パオと高床

あこがれの移動と定住

『司馬遼太郎と昭和』2(朝日新聞出版 2020年4月5日発行)

2020-05-05 17:36:53 | 国内・エッセイ・評論
真実は藪の中。それこそ芥川龍之介の小説あるいは黒沢明の「羅生門」ではないが、
この本に収録されている司馬遼太郎が直木賞を受賞したときの夜の話が面白い。
作家の三浦浩が、小説『菜の花の賦―小説 青春の司馬さん』に書いた受賞報告の夜の描写では、
会社の文化部に三浦浩と司馬だけがいたとなっているらしい。だが、妻のみどりさんは、「異論」があって、
発表の夜は二人で寄せ鍋をしていたと語っているとのこと。ところがさらに、本人の受賞のことばでは、
浴室で頭を洗っていたことになっているらしい。
この箇所を書いた記者は、こうまとめる。
「かくして直木賞の夜は、フィクションに包まれている」。
作家がフィクションに包まれているのはいいよな。そして、そのどれもが司馬遼太郎なんだろうな。
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