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グループウェアは首都高速道路

2015年09月27日 | コンサルティング

グループウェアとは、企業内で情報を共有したりコミュニケーションを取ることができるソフトウェアのことです。先駆けとなったIBMのNotes(旧ロータスノーツ)を使っていたという方もいらっしゃると思います。現在は、Notes以外にもサイボウズ、Google apps、desknet'sなど様々なソフトやサービスが提供されています。

グループウェアはメールやスケジュール調整、ファイルの共有などの基本機能の他にWeb会議や社内SNS機能、決裁や業務管理を行うワークフロー機能、会議室予約などの設備管理ができる機能などを備えていることが多いようです。

基本的に仕事は複数の人間が分担して行うものですから、お互いの情報共有が上手く行けば仕事の効率は大幅にアップします。こうした機能満載の便利な環境がオフィスに導入されていれば、社内の情報共有は完璧になり、業務の流れも滞ることなどなくなりそうです。

弊社(人材育成社)も、仕事の渋滞を引き起こす原因は情報共有の失敗であるとして、渋滞解消のためのコンサルティングやセミナーを数多く行っています。

では、弊社は積極的にグループウェアの導入を推奨しているかというと、実はしていません。むしろ「グループウェアは導入しない方が良い」とアドバイスしています。なぜなら、情報がスムーズに流れる状態にある会社はほとんど無いからです。

特に中小企業の場合はフォーマル、インフォーマルいずれの情報も、ほぼ「個人所有」になっています。こうした「情報の属人化」は、社員はもちろん、社長さえも自覚していることはまずありません。

したがって、個人が持っている情報は、仕事に差し支えない(と本人が思っている)範囲でしか表に出てきません。情報を提供する側は他者、特に上位者に見られるのは嫌なものです。それをグループウェアという「強制力」で白日の下にさらそうとすれば、何が起こるかはご想像のとおりです。肝心な情報はますます「地下」に潜ってしまいます。

それでも、グループウェアを導入すると当初は業務効率は急速に改善します。

しかし、それは「渋滞学」の西成教授(東京大学工学部)のいう「メタ安定」状態です。

「メタ安定」とは、通行量の多い高速道路を時速100㎞で、車間距離を10メートルしか取らずに飛ばしているような状態を言います。首都高をイメージしていただければ良いでしょう。車同士が密集したまま高速で走っているので、道路は極めて効率的に使われているといえます。しかし、そんな状態が続けばドライバーの緊張感は極限になってしまい、ちょっとした気の緩みで大事故が起きかねません。

グループウェアの使い始めは、投資に対する効果を最大限にしないとまずいという雰囲気が生まれます。そのため、社員が緊張しながら、とにかく仕事を早く動かそうと神経を使います。コンピュータの処理能力は人間をはるかにしのいでいますから、どんどん「速度」が上がっていきます。まさに首都高のように、アクセルを踏み込んで前の車との車間をギリギリまで詰めた状態で仕事をすることになります。

そんなときにちょっとしたミスが起こったらどうでしょう。

あっという間に仕事は渋滞し、社員全員の緊張感の糸が切れていきます。その結果「なんだ、高い金を投資したの使えないじゃないか」ということになるかもしれません。

グループウェアを使ってみようと思っていらっしゃる中小企業の社長さん、ちょっと待ってください。まず、今の仕事の流れをよく分析して「仕事の渋滞」の原因を解明し、対策を打ってください。そうしないと「メタ安定⇒大事故⇒大渋滞」が必ず起こります。

ちょっと宣伝臭くなってしまいますが、弊社はそうした事例をたくさん見て、改善する仕事をしてきました。グループウェアをお考えの際はぜひ弊社にご相談ください。

秋の交通安全運動期間中です。仕事の渋滞、事故も未然に防ぎましょう。

(人材育成社)


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