Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「エイリアン・コヴェナント」リドリー・スコット

2017-10-26 00:58:12 | cinema
また夕方に時間ができたので映画観るか、ということで、
「パターソン」みるかなあと思ったんですが、
気分的になんかぱあっとしたい感じだったんで
「エイリアン・コヴェナント」観ちゃったというw

「プロメテウス」を観てないんで、どうかしら。
観てなくてもとりあえず特に支障はないと思うんですが。
もちろん観ておけば色々な繋がりの理解などはあるでしょうが、
前作観てないと訳がわからんという類のものではないです。



【ここからはネタバレな感想を含む!】



というか、冒頭のあのくだりは「プロメテウス」にはないのか?
スタイリッシュな空間と不思議なインテリアは、なんとなく「2001年宇宙の旅」を思わせる。
懐かしいセンス。

一転して殺伐とした現場感ある宇宙船内は、
これは「エイリアン」の所帯染みた乱雑さ(それが初見時は大変インパクトあったよね)とはまた違った、
ハードな現場としての暗さを持っている。

降り立ったヤバい星も雲の下は大嵐だし、
草原も森もどこか暗い。
デヴィッドのいる遺跡的なところもそりゃあ暗いし。

冒頭のアレが何やら夢のような感じになっていく。
夢と現実で、現実の方がとにかくハードな印象になるようになっていて、
まあ実際ハードなんだけど、
そういう印象操作的な面白さがありました。

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ストーリー的には、
これはもうごく個人的な好みの問題なんですけど、
年取ったせいか、
「エキセントリックな人物が出てきて悪巧みをして、世界を不幸にしていく」
っていう設定と、
「解決したかに見せて、ラストに「実は災厄はこれからなんだぜ?」って匂わせて終わる」
ていうパターンが、最近どうにもつまらなく思えるようになってきちゃって、
「エイリアン・コヴェナント」はドンピシャでこれなんだよね(笑)

特に後者の手法は、なんというか若い頃には大変魅力的に見えたし、
広く客の心を掴むにはいいのかもしれないね。
(個人的な根拠な印象だけど、日本映画のこういうハード系?なものって
 だいたいがそういう終わり方しないですかね??)

でも、あの終盤のダニエルズの捨て身の大立ち回りとか、
ぜーんぶ無駄でした〜残念!
ていう恐ろしさって、なんだか80年代くさいかも?^^;

********

宇宙船クルーについては、それぞれの責任と個人的な欲求とのせめぎ合いみたいなものが
都度問題になるところが面白かった。
実際極限状況での行動判断にはそういう側面を瞬時に判断していくことが求められるだろうし、
臨場感を形成していたのかなということと、
そういう社会から生まれた映画なんだなーと思いました。

一方でデヴィッドのマッドサイエンティスト風の考えや動機などは
なんだか薄弱な設定という感じがする。。。
ヴァーグナーを使ったりしているので、ヒトラー的なマッドネスも感じたりするので、
こういうやつが実在するんだよ現実でもと思わせはするけどね。

「いまいちなリーダーがチームを破滅に導き、
有能な若いのが事態を打開してリーダーシップを獲得する」
的なのも
まあ良くある話です。
が、いまいちな上にとうとう「母体」にまでされちゃう最悪な役回りとなるがすごいかも。

いまいち感を良く演じていたビリー・クラダップGJ

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あとラストにダニエルズが「気づく」理由は、なかなかよくできているね。
そういうところはプロはうまくやるよねー

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********


◯湖畔に本物の木材で小屋を建てて暮らすとかは
 あれ、「オブリビオン」を思い出すね。
 プロコルハルムとジョン・デンヴァーの違いはあるけど。

◯ジョン・デンヴァーといえば、極めて個人的には音楽聴き始めの頃のフェバリットが
 ジョン・デンヴァーだったんで、ここで出会うのも運命かと(笑)
 でクルーが「ジョン・デンヴァーの事で冗談は言わねえぜ」っていうのも
 もう大変ツボでした!

Take me home,country roads/John Denver with lyrics


◯これで字幕での曲名が「カントリーロード」ではなくて「故郷に帰りたい」だったらもっと最高だぜ^^;

◯字幕といえば、ところどころ変じゃない?と思うところがあり。
 誤訳とかではないんだけど、例えば、
 わざわざ持って回った言い方をしてるところで、その真意を訳文にしてあったり。。。
 意味としては通じるんだろうけど、そうすると会話の妙とか、
 言葉の選び方から立ち上る人格とかそういうものがなくなっちゃって、
 つまらないと思うんだよなあ。。

 某所で最近友人と話した中では、「ブルースブラザーズ」の新しい字幕や
 WOWWOWで放映中の「ツイン・ピークスThe Return」字幕版の字幕が
 実にそういうぶち壊し系のもので、
 そういう劣化字幕はどういう力学で生じているのか?誰か内情を知る方がいたら教えてもらいたいところです。。。



あ、あと、「パターソン」でなく「エイリアン〜」に走った理由はもう一つ
このPENのSF特集を読んでるところだったもんで、こっち方面で盛り上がりがち(笑)
Pen (ペン) 2017年 11/1号 [映画・小説・マンガの名作から最新作まで SF絶対主義。]
クリエーター情報なし
CCCメディアハウス




@ユナイテッドシネマ豊洲
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