中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第936話 仕組みにこだわると、人は成長しなくなる

2020年07月08日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「この書類を提出することは、社内のルールになっています」

これは弊社がコンサルティングを担当させていただく際に、その企業の社員からよく聞く言葉です。書類の使用目的ははっきりとはわからないけれども、以前からのルールになっているため、とりあえず提出しているとのことです。

このような状況のときには、書類を提出するルールになった理由を経営者や管理者にお聞きしていますが、多くの場合は「過去にクレームが起きたことがあったため、再発防止のために書類の提出を義務にした」というような答えが返ってきます。

このようにトラブルが起きるたびに新たなルールを作ったり、マニュアルを変更したりするなど、仕事を「仕組み」にすることは、再発防止のためには意味のあることです。しかし、冒頭の例のように時間の経過にともなってそもそもの理由が形骸化してしまうと、手段自体が目的化してしまうことになります。

ここでいう仕組みとは、異動や退職によって人が変わることがあっても、仕事がまわるシステムを構築することであり、制度やルール・マニュアルなど、組織を運営していくための決まり事や方法などのすべてを指します。

仕組みにすることのメリットは、仕事の手順をシステム化することによって、各自の知識やスキルなど属人化したものに頼らずに、仕事を平準化できることにあります。新人や異動直後であっても仕事の手順がシステム化されていれば、その仕事を比較的短時間で身に着けることができるのです。

そのように考えると、仕組みは組織を運営していくうえでなくてはならない大切なものだということがわかります。

しかし一方で、仕組みに依存し過ぎてしまうと、マイナスの面が生じることもあります。たとえば、目の前でトラブルが生じていて「おかしい」と感じたとしても、それが仕組みになっていないことを理由に目を背けてしまったり、他者に伝えるべきことを伝えなかったりしてしまいかねないのです。

このような状態が続くと、やがて社員は主体的に動くよりも決まった仕組みに従う方が圧倒的に楽だと感じるようになってしまい、自ら成長することを放棄してしまうことになりかねません。それは本末転倒の事態と言えます。

それを避けるには、どうすればよいのでしょうか。

まず、仕組みが必要な仕事とそうでない仕事をはっきり分けることが必要です。一般的に、仕組みが有効に働くのはルーチンワークと呼ばれる定型的で繰り返し行う作業です。反対に状況対応が必要なものには仕組みは向かないということが言えます。

本来は仕組みが必要な仕事なのにそれがない場合には、トラブルが起きたり生産性が下がってしまったりしますので、この仕事には仕組みが必要なのか否かをきちんと見極めることが必要です。

そして、仕組みを作る場合には、何でもかんでも仕組みに頼ろうとしてしまうと前述のように社員が育たなくなるというマイナス点もしっかり認識して進める必要があります。

コロナ禍をきっかけに、多くの企業でテレワークが始まって3か月が経過していますが、ここにきてテレワークならではの課題も顕在化してきているようです。

今後、テレワークをよりよく進めていくためにも、新たな仕組みが必要になっていくものと思われますが、ぜひ仕組みと社員の成長のバランスを取りながら進めていただくようにお願いいたします。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


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