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その風土4 「暑いぞ!  熊谷 」

2014年07月20日 17時09分02秒 | 県全般
風土4 「暑いぞ! 熊谷」

アフリカや中東にざっと7年もいて、暑さには慣れきっているので、「暑いぞ!  熊谷」という、暑さを逆手にとったキャッチフレーズも、その原因に挙げられる「熱風の交差点」という言葉も気に入っている。

最近は暑さのニュースに、隣県・群馬の館林や伊勢崎市なども登場することが多く、専売特許ではなくなった感があるとはいえ、熊谷が日本の暑さの記録に残ることは間違いない。

07年8月16日午後2時42分、気温40.9度を観測、2分前の20分に同じ気温を記録した岐阜県但馬市とともに、暑さの日本最高を記録、13年8月12日に高知県四万十市で41.0度が観測されるまで最高を保持した。

熊谷、但馬市の前は山形市の40.8度(33年7月25日)だった。いずれも0.1度の差で、何かオリンピックの100m競争を連想させる僅差の争いである。

暑さの記録はこれだけではない。10年には、年間猛暑日(35度以上)日数が、館林とともに41日と国内最多を記録している。

この暑さの原因の説明に使われるのが、「ヒートアイランド現象」と「フェーン現象」である。

「ヒートアイランド(熱の島)現象」は、東京都などの大都市で、エアコン、車、アスファルト、ビルなどの熱が放出されて、都心の方が郊外より暑くなる人間が作り出した高温だ。

「フェーン現象」は、風が山を吹き降りてくる際、下の地上は上空より気圧が高いので、降りるに従って、空気が圧縮されて、温度が上がる現象である。

地図を見ると明らかなとおり、東京都の北にある熊谷は、秩父山地と関東平野の境目にある。

太平洋高気圧の海風(南風)に乗って北上してくる「ヒートアイランド」の熱風と、秩父山地を降りてくる「フェーン現象」による熱風が、日中の最高気温となる午後2時過ぎに熊谷の上空付近で交差する。

これが「熱風の交差点」だ。館林や伊勢崎の暑さ仲間もほぼ同じような位置にある。

ここまでは通説だが、筑波大の研究チームが最近、スーパーコンピューターを使って、新しい知見を加えた。

比較的低い高度の山を越える気流、「第3のフェーン」と呼ぶべきものがあり、下降しながら地表の高熱を吸収する。熊谷市に流れ込んだ熱風の約6割が、標高1000m以下の地表の熱を吸収しているというのである。

「ヒートアイランド現象」と従来の「フェーン現象」に加えて、地表の熱を吸収した「第3のフェーン」が加わって、日本一が発生したというわけだ。

「彩の国だより」15年6月号の「知事コラム」によると、熊谷市の夏日(最高気温が25度以上)の日数は、1975年から84年までは年平均108日だったが、最近の10年間の平均は129日。熱帯夜(夜間の最低気温が25度以上)の日数は、1975年から84年の年平均2.9日が、最近は平均13日と4倍以上に増えている。