましたら、日本はゼロで逆にニュージーランドに2点返された試合です。前半17分以降試合終了までの間、せめて後半にもう1点でも入れていれば、全然違う印象になったのでしょうが・・・・。

さて、試合経過もさることながら、やはり気になるのは本田圭祐選手と香川真司選手です。でも、今回、私は、これまで抱いていた気持ちと違う気持ちになりました。

わかりやすく言えば、二人とも日本代表の試合に戻れば、楽しく前向きに、いい仕事をしてくれる、二人とも、日本代表での試合をそのように楽しみにしているので、何も心配することはないという気持ちです。

特に本田選手は、ACミランで次第に自分の存在感を示し始めるに違いないと信じるに足る選手だと思うし、香川選手にしても、リーグ戦へのコンスタントな出場は望むべくもないと思いますが、ワールドカップまではマン・Uの選手として何試合かは出るでしょう。

その上で日本代表に戻ってくれれば、本人たちは生き返ったように動き回るんだな、ということが、ニュージーランド戦でわかったわけです。

これで、二人の所属クラブでの仕事ぶりを見る目も、ずいぶん穏やかになるような気がします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬の移籍市場がやってきて、本田と香川は・・・。

2013年12月22日 21時05分18秒 | サッカー日本代表

さる9月7日のブログで、本田圭祐選手と香川真司選手のことを冬の移籍市場で話題になりそう選手ということで書いた。正確にはもう一人、柿谷曜一朗選手も話題になるのではと書いたのだが、柿谷選手は来年のワールドカップ次第ということになりそうだ。

そして、いよいよ冬の移籍市場がやってきた。まだ移籍市場はスタートしていないが、本田選手は結論が出ており、香川選手も話題にならないで済みそうだ。

香川選手の場合は、絶対とは言えない状況で、試合毎に一喜一憂する起用が続きそうなので、憂いを抱く起用の翌日はすぐ「やはり放出か」とか「移籍くすぶる」といった報道になる。

年の瀬も迫る12月27日のネット情報は「香川、高まる放出可能性 4戦不出場もチームは3連勝」といった具合だ。

9月7日のブログで、私は次のように書いた。

「私は、この夏の移籍市場でさっさとスペインに移籍すればよかったと思う。もし、そう動いてもマンUは引き留めなかったと思う。むろん、ファーガソンに仁義を切るというプロセスは必要だろうが、それでもファーガソンは香川の気持ちを大事にしてくれたと思う。

しかし、彼は日本人だ。彼にはそんなことはできない、考えもつかない。しかし、現実は冷酷だ。とにかく向こう半年、彼は冷や飯を食わなければならないだろう。これはトップチームの宿命だ。マンUがこの先、よほどつまずいて、モイーズが、ありとあらゆることを試さなければならない場面が来て、その時チャンスを得た香川が目の覚めるような活躍をする、そういうシナリオでも来ない限り、マンUでの香川に先はない。

したがって、彼も本田と同じ、冬の移籍市場に活路を見出すほかない状況にある」と。

この半年、最初の頃は、古巣のドルトムントが欲しかったという報道がみられた。いまはもうドルトムントの戦力は整ったらしく、その線は消えたという報道だ。

来年になればワールドカップイヤーなので、試合慣れの半年を送らないと代表としても由々しきことになる。もうマンチェスター・Uにこだわる時期は終わったと思う。自分からスペインを希望して移籍して、試合に出続けることを選択して欲しい。

一方の本田圭祐、楽しみだ。早くミランのユニフォームをまとってイタリア語を口走りながらピッチを疾走してもらいたい。

先日、インテルとのミラノダービーを観ていたらフリーキックはバロテッリが蹴っていた。本田が入って2~3度はバロテッリと交代で蹴り合うだろうから、その2~3度のあいだに文句なしのゴールを直接決める必要がある。名門クラブでの宿命だ。でも本田の気持ちの強さは折り紙つきだ。自然と彼がピッチの王様になるだろう。

そして3月には長友とのダービーだ。これこそまさに日本のサッカーファンの夢の一つが叶う場面だ。場合によっては長友がこのあいだのようにキャプテンマークを巻いてマッチアップするかも知れない。

あらためて凄いとしかいいようのない場面が想像される。

かつて、カズ、三浦知良がイタリアに渡ってから20年、ヒデ、中田英寿がイタリアにわたってから15年、とうとうビッグクラブで二人の日本人選手がダービーマッチを戦う時が来た。偉大な先達のレールを辿り、進化させてきた日本サッカーの結晶がピッチで躍動するのだ。

あぁ、なんと愉しきかなサッカー、なんと痛快かなフットボール。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年は野球の年でしたね。

2013年11月04日 15時57分50秒 | サッカー日本代表

昨夜、プロ野球日本シリーズで、東北楽天が巨人を破り日本一を決めた。

震災復興に立ち向かう東北の「底力」を日本全国が後押しするような構図、星野監督が成し遂げていなかった日本一を、悲願だった巨人を倒して達成できるかが懸ったシリーズ、シーズンを無敗で投げ抜いた、マー君、神の子、不思議な子、田中将大投手がチームを日本一に導けるかどうかの関心、これほどドラマ性に満ちたお膳立てというのは、スポーツ全体を見渡しても、そうあるものではない。

しかも相手は、球界の盟主と言われ、今年も圧倒的な戦力の力を見せつけてセ・リーグを制覇した巨人だ。戦前の下馬評では、どうしても田中将大一人の楽天に対し、総合力で一枚も二枚も勝る巨人有利、致し方のない下馬評である。

最終の7試合までもつれ込んだシリーズ、ドラマは、これ以上ない展開で最終章を迎え、そのドラマの完結役に星野監督は迷わずマー君をもってくる。

前日160球投げたピッチャーをまた投げさせる云々の是非もかまびすしい。けれども、まさに織田信長が本能寺の変の際につぶやいたとされる「是非もない」心境での投入であることはよくわかる。

マー君はマー君で、自分が先発した前夜の試合で決め切れなかった自分のふがいなさを胸にしまい込み、二度と同じ轍は踏むまいという強い気持ちだけでマウンドに駆け上がっただろうし、そのとおり投げ切った。

楽天の勝因、巨人の敗因、いろいろと、その道の専門家が指摘してくれるに違いない。

こうして、野球シーズンが終わるのを見て、つくづく思うのは「今年は野球の年だったねぇ」ということだ。まさに嘆慨。

野球に関しては、記録づくめの、何十年に一度の年だったと言っても過言ではない。

海の向こうでは、イチローの日米通算4000本安打、上原浩治がワールドシリーズで最後の打者を打ち取ってのチャンピオン、日本では王さんの記録を塗り替えるバレンティン選手の60本塁打、マー君の昨年からの連勝記録を伸ばしたまま24勝無敗でレギュラーシーズン終了、そして楽天・星野監督の日本一である。

これほどの記録とビッグニュースが続けば、スポーツにあまり関心がなくとも脳裏にはインプットされる。

我が「サッカー文化フォーラム」としては、当然のことながら「サッカー界には、話題も何もなかったっけ?」という気持ちになる。

いやいや、そうではない。

サッカーにも、それなりにビッグな話題があった。我が日本代表のブラジルW杯アジア予選突破、天才・柿谷曜一朗の覚醒、カズ選手の最年長ゴール記録更新etc.

でも、いかにも印象が薄い。W杯出場権は獲得したものの、コンフェデ杯でも、その後のテストマッチでも不安にさせる内容ばかり。海外クラブの選手たちもマンチェスター・Uで出場機会を激減させている香川真司、なかなかビッグクラブ移籍が実現しない本田圭祐など、むしろフラストレーションが溜まるような話題ばかりだ。

昨年、楽天と本拠地を同じくするベガルタ仙台は、あと一歩のところで優勝を逃した。今年こそはという期待もあったと思うが、もはや優勝は望めない。そうした中での楽天優勝だ。ここにも流れをつかみ損ねたサッカー界の姿を見る。

マー君が先発で負けた土曜日にはナビスコカップ決勝があった。優勝した柏に対する敬意にはいささかも陰りはないのだが、相手の良さを消すことで勝利に徹した柏の戦いぶりより、攻めて攻めきる浦和のサッカーに期待したことは確かだ。

しかし、ここ3年間必ず何かのタイトルを取り続けている柏の実績には誰も文句が言えないし、いくら攻撃的な面白いサッカーを見せてくれる浦和でも、ここ一番で勝てないシルバーコレクター的なチームになっては浦和とサッカーを愛する人たちの共感もいまいちになってしまう。

いまの浦和には、楽しい攻撃的なサッカーをして、なおかつタイトルを取りきるために足りないものが、まだまだ多すぎる。以前、10月10日のこの欄で「宿命のライバル、マドリッドVSバルセロナ」について書いた時に、Jリーグにおいて、永遠のライバルと呼ばれる関係を待望すると書き、一つは鹿島だが、もう一つにどこが台頭するかと書いた。

そのチームの条件として、カリスマの存在と、その選手がもたらしたメンタリティー「・・・イズム」の存在をあげた。実は浦和にはギド・ブッフバルトというカリスマレジェンドがいる。そして彼がもたらしたファイティングスピリットは、かけがえのない「ギドイズム」といえる。

実は今の浦和にはそれが足りない。「絶対にゴールは割らせない」というギドイズムはいつの間にか失われてしまった。これはチームフロントの問題なのだ。チームフロントが歴史を貫く一本の哲学を持って、それを継承する思想がないと、いいものもすぐ失われる。鹿島とその他のチームの違いはその1点にあると言っても過言ではない。浦和が鹿島に比肩するライバルとなろうとするなら、いますぐ、ミシャ(浦和ベドロヴィッチ監督)のサッカーを継続しつつ、ブッフバルトのスピリットを加わえる方策をとるべきだろう。

まぁ、日本代表への思いや浦和への期待をいろいろ書いたが、サッカー界、いつもいつも「我が世の春」とはいかない。浦和にはリーグタイトルの可能性があるが、正直、難しいのではないかと思っている。

来年のブラジルW杯での日本代表の戦いにも、あまり期待できなくなっているが、年を越せばわからない。潮目が変わるということがある。

どうか来年は良い年でありますよう。来年は「今年はサッカーの年ですね」と言えるようになりますよう。気の早い年越し宣言です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グアテマラ戦を見て、冬に思いをはせる?3人を思う

2013年09月07日 21時23分57秒 | サッカー日本代表

昨夜は、日本代表のグアテマラ戦が行われ、久しぶりに相手をゼロに抑えた。試合の評価などは私ができる立場でないので、やめる。

ファンとしての私のみどころは二つ。一つは本田、香川、柿谷が充実感のある終わり方ができるかどうか、もう一つは、守備陣。

守備陣の、誰と誰の組み合わせがいいとか、個々の能力がどうとか、これはもう、残された期間で頑張って欲しいと願うしかないだろう。

そんな中、攻撃の3人は、それぞれに思うところを抱えながらのゲームだったろう。

本田は例の移籍問題、それにしても変なクラブに身をおくことになったなぁと思っていたら、サッカー界とはおよそ縁のなさそうな鈴木宗夫センセイ、そう、北海道は足寄町を生涯大切にしている新党大地・代表の解説を見つけた。

おととい5日の日刊スポーツ朝刊を見たら、中ほどのページに「本田ミラン、今夏移籍破談の真相」という企画記事が載っていた。この日は(中)となっていたので、上中下の3回企画だろう。

話は脱線するが、スポーツ紙、以前なら一面トップがサッカー関連でなくても終面で扱っていれば入手していたが、ここ最近は一面トップにサッカーが来ない限り入手しないことにした。5日の日刊スポーツトップは「メッシが五輪招致でマドリードを支持」、ちょっと寂しい感じのサッカー関連だが、関連は関連だ。この記事がなけれぱ鈴木宗男センセイの記事には出会わなかった。それが、上中下の3回企画のうちの(中)というわけだ。

宗男センセイによれば、ロシアという国では「こっちの足元をみた」と思われたら絶対交渉が成り立たないとのこと、つまりミランはCSKAにそう思われるようなことをしたのだ、ということらしい。

私は、それより何より、先駆者・本田が「ここの国のリーグに移籍などするもんじゃない」と、後に続く選手たち、そして代理人たちの骨の髄まで沁みわたる教訓を残してくれたことのほうを重視している。わかりやすい言い方をすれば「ロシア? だめだこりゃ」である。

先駆者・本田圭祐が、VVVフェンロからCSKAに移籍する際、本人そして代理人がロシアのこのような交渉スタンスをどれぐらい知識として掴んだか、それが3年半後、これほど人生の足かせになることを予測できたか、これは検証に値する事案だと思う。

世界のトップチームでプレーする機会は、ごく短いしチャンスも限られている。本田圭祐は、いまキャリアのピークと言える時期にいる。その彼が、明らかな「飼い殺し」状態だ。チームの選択、代理人の選択がどれほど選手生活を左右するか、本田の事例は、サッカー界の内部事情に素人の私でも感じる教訓だ。

グアテマラ戦の彼を見ていて思うのは、エースとしてのプレーぶりがどうこうではなく、この件が影を落としているのかいないのかという1点に尽きた。

次に香川真司、彼はいま挫折期に入っている。セレッソのJ2時代にクルピの薫陶を受けて開眼して以来、上昇の一途を辿った彼のキャリアは、モイーズによってブレーキをかけられた。これもまた人生、さもありなんである。

私は、この夏の移籍市場でさっさとスペインに移籍すればよかったと思う。もし、そう動いてもマンUは引き留めなかったと思う。むろん、ファーガソンに仁義を切るというプロセスは必要だろうが、それでもファーガソンは香川の気持ちを大事にしてくれたと思う。

しかし、彼は日本人だ。彼にはそんなことはできない、考えもつかない。しかし、現実は冷酷だ。とにかく向こう半年、彼は冷や飯を食わなければならないだろう。これはトップチームの宿命だ。マンUがこの先、よほどつまずいて、モイーズが、ありとあらゆることを試さなければならない場面が来て、その時チャンスを得た香川が目の覚めるような活躍をする、そういうシナリオでも来ない限り、マンUでの香川に先はない。

したがって、彼も本田と同じ、冬の移籍市場に活路を見出すほかない状況にある。

グアテマラ戦の本田と香川、本田はすっかり自分の置かれた立場を熟知して、いわば達観しているのに対し、香川はまだ自分の立場を受け入れられないでいる。

グアテマラ戦後にセルジオ越後氏が、サッカーキングの取材に対し「(前段略)それから、香川の状態がよくないね。あれではマンチェスター・Uでベンチ外に置かれるのも納得だよ。相変わらずチームの戦術ともマッチしていないのも気になる。あるいはこれが彼の真の実力なのかもしれない。煽り報道による過度な期待とプレッシャーが、彼を潰してしまうんじゃないかと心配しているよ」とコメントをしている。

私は、因果関係が逆なのではないかと思っている。グワテマラ戦での香川がよくなかった理由は、しばらく実戦から遠ざかったからではないかと。彼はサブで力を発揮するタイプではない。試合に出続けて、自然に体が動く感覚を保ち続けてこそゴール前での、あの流れるようなプレーができる選手だ。

セルジオ氏が指摘した「煽り報道による過度な期待とプレッシャー」は、彼がドルトムントで見せた素晴らしいプレー、そして世界中の選手がそのクラブの一員になれることをめざして努力している最高峰のクラブ、マン・Uに誘われた流れを見れば、その間の報道ぶりが、煽りでも過度でも、なんでもなく、日本中の祝福と期待の表れとして当然の程度だと思う。

彼がプレッシャーに感じるところがあるとすれば、それは現在の彼の胸のうちに理解を示さず、ただ「プレーがダメなんだから、彼は期待に値する選手ではないのだ」と烙印を押されてしまい、代表などでの居場所を少しづつ失う可能性に対してではないかと思う。

このコメントを見返すには、香川が自分の居場所を早く見つけて、ドルトムント時代のような縦横無尽のプレーを取り戻すしかない。

最後は柿谷曜一朗、やはり伸び盛りの選手の未来を思うことほど楽しいことはない。得点こそなかったが、柿谷はすっかりザックジャパンの中に居場所を得たようだ。彼と本田が入った後半、攻撃が活性化して3得点という結果に結びついたことは誰の目にも明らかなのだから。この試合についてセルジオ越後氏が柿谷のことをコメントした記事は目にしていないが、さきの東アジア選手権、大会MVPは山口蛍選手だったが、セルジオ氏が「個人的には柿谷がMVP・・・」と言ったとか。

柿谷が今後、輝きを失った時「煽り報道による過度な期待とプレッシャーが、彼を潰してしまうんじゃないかと心配しているよ」などとコメントしないことを祈るばかりだ。もっとも柿谷自身は、ティーンエイジャーの頃「天才」ともてはやされたものの、その後、挫折の時期を送って、少しタフになっている。心のコントロールが、ある程度できるところまで成長しているように見える。

その彼もこの冬の移籍市場を賑わすに違いない。

そう、つまり期せずして、この3人は、この冬の移籍市場で話題になり、その後のパフォーマンスが来年のワールドカップの日本代表を大きく左右するという、重要な3人だ。

来週、今度はガーナ戦があるという。そして秋の欧州遠征、試合数は少ないが、この3人と守備陣、興味が尽きない秋になりそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東アジア杯を見ていて、さまざま不安にさいなまれ、そして感涙にむせぶ。

2013年07月28日 22時26分21秒 | サッカー日本代表

リアルタイムで東アジア杯最終戦、韓国vs日本戦を見ながら書いている。

書きたい衝動に駆られたのは、当然のことながら相手が韓国であり、私たちが考える通常の試合とは別な力が働いていることが大いにあり得るからだ。

あり得ると断定的に書くのは、歴史が証明しているからだ。2002年日韓W杯の韓国の成績は、歪んだ形で得たものだ。

現在、韓国は政治的に極めて日本に対して挑発的である。もはや常軌を逸した態度としかいいようがない。そのような中での日韓戦である。何か別な力が働く可能性があるのでは、と思うほうが常識的だ。

もちろん、それを働かせるのは選手・ベンチではない。試合の組み方、審判団、その他諸々、ピッチ外の仕掛けが施される可能性があるということだ。

もっとも試合に直接影響を与える可能性があるのは審判団だ。いま私たちは、試合をそのような眼で見なければならないほど不信感を抱く環境なのだ。

そうしているうち試合は終わり、結果は2-1、日本の勝ちだ。

けれども、私は「何事もなかった」と見ているのではなく、あまり露骨な形で韓国に勝利させるほどは条件が整わなかったのだと見ている。

つくづく思うのは、日本人ほどフェアプレー精神旺盛な民族はないということだ。上記のような私の見解は、通常の日本人から見れば「何もそこまで不信感をもって見る必要はないのでは」と感じる人が多いだろう。

でもそれは、世界標準から見れば「これほど単細胞なお人好しな民族はない」ということになるわけで、こと地球規模のスポーツの世界を知っている民族なら決して抱かない感覚だ。

リアルタイムで見ていた日韓戦は1-1のまま後半ロスタイムまで進んだ。私は審判団がどう韓国に決定的チャンスを与えるジャッジを与えるのか、とにかく不安にさいなまれていた。とても純粋に試合の成り行きを見てなどいられない。それが地球規模のスポーツの世界にあり得る不安なのだ。

しかし、そういう場面は訪れず、逆にロスタイムに天才・柿谷がゴールを決め感涙にむせぶ結末となった。審判団はできるだけ目立たない形で韓国をバックアップした。ロスタイム5分、いまはアディショナルタイムを呼ぶが、その5分というのは、明らかに韓国へのプレゼントだ。通常のジャッジなら3分以内でしかない。しかし、その長さは日本に味方してしまった。

さまざまな不安にさいなまれていたからこそ、感激のインパクトも大きく、ただ、ただ「偉い」と叫ぶことになったのだ。

試合終了のホイッスル直前には、相手のシュートをゴールライン上で豊田陽平がはじき返した。

柿谷、豊田。今回の代表で活躍して欲しいと、日本の多くのサッカーファンが願っていた二人が、いい仕事をしてホイッスルが鳴った。

だから、なおのこと涙が止まらないのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

祝・日本W杯出場、韓国と同組でない今回の心穏やかさ

2013年06月07日 15時31分20秒 | サッカー日本代表

6月4日の豪州戦、勝ったわけではないのに、劇的な形で出場権を決めたので、幸福感が増幅した。本田圭祐の気持ちの強さも、あらためて日本全国に知れわたった。

いろいろなメディア・ジャーナリストが書き連ねていたように、本田とそれ以外の選手の差が際立ち、世界で戦える選手は本田一人だけという風潮にまでなっている。それはないだろうと思う。

香川だって長友だって、試合による出来ふできはあるもので、いろいろな大会を乗り切るために彼らの力がチームを救うことは、これからも多いにあるだろう。

特に香川は、まだ中心選手と言われて間もない。むしろ、この先一年で堂々たる中心選手になっていくことだろうことは、これまでの多くの選手の辿った道と同じだと思う。

祝・日本代表の記事が満載になっていた翌朝のスポーツ紙、そして、代表の共同記者会見で本田圭祐選手がチームメイトの名前を次々にあげながら、今後の課題をあけたことで、翌々日のスポーツ紙も、その話題が大きく取り上げられていたが、その日になってめくった中程のページで「韓国がグループ首位に」という記事を見つけた。

韓国と同組でないアジア予選が、これほど心穏やかなのだということを、あらためて感じた。韓国と同組で戦いたくないのは、もはや理屈抜きの感情になっている。もし同組だったら予選期間中、ずっとさざ波がたったまま過ごさなくてはならないことが目に見えている。

アジアカップなど域内の大会は致し方ないとしても、次の1018年ロシアW杯予選、あと3年後ぐらいに始まる時にどうなるかだ。

まずは、心穏やかな中での出場決定、誠にめでたし、めでたし。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テストマッチ・ブルガリア戦、ひさしぶりの出来事

2013年06月02日 21時05分20秒 | サッカー日本代表

日本代表のブラジルワールドカップアジア最終予選の、仕上げの時がいよいよ近づいてきた。

というよりは、3月のヨルダン戦に負けてしまい、待ちぼうけを食らったという感じのファンも多いかも知れない。

しかし、勝ち点あと1まで漕ぎつけたといっても、何もまだ得ていないというのがW杯予選である。とにかく勝ち取るまでは、何も勝ち取っていないという気持ちでいる必要がある。

6月4日のオーストラリア戦、難敵である。勝ち点1取れるのか、わからないが信じるしかない。

仮想オーストラリアのためのテストマッチがブルガリア戦だったとのこと。戦い方とか、いわゆるサッカースタイルが似ているということなのか、詳しく調べてもいないのでよくわからないが、一つだけ似ていたのは強豪だということだ。オーストラリアよりずっと強いのではないかと感じるぐらい強豪だった。

もっとも長友選手などは、この試合を受けて「これではとても世界と戦えない、危機感でいっぱいだ」とコメントしたと言われている。日本の事前の分析不足・対策不足も相当なものなのだろう。

この代表チームに感じることの一つに、どうもスカウティング不足というか、敵陣分析についての熱心さがどうなのかということがある。

まぁ、なんだかんだ言っても、あと勝ち点1。どんな形で勝ち取るのか。前回書きつづったように、やはり本田頼みかな・・・・。

ところで、前置きが長くなったが、本日のテーマは「ブルガリア戦、久しぶりの出来事」だ。

これは試合中に起こった出来事とか、テストマッチとして久しぶりとか、そういうことではない。

翌日のスポーツ紙の扱いが久しぶりということだ。ブルガリア戦の翌日、5月31日金曜日付けの東京版主要スポーツ4紙朝刊の1面はすべてブルガリア戦の敗北を伝えていた。

この、東京版主要スポーツ4紙朝刊の1面にサッカー関係が来たのが久しぶりなのだ。では、どれぐらい久しぶりだったのか、前回、トップでサッカーが扱われたのは、4月24日、なんと37日ぶりなのだ。この間隔を詳細に確認する必要があるが、おそらく1993年にJリーグがスタートしてから最長の間隔ではないかと思う。いずれ詳細確認して報告したいが、それにしても37日間一面トップにサッカーが来たことがなく、はプロ野球、競馬をはじめとした他の出来事だったのだ。

ちなみに、その4月24日は、香川真司のマンUがプレミア制覇した記事で、日刊スポーツ、スポニチ、サンスポの3紙がトップに持ってきた。あぁ、そうだった、そんな感じの記憶だ。

それにしても20年たっても日本のスポーツ紙は、やっぱりプロ野球中心の社会だ。そのほうが売れるというのだろうから、どうしようもない。サッカーの場合、強ければ売れるだろうけれど決して毎日試合があるわけではないから、たとえ強くてもプロ野球を逆転してしまうような扱いは未来永劫ないだろう。プロ野球を終面に追いやってJリーグが1面に来ることも、これから先ないだろう、これが日本のスポーツ紙の風土というものだと、あきらめるしかない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする