日本三大雪渓の1つである剣沢雪渓を攻め、剣岳(2,999m)の麓にある剣山荘に10時20分到着。 真砂沢ロッジのオーナーに言われた通り、すぐに宿泊の申し込みをし荷物を部屋に置き、サブザックで剣岳を目指した。
剣山荘の受付でも、日が落ちるのが早いのでヘッドランプ、防寒着、非常食、ツェルト、水等必ず持って行くように忠告された。 私は今回で2度目の剣であるが、当初の登山で危険を感じた所は無かったが、真剣な眼差しで忠告を受け、体の中を緊張感が走った。
天気快晴。 忠告を受けたものとカメラをサブザックに詰め、10時40分剣山荘を出発した。 最前衛の一服剣へ20分で登った。そこからは次に聳え立つ前剣の岩峰が望め、剣の本峰は、まだまだ姿を見せてはくれない。
別山尾根から剣を目指すと一服剣、前剣、そして本峰の剣岳と大きな峰が3つあり、前剣から先は気の抜けない岩峰が続くのである。
ルートも前剣の手前から登りと下りは別ルートになっている箇所があり、うまく時間帯を避ければ待つことなく順調に登山できる。 私たちは剣沢を登り、剣に向かったので通常の登山者とは時間がズレ、とても快調に進んだ。
前剣を下ると5m程の鉄のブリッジがあった。 足元は見たが、それより下には目をやらず通過。
すぐ目の前にはキラキラしたクサリが見え、約20m程の岩峰トラバースである。 混雑時に他の人がクサリを引いたりするとバランスを崩す危険があるが、登山者は少なく楽しみながら岩に張り付いた。
無事通過と思う間もなく稜線の東側、平蔵谷側にクサリで約20m下り、前剣ノ門から平蔵ノ頭(ずこ)を通過。 本峰に近づくにつれ「岩と雪の殿堂」と言う言葉の実感が良く判る。
平蔵の頭の本峰側に傾斜は緩いが高度感抜群の一枚岩をクサリに沿って下り、幾つかの岩峰帯をトラバースして行くと平蔵のコルの標示板を通過する。
当初の登山時は標示板など何も無かったが、現在では親切に岩に張り付けられ、地図のどこを通過したのかが確認出来て助かった。
ここまで来ると剣岳本峰が眼前に迫り、最後の詰め「カニのタテバイ」へ向かう。 約50m程の急峻な岩場に慎重に取り付き、上体を岩から離し安定した体勢で三点確保の実践である。 必死で岩に取りついていると、ビックリした距離も、そう感じずに通過できた。
見上げると標示板が見える。 山頂かな と思いきや早月尾根への分岐点の標示板であった。 ここから15分ほどで山頂に立てた。到着13時50分。 風も無く20分ほど山頂からの景色を楽しんだ。
以前は山頂に立派な祠が有ったが、風雪に耐えきれなかったのか祠の姿は無かった。 人跡未踏と思われていた山頂に有った錫杖や鉄剣は奈良か平安時代の物と推定され、その時代にこの峻峰に登った修験者がいたのである。
自分も何か無いかとキョロキョロしたが、何も見つからず一等三角点の石標を撮影して来た。 仏教の修験者により始まった日本の山岳登山、古に登られた方々のために是非山頂の祠は必要と感じました。
存分に写真を撮り、下山準備。 登りより危険が伴う下降路、お互いに慌てずに慎重に下ろうと誓い、最初の肝試し「カニのヨコバイ」へ。
クサリの付けられた高度感ある岩場を岩棚に沿って下るが、三点確保の一点を委ねるホールドやスタンスが見つからず苦戦した箇所が幾つかあった。 クサリ場の次は長い梯子の下りだ。 梯子はしっかりしたもので安心して取りつけた。
下りは落石に注意しなくてはならず、自分もつまづかない様に気を使うので意外と疲れるのである。 でも岩峰をトラバースしたり、クサリ場を登下降したりは、剣岳ならではの味わいであり、お互いに楽しめた登山であった。
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