ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

埼玉県について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基づきできるだけ現場を歩いて書くエッセー風百科事典

長瀞ライン舟下り 

2011年09月20日 14時31分56秒 | 名所・観光
長瀞ライン舟下り 

埼玉県の母なる川「荒川」は、文字どおり「荒れる川」を語源とする。

東京・赤羽の岩淵水門で隅田川と別れて荒川放水路ができるまでは、江戸や東京の下町に何度も洪水をもたらし、恐れられた。

その上流に長い瀞(氵=さんずい、水の意、つくりは静か。静かな水=川)があるのは、皮肉な話だといつも思っていた。

そこを下るのだから、瀬(水流の急なところ)もなく、さぞゆったりしたもので、スリルも味わえまいと、これまで敬遠してきた。

ところが、「長瀞ライン下り」のパンフレットなどを見ると、けっこう川波が荒立っているところもあるようだ。

百聞は一見にしかずと、梅雨晴れの13年6月17日初めて乗ってみた。

運航ルートは、国指定名勝・天然記念物の岩畳の上流の親鼻橋(皆野町)から下流の高砂橋の南までの6km(Cコース約40分)。岩畳はそのちょうど中間点にあるので、親鼻橋―岩畳(Aコース約20分)と岩畳―高砂橋(Bコース約20分)に分かれる。

通しよりもAかBのどちらかに乗る人が多い。長瀞駅を降り、秩父鉄道を渡った所にある「長瀞ライン下り案内所」で乗船券を買って待っていると、バスが迎えに来て、出発点に向かう。

乗り場は橋の下で、私の乗ったAコースでは秩父鉄道の「荒川橋梁」をくぐって下る。

船は、大工経験のある船頭の手作りの和船(約1.5t)でエンジンなし。前後の船頭二人が長い竹ざおと後ろの櫂(かい)で操る。定員約20人。

船べりに長いビニール・シートがつけてあるのは、瀬を通る際、水がどっと入り込んでくるため、カメラや持ち物、衣服が濡れないようにするためだ。

短いコースなので、ゆっくり両岸を眺めている余裕はあまりないものの、「亀の子岩」や、岩畳の対岸には、「秩父赤壁」が迫り、「明神の滝」も見える。

夏の川風に加え、春には岩畳のユキヤナギ、秋には対岸の紅葉が美しい。

この日は、梅雨の合間とあって、水かさはふだんの日よりいくぶん高く、水の色も茶色くにごっていた。このため、流れも速く、岩畳の南端の到着地まで18分で着いた。

船頭さんの説明だと、この付近にはウグイやハヤ、オイカワ、コイなどの魚種が豊富。それを狙って、カワウが飛んでいるのが見えた。

離岸してまもなく「勢子(せいご)の瀬」、岩畳の目前に「小滝の瀬」があり、水が入ってくる。

長瀞ラインは、河口から約110kmのところにあるという。

カヌーを楽しむ若者の姿もあった。カヤックやラフティングも楽しめる。

船くだりは3月10日から12月4、5日まで。冬の荒川は、水も澄み、流れはとてもゆるやかなので、コタツ船も楽しめる。

「長瀞遊船」の名で1915年に創業、100周年を迎えた長瀞ライン下りは、観光川くだりのランキングで全国4位、年間230万人が利用するという。

長瀞駅の駅員さんの話だと、駅の海抜はざっと140m、宝登山神社の鳥居で200m、山頂で500m(細かくいえば497m)。

参道を登ると、冬の間に凍らせた天然氷をかき氷で食べさせる店に行列ができていて、旧新井家住宅近くの「花の里」ではハナビシソウが満開だった。








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