J・S・バッハ (講談社現代新書) | |
礒山 雅 | |
講談社 |
入門書っぽいのでなんとなく読まないでいたのだが、
別に避けることもあるまい、新書だから安いし、
と思い直して読んでみました。
確かに入門書らしくいろいろと取っ付きやすいように
バッハの生活とか金銭感覚とか女性の好みとかw
ちょっと前に流行ったジャズによるバッハ演奏についてとか
グールドの演奏とか、近年の古楽隆盛の事情とか
いろいろな切り口でバッハの魅力を語っているのは面白い。
でも一番印象的だったのは、フーガの技法に関する最近の研究を紹介するくだり。
フーガの技法18曲は、それぞれ旧約聖書詩篇の第一篇から第十八篇に対応しているというのだ。
いろいろバッハ本は読んだが、この説は始めて知った。
フーガの技法の出版初版に施された図版(ビネッテというそうだ)に描かれたモチーフや
各フーガに折り込まれた数象徴や
テーマの扱われ方(反行型とか短縮型とか)と詩篇のモチーフとの関連などから
推論するのだが、
そういわれると実にそのとおりな気がしてしまうから不思議だ。
数象徴などはいくらでもこじつけができそうな話ではあるけれど
バッハの時代(というかそれ以前の時代は)そういう象徴も意識していたのも確かで、
バッハならこのくらいは朝飯前でやってしまうのではないか
とも思う。
形式的に厳格で、
かつ音楽的な情緒に富み
かつ数や音型による象徴も折り込み
カンタータでは言葉との関係性も重視し、
そんな音楽が作れるというのは
まったくどうかしているなw
ということで、なんか入門書としては
雑駁だったりいきなりディープだったりするので
この本だけではすっきりしないかもしれないと思いました。
この本もあわせて読むと
バッハの全体像がわかるかもしれません。
バッハ=魂のエヴァンゲリスト (講談社学術文庫) | |
礒山 雅 | |
講談社 |
ついでにこれも
マタイ受難曲 | |
礒山 雅 | |
東京書籍(株) |
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