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「思います」を連発するのはなぜか

2016年06月08日 | コンサルティング

連日、舛添東京都知事の政治資金流用問題にかかる記者会見や都議会でのやりとりでの報道が続いています。これらの報道を見ていて私が疑問に思うのは、数々の問題点はもちろんなのですが、答弁で知事が連発する「思います」という表現です。

 

「心から深くおわび申し上げたいと思います。」、「ご説明申し上げたいと思います。」、「都民の皆様にお応えしていきたいと思います。」、「湯河原の別荘は売却しようと思います」と、「思います」のオンパレード。

 

これほどまでに「思います」を連発されると、なぜ「深くおわび申し上げます。」「ご説明申し上げます。」とはっきり言わないのだろうと、思わず違った角度から突っ込みを入れたくなります。

 

「思います」表現については、以前このブログでも取り上げています(「言い切れば実現する可能性が高くなるのではないか」http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/d/20141001)が、ここ最近は、前にも増して「思います」表現を使う人が増えたように感じています。

 

以前ある案件に関して、その道のプロとしての見解を聞きたくて質問をした際にも、「○○だと思います」と言われたことがあるのですが、「思います」では、主体的な意思がまったく感じられず、答えがどこか他人事のように感じたことがありました。

また別の場面では、セーターの購入を迷っているときに「このセーターは家で洗濯しても大丈夫ですか?」と店員に質問したのですが、「たぶん大丈夫だと思います」と言われ「本当に大丈夫なのだろうか?」と心配になってしまい、購入をやめたことがありました。

しかし後日、別の店で同じセーターを見つけ同様の質問をしたところ、今度は「大丈夫です」とはっきりと返答が得られたので、安心して購入したことがありました。「思います」という表現と明確な表現の違いを大きく感じた瞬間でした。

 

「〇〇と思う」は、意思や事実を意図的にあいまいにし、「自分はそう思うけれど、事実は必ずしもそうとは限らない」と物事の断定を避けている表現です。

 

それではなぜ、事実をあいまいにしたり、断定を避ける言葉を使うことが多いのでしょうか?

いろいろな理由が考えられますが、一つには、はっきり断定してしまったが違った結果となってしまった場合に、あとでその責任を追及されたり、責任を取らされる事態を避けたいという意識からなのではないでしょうか。

 

もちろん、状況によっては自分の主観的な意見を言ってはいけないような場面もありますので、意識して「〇〇と思います」を使うこともあります。それでも前記の例のようにはっきりと言い切ることを求められている状況も多いでしょうから、今が「思います」を使うべき時か否かを見極めて発言することが大切なのでしょう。

 

今回、都知事が「思います」を連発するのを聞いていて、「思います」の裏側にある心理はどういう状態なのか、という点に関心が行ってしまっていいます。皆さんはどのように感じましたか?

 

(人材育成社)


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