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融資担当者は消える職業?

2016年01月17日 | コンサルティング

ロボットとAIの急速な普及により、近い将来人間が行なっている仕事の半分以上が無くなると言われています。英国オックスフォード大学M・A・オズボーン教授の論文によれば、銀行の融資担当者、スポーツの審判などの職業がコンピューターに取って代わられる確率は90%以上だそうです※。

「創造性を必要としない仕事はすべてテクノロジーに代行される。」とビル・ゲイツ氏は言っています。

確かに、仕事自体の複雑さの違いはあっても、消える職業は蓄積された知識や情報をフルに活用すれば「機械でもできるかもしれない」と思わせるものがほとんどです。

しかし、中には、ちょっと待てよと言いたくなるものもあります。ロボットが動物のブリーダーをできるのか、彫刻師の代わりに大型の3Dプリンターが芸術性の高い作品を作れるのか疑問です。

私がいちばん疑問に思ったのは、リストの最上位にある銀行の融資担当者です。

銀行の仕事は資金を貸して金利を得ることです。コンピューターは、ビッグデータを使って融資案件ごとにリスクを計算し、数値で示すことができます。融資限度額や金利、その他の条件も一瞬にしてはじき出せます。

リスクとリターンをどう評価するかは、金融機関ごとに異っていますが、コンピューターが計算したリスクとリターンの関係を示す一本の曲線(直線かもしれません)上のどこを選ぶかという違いにすぎません。

銀行はローリスク・ローリターンで、ベンチャーキャピタルはハイリスク・ハイリターンで評価をするでしょう。合理的に考えれば、その曲線上から外れた条件で金融機関が融資を行うことはあり得ません。

しかし、その合理性には「人間」に対する期待値が加味されていません。

J.M.ケインズは、企業家の、リスクを好む非合理的な心理をアニマルスピリット(血気、動物的な衝動)と呼び、それがイノベーションの源泉となり、経済の発展に重要な役割を果たすと述べています。

過去に銀行の融資担当者の中にも、思い切ってその経営者の人間性に賭けてハイリスクな融資を行った担当者がいたはずです。そうした銀行員なりのアニマルスピリットがあったからこそ、「大化け」する企業が生まれたのだと思います。

数値では測ることができない「人を見抜く目」を持っていれば、銀行の融資担当者も創造的な仕事になるのではないでしょうか。

※ オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」 より

(人材育成社)

 


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