素晴らしい風景!!

色々歩いた山や国内の風景等をご紹介いたします。

🐾 黒部下の廊下散歩 🐾

2021年08月27日 | 北アルプス

年間約3~4ヶ月程しか歩けない下の廊下の散歩。

黒部峡谷は黒部川が北アルプスの北部を立山連峰と後立山(うしろたてやま)連峰に二分して流れているため、その山頂と谷底の高度差は1500~2000mに及び、日本で最深の峡谷地帯であります。

黒部第四ダムの下流域を『下の廊下』と呼び、その中心部には白竜峡、十字峡、S字峡などが有ります。

このルートは1935(昭和10)年ごろ当時の日本電力の調査ルートとして、黒部川の左岸に付けられた足下100mの断崖の登山ルートとなっています。

   ※この絵は 2010(H22)年10月に歩いた時のものです。

今迄、扇沢駅からトロリーバスで黒部ダムに入っていましたが、そのバスも2018年で54年間の運行終了、2019年よりトロリーと同様に環境を考慮した「電気バス」に切り替わりました。

黒部ダム駅(地下)に到着すると観光客の方々はダム広場や展望台へ向かいますが、下の廊下に入る登山者はダム駅の右手にある坑道を抜け、約30分程でダムの下に降ります。

下から見上げる黒部第四ダムの大きさには圧倒されます。

そこに観光放水でもしていたら、黒部川の左岸に渡る手すりのない木橋の通過は、 台風 の中を歩くようなのです。

最初は黒部川の河原歩きから始まります。放水してないと水は、この程度です。

下流に進むにつれ河床との高度差が大きくなって行き、綺麗な滝や瀞(とろ)が見え足が止まる。

そして徐々に岩肌が多くみられるように、周りの景色が変化して来ます。

岩肌に刻まれた田の畔ほどの狭い道を慎重に進む。                     このコースは、悪天候時の逃げ場がなく、雨は直ぐに側壁からの滝と変わり、沢筋からの鉄砲水も発生する。入山時の天候判断はとても重要です。

峡谷の谷間に落ち込んだ雪は10月でもこれほど残り、ほとんど万年雪の様です。 

左岸の岸壁に横線のように刻まれている所が旧日電歩道(水平歩道)と言い、この様な道をワイヤーロープに手を掛けながら慎重に歩きます。

左岸の岩に刻まれた水平歩道は雪に埋もれてしまうと、雪のトンネルを抜けたり、時にはスノーブリッジの上を歩いたりします。

雪の重さで水平歩道が崩されてしまうと、関西電力で整備して下さった丸太3本の道へ、梯子で登下降し崩壊地を高巻きし更に狭い岩壁の水平歩道を進む。 この丸太道の下が白竜峡。

 

整備して下さった丸太の道は、その年の降雪量で崩れてしまうと、毎年変わってしまうのです。

両岩壁が迫り、滝が見えてきたところが白竜峡 である。 ザックや頭を岩にぶつけないよう注意が必要な所です。

白竜峡を過ぎると峡谷が少し広くなり、更に水平歩道を進む。

水平歩道の岸壁にはワイヤーロープが設置され、常にロープを軽く握りながら歩くので、サビが手に付くため軍手などがあると助かります。

峡谷の両側には立山連峰と後立山連峰の標高の高い山々が連なり、春先の雪解けが始まると、この狭い峡谷に雪が落ち込んでくるのです。

早いと10月下旬には 雪が降り始めます。                                 十字峡に近くなると高度感を感じ、ワイヤーロープをしっかり手にして慎重に通過。    川面から50mほどの高さをたどる道は、狭い上に高度感があり、転落は致命的です。

十字峡の手前に休憩に丁度良い広場があり、そこで緊張感を解く。                        気持ちを落ち着けてから十字峡 の吊橋に向かう。

十字峡吊橋の下には剱沢が、そして右岸からは棒小屋沢の流れが黒部川に合流している。

遥か下方にコバルトブルーの水を湛えたS字峡を俯瞰する。 近くに見えますが、実際は遥か深い峡谷の底であります。 

水平歩道が終わり、東谷吊り橋へ下る途中から見た黒四地下発電所の送電口。              山奥でこんな人工的なものが、急に現れると異様である。

東谷吊り橋を渡り、初めて黒部川の右岸の道へと移る。

そして現れた仙人ダムの上を通り、再び左岸に戻る。ダムの上から下流を覗いた景色である。

初めて単独でこの下の廊下を歩いた時は、ダムから先の道が消えてしまいビックリしました。                                                                                                                                                          ダムの上を行ったり来たりしても、こんな山奥に誰もいない                         仕方なくダムの事務所に誰かいるかと思い、声掛けしドアを引いたら開いてビックリ。    中を覗いたが人の気配は無かった。 開けた正面の壁に「登山道 」の表示があり、「何だ外に表示板を出しといてよ。」と一寸「ムッ」とした。

ダムの事務所に入り、案内に沿って進むと直ぐ右折、20m位だろうか? 狭い高熱隧道を通過。  この高熱隧道には、ガス抜き用なのか、幾つかの横穴があり蒸気が吹き出し先が見えずに怖い思いをした。

高熱隧道を抜けると、やっと安心して歩ける広場に出た。でもまたビックリ。             目の前に白亜の大きな建物(人見平宿舎)が現れた。人が居るのだろうかと声掛けするも返事なく気味悪し。 白亜の建物を右に回り込み、再び水平歩道への急坂に取り付く。

水平歩道に登ってから約1時間ほど歩いてプレハブの阿曽原温泉小屋に到着し、ホッとした。

露天風呂に浸かりながら危険な峡谷に道を作り、ダムを造った先人の努力に思いを馳せ、ノンビリ疲れと緊張感を解きほぐした。

 

 

   ※ ご訪問、ありがとうございます。

 

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⛰ 懐かしの黒部五郎岳 ⛰

2021年08月21日 | 日本百名山

美しいカールを抱える秀峰『黒部五郎岳』へ 

富山県、岐阜県、長野県の三国の境として古来から重要視されてきた三俣蓮華岳(標高 2841m)から黒部五郎岳(標高 2840m)を結ぶコースは、山の奥深さゆえか、他の山域に比べると登山者数が少なく、秘境ムードを味わうことができます。

ここでは三俣蓮華岳から黒部五郎岳に登り、黒部五郎小舎までのご案内です。

  ※ 写真は2016(H28)年8月7日に撮影しました。

双六小屋から中道を通り、双六岳から三俣蓮華岳の稜線に出て北上する。                 稜線上から見た黒部五郎岳 

三俣蓮華岳山頂 より槍ヶ岳を遠望す。

三俣蓮華岳山頂より西へ進路を取り、黒部五郎小舎のある「五郎平」を目指す。

五郎平へはザレたガラ場を、九十九折に高度を下げて行く。樹林帯に入り、滑り易い石がゴロゴロした急な下りとなり、下る切った所が五郎平。                               下る途中から黒部五郎岳を望む。

この池塘が点在する、この草原に黒部五郎小舎が建っている。

今晩お世話になる小舎であり、声掛けしたら既に部屋は決まっているとのことで、余分な荷物は部屋置きOK、そして五郎岳へのコース状況や夕方には雷雨になり易いなどとの忠告をして頂いた。 全員サブザックに最低限の荷を持ち黒部五郎岳に向かう。

五郎平の草原から灌木帯の中を緩やかに登り、しばらく進むと傾斜が増し稜線から派生する支稜を回り込むように越えて行く。

やがて黒部五郎カールの中へ入り、岩が点在する草原地帯を横切り、カール内は踏み跡が沢山あるので岩に付けられたマーキングに沿って進む。                                 カール底から尾根に向けて登り出し、振り返った鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳の峰々。

カール底から九十九折の急登を登り、黒部五郎岳から北東へのびる尾根上に出る。          黒部五郎岳の南側尾根とカールを俯瞰す。

尾根を左に進み、北ノ俣岳への分岐である黒部五郎の肩を望む。その先が山頂。

岩が堆積した尾根を南にたどりながら、今歩いて来たカール底を望み、はるか先に黒部五郎小舎も見える。

山頂に近づくと岩がゴロゴロ見える。この黒部五郎岳の名前は『黒部にある、岩がゴロゴロしている山』という事から名が付いたとのことです。

岩の積み重なった頂上からは、眼下に黒部五郎カール、その向こうに雲ノ平、更に鷲羽岳から水晶岳へ続く稜線が望まれる。

最高の展望を目に焼き付けたら、先程の肩まで戻りカールへと下る。足元はガレ場で登りは何でも無くても下りは非常に滑り易く、お互いに声を掛け合い慎重に下った。

カールの中は清流が流れ 、お花畑が広がる別天地の様な素晴らしい所です。

灌木の中を下り、小さな沢を渡ると草原に建つ黒部五郎小舎が見えてくる。

お疲れ様でした。

 

    ※ ご訪問、ありがとうございます。

 

 

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▲ 夏山の景色 ▲

2021年08月13日 | 北アルプス

この様な景色の中をノンビリと歩きたい。

夏休みというのに早い秋雨前線が日本の空に停滞、線状降水帯が発生し大雨を降らせている。

気圧の谷に当たる地域が、最近いつも同じ地域でありテレビで良く耳にします。

豪雨による河川の氾濫、土砂崩れ、床下浸水とコロナ禍でありながら泣き面に蜂である。

被災地に当たる各地域の被害が最小限で納まるよう、心からお祈り致します。

早朝のシシウド  

ヨツバシオガマと後ろの稜線のピークは槍ヶ岳です。 

チングルマの花は白く群落をつくりますが、花が終わると茶色の糸状になります。

稜線上で群落をつくったチングルマが、風に揺れる姿はとても可愛いです。

次は三俣蓮華岳(標高 2841m)から見た右のピークは鷲羽岳(標高 2924m)、中央の小さなピークはワリモ岳(標高 2888m)、左の左上がりの稜線のピークは水晶岳(標高 2978m)です。 右の鷲羽岳の稜線を下った所に赤い屋根の三俣山荘が見えます。                   中央の窪みが黒部源流になります。

夏休みが梅雨時のようなうえ蒸し蒸しとして、今年はどうなっているのだろう❓

こんな時は青空の下、高山植物を探しながらアルプスの風に当たり、稜線歩きは最高です。

 

  ※ ご訪問、ありがとうございます。

 

 

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⛰ 懐かしの瑞牆山 ⛰

2021年08月04日 | 日本百名山

ゆったりとした山容を重ねる奥秩父の山々の中で、珍しく全山が花崗岩の岩峰で形成された展望最高の山のご案内です。

6~8月頃にかけて富士見平付近でヤマオダマキ、マルハダケブキ、クガイソウ、ヤナギランなどが咲き、瑞牆山直下のシャクナゲは6月中旬頃に見られます。

      ※ 今回の写真は2004(H16)年6月19日に撮影したものです。

                                                                  瑞牆山荘前の登山口から、ミズナラやシラカバ林の道を歩き始める。                     やや傾斜が増して来て林道を横切り、里宮入口と標示された急な登山道に取り付く。     歩き始めの急登であり、ゆっくりと入ろう。

ここでは尾根に出て瑞牆の岩峰を見た所から、ご案内いたします。

ベンチで休憩しながらでは大きくなったカラマツに遮られ、特異な岩峰群が良く見えないので歩きながら展望の利く所を探す。ツツジ科の可愛い花のサラサドウダン が見られた。

ここからは比較的緩やかな広い登山道を登り、水場が見えた上部に富士見小屋がある。

小屋前の木立の中はテント場になっており、土曜・日曜はとても賑やかであります。     その先に目をやると富士が顔を出していました。

金峰山(標高 2599m)へは小屋の前を進んで行くが、瑞牆山(標高 2230m)へは小屋の左手に進み、天鳥川源流に向け暗い樹林帯の中を、木の根や岩に注意しながら下って行く。                              30分ほど下ると天鳥川 に着き、対岸に渡渉し広場もあるので、これからの瑞牆山本峰の急登に取り付く前の休憩に丁度良い。綺麗な水に癒される。

天鳥川源流を渡り、さあ瑞牆山本峰への登りに入ろうとする目の前に10m以上あるだろうか  桃太郎岩といわれる大岩が現れる。

名前の通り、上手く真っ二つに割れているのである。                               その桃太郎岩の右手に木製の階段が設置されており、そこから登り始める。                  ハイキングと思って来た人にはビックリする、岩や木の根を頼りの激しい登りの連続となる。

厳しい登りに必死になっている時、ふと 周りに目をやるとアズマシャクナゲの群落の中を登っていたことに気付き、その見事さに感動である。

厳しい登りであるが、アズマシャクナゲのピンクの美しい花は、今迄の疲れを吹き飛ばしてくれる。

登りの途中には、かなりの倒木が見られるが、その回りには新たな新芽がびっしりと生えており、大自然の輪廻が感じられます。自然て素晴らしい。 

                                               足元ばかり見ているが、左手に目をやれば巨大な大岩が立ちはだかっているのに驚く。

そして振り返って気が付くと、富士山や金峰山が垣間見える所がある。

大ヤスリ岩の基部を通過すると、もう山頂は近い。                              弘法岩との鞍部に出て右に回り込み、シャクナゲの中を抜け出ると山頂の巨岩の上である。

奥秩父の盟主、金峰山の五丈岩が間近に見える。

                                                高原の山々と、とどまる所を知らない大展望に感動。                                山頂より直ぐ下の大ヤスリ岩を覗き込もうとすると、足元がムズムズする。                    山頂からの大展望を充分楽しみ、岩と木の根が混じった急な下りを慎重に戻った。 

 

 

    ※ ご覧頂き、ありがとうございます。

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