国指定重要無形民俗文化財であり、2022年には盆踊りや念仏踊りなどの民俗芸能『風流踊(ふりゅうおどり)』をユネスコの無形文化遺産に 24都府県の 41件が登録されることになり、その中に神奈川県の 《山北のお峰入り》 が入りました。
お峰入りの演技は8種類11演目あり、大野山から高杉の神明社に「道行き(演目の一つ)」が行われます。
今回は「道行き」のコースを逆に神明社から大野山に向けて歩いてみました。
山北町の観光客用臨時駐車場を 8時 10分出発。
高杉集落にある神明社へは市間橋まで皆瀬川に沿った県道 725号を北上します。
この皆瀬川なのですが、元禄16年(1703)の大地震と宝永4年(1707)の富士山大噴火により、これまで山北の町中を東に流れ向原で酒匂川に合流していたとのことです。 ですが土砂降灰で氾濫を繰り返したため、この地を堀割って現在の南への流れとし樋口橋の下を流れ酒匂川に合流しています。
そのために新しく用水堰を造る必要に迫られ享保 19年(1734)時の名主 湯山弥五右衛門父子を中心に山北・向原の村民によって山裾を東へ向原に至る用水路が造られ、これを『川入堰』と呼んでいます。
この堰の完成を記念して建立されたのがこの石碑とのことです。 通過、8時 20分。
現在の皆瀬川を北上すると、物流の大動脈である東名高速道路とその横に新東名高速道路の工事が急ピッチで進められています。
新東名高速道路は秦野 IC から御殿場 IC 間の約 25Kmが難工事 となっており、完成は 2027年のようです。
8時 45分、県道725号の市間橋を渡り、ここから高杉集落の神明社に向けて左の車道(高杉コース)を登り始める。 鉄塔 № 363通過、9時 15分。
皆瀬川沿いの県道歩きは山間の日陰で酷く 寒かったが、高度を上げ陽射しの暖かさは有難い。 梅の開花が見られた。
市間集落の辺りでは茶畑が広がっていた。
市間集落の道路沿いで石仏群を発見。 通過、9時 25分。 その中の右から二つ目に「私はサンゴ石灰岩」という解説版がありました。 丹沢山地のふるさとは南洋の海底です。 熱帯のサンゴ礁の海底で生きていたサンゴや石灰藻が集まってできた岩石です。 その岩石をルーペで良く観察すると一個体が3mmくらいで6枚の花びら 模様のショウガサンゴ化石が沢山見えます。 皆瀬川の上流には海底火山が起源の地層が分布しており、この岩石は下流まで流されていたものを昔の集落の人たちが、ここに運び設置されたとのことです。
高杉のウラジロガシ通過、9時 45分。 平成4年(1992)指定、神奈川県指定天然記念物。 山麓部など比較的土壌の浅い立地で生育しウラジロガシ林を形成するようですが、こちらのは単木で樹高 約 21m、根回りの樹幹周囲 約5m、推定樹齢 約 300年とされ、更に樹冠が南北 20m、東西 17mに達し、まだ樹勢も衰えておらず元気なので保護しているようです。
10時 05分、お峰入りの舞台である神明社に到着。
山北の お峰入り とは、山北町共和地区に古くから伝わる民族芸能であり、山中で修行を行うことを意味し、修験道の儀礼が芸能化したものと考えられています。 また、南北朝時代に宗良親王が河村城に難を逃れた時から始まったという伝承もあり、笛・太鼓の調べや歌詞は万葉の時代を感じさせます。
公演の日は境内広場が 鮮やかな衣装の演者と見学の人々であふれかえります。
演技は8種類11演目あり、天狗、獅子、おかめ、山伏、太鼓、笛などの役を80名の男性が演じます。 歌や踊りは全て口伝えで伝承されており、近年では概ね5年ごとに公演されております。
2023年に公演があり、次は2028年ですが、今年(2024)の2月11日(日)に特別公演が小田急小田原線の海老名市で開催されます。 是非
神明社から大野山間を演者一同が演目「道行き」で歩く。
10時 35分、薫る野牧場に出る。
大野山山頂より演目の「道行き」をお峰入り出演者一同が行列を組み、笛や太鼓のお囃子に合わせて、この道を賑やかに練り歩き神明社に向かいます。
この日は大した風もなく、薫る野牧場の牛さんも美味しそうに食事をしていました。
遠く相模湾と、その遠方に伊豆大島を望むこともできました。
最高の天気でカヤトの尾根歩きは、何とも言えない爽快感を味わうことが出来ました。
山の上空にはトビが群れを成して優雅に飛び回っていました。