中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,038話 建前と実態に生じている大きな差

2021年07月14日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「ロールプレイングをはじめ、ディスカッションなど2名以上で行うものは、すべて中止してください。」

これは弊社がある企業の研修を担当させていただく前に、研修のご担当者からいただいたメッセージです。この企業では、コロナ禍における研修の進め方としてオンラインではなく、対面型の集合の形で行うことを決断されたのですが、感染を避けるために演習はすべて個々で取り組むスタイルで行うとの考えでした。

コロナ禍になり既に1年半ほど経ちますが、多くの企業が感染拡大を防ぐための様々な取り組みを行っている中、弊社が担当させていただく研修の8割もオンラインを通して行われるようになりました。

一方で、コロナ禍においても研修は同じ会場に集合し対面で行う方が効果を高いとの考えから、感染防止を徹底した上でロールプレイングやグループディスカッションを積極的に取り入れたいと考える企業もあります。

コロナ禍での研修の進め方は、個々の企業によって様々な考え方がありますので、いずれも否定されるものではありません。研修を担当させていただく者としては、それぞれの企業の考えに基づいて、制約条件がある中で最大限の効果が得られるように進め方を工夫しています。

このため、冒頭の企業の研修では、すべての演習を個人で取り組めるものに変更して進めましたが、研修中に一つ気になることがありました。

それは、受講者の休憩時間の過ごし方です。研修では、1時間に1回は休憩をとってほしいというご要望もいただいていましたので定期的にとるようにしていたのですが、休憩時間になった途端に受講者同士が盛んに雑談をしていたのです。

受講者同士が積極的にコミュニケーションをとることは、本来は歓迎すべきことではあります。しかし感染リスクを避けるために研修で行う演習を受講者同士の接触をなくすものにしたのにもかかわらず、休憩時間に受講者同士が接触してしまっては、その意味がなくなってしまいかねません。

休憩時間のたびに同じ光景が繰り返されたのですが、研修のご担当者は特に受講者に注意を促すこともなく、その様子を眺められていたのです。

これを見て、建前と実態に大きな差が生じてしまっているように私には感じられました。組織の建前として感染防止を徹底するけれど、休憩時間は「個人の責任でお好きなように過ごしてください」と言っているような感じがしました。研修中は組織としての責任の範囲だけれど、休憩時間は個人の責任というように考えられていたのかもしれません。

これでは、いわば「部分の最適」にはなっていても、「全体の最適」にはなっていないと言えるのではないでしょうか。

コロナ感染防止の対策に限った話ではありませんが、たとえば組織のルールを決めたとしてもそれで安心してしまって、実態が伴わないということはよくあることです。しかし、それでは本末転倒になってしまうわけで、全体の最適を目指して一貫した取り組みを進めていくことが必要なのです。

何事にも、まずコロナの感染防止を最優先に考えなければならない現在ですが、目的をきちんと意識したうえで、それに向けしっかりと取り組んでいくことが必要であるということをあらためて考えた瞬間でした。

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