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ジャッキー・チェン「酔拳」の詩

2015年09月30日 | コンサルティング

ジャッキー・チェンの映画はどれも好きなのですが、なかでも「ドランクモンキー 酔拳(1978年)」は私の一番のお気に入りです。どういうお話かはDVDを借りるなりしてご覧になっていただくとして、なかなか興味深いシーンがあります。それは、主人公の黄飛鴻(ジャッキー・チェン)が酔拳使いの師匠・蘇化子(スー・フアチー)と酒を酌み交わす場面です。

師匠がジャッキーに「学校へは行ったか?」と聞くと、ジャッキーは「はい。」と答えます。

すると師匠は詩を口ずさみながら杯に酒を注ぎ、飲み干します。

ジャッキーはその詩を続けながら自分も一杯飲みます。

こうして二人は、また一杯と飲んでは「学校で習った」と思われる詩を楽しそうに掛け合います。そして、最後にジャッキーは詩を口にしながら酔いつぶれてしまいます。

この詩は8世紀の詩人・李白の「將進酒」と言います。中国では学校で習うほどですから、古典中の古典です。以下、前半だけですが引用します。

君不見黄河之水天上來
奔流到海不復回
君不見高堂明鏡悲白髮
朝如青絲暮成雪
人生得意須盡歡
莫使金樽空對月
天生我材必有用
千金散盡還復來
烹羊宰牛且爲樂
會須一飲三百杯

(訳)
君には見えるか黄河の水が天井から降ってきて
海へと奔流し二度と戻らないさまが
君には見えるか、高堂に住む富貴な人も鏡に自分の白髪頭を見て
朝には黒髪であったものが夕べには真っ白になるのを悲しむ姿が
人生をありのままに受け入れ大いに楽しむがよい
黄金の酒樽を空しく月に向き合わせていてはならぬ
天が私という才能を生み出したのは、必ず役に立つところがあるからだ
千金は使い果たしてもまた戻ってくる
羊を煮て牛を料理し歓楽を尽くそう
必ず一度に3百杯は飲もう

なんとまあ、お気楽な詩なのでしょう。こういう詩を学校で教えるところに中国文化のふところの深さを感じます。(ただし、残念ながら、この映画の日本語訳または日本語の吹き替えは、この詩とは違う内容になっています)

さて、「天生我材必有用」(天が私という才能を生み出したのは、必ず役に立つところがあるからだ)というところに私は感銘を受けました。「材」という言葉は、日本では材料、材木のように単なるモノを表すときに使われますが、実はこの詩のように「生きている才能」というのが本来の意味です。

最近、人事部を人財開発部という名前に変える企業が増えているようです。「人財」ですから、人を宝として大事に扱うという意味を込めているのでしょう。

しかし、「財」は貝偏(かいへん)であることに注意するべきです。貝偏は、貨幣・財産に関する文字を作る部首です。財政、財務、財宝など、要は金銭的価値を表すものです。人の価値を金銭で表す「人財」を私は好きになれません。

人は「材」であるべきです。弊社は人材育成社と言います。日本中の会社が「人財部」になっても「人材育成社」で在り続けます。

(人材育成社)


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