Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」サム・ペキンパー

2013-10-03 00:42:09 | cinema
ビリー・ザ・キッド 21才の生涯 特別版 [DVD]
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ビリー・ザ・キッド/21才の生涯
PAT GARRETT AND BILLY THE KID
1973アメリカ
監督:サム・ペキンパー
脚本:ルディ・ワーリッツァー
撮影:ジョン・コキロン
音楽:ボブ・ディラン
出演:ジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソン、ボブ・ディラン

観てよかった。
昔観たといってもTV放映版で、おそらくはカットが入っていただろうし、
そもそも劇場公開版が当初より15分くらい短くカットされているという話である。
特に前半は記憶にないシーンが多く
まあワタシの記憶ほどアテにならないものはないのだが、
それでも、我らがボブ・ディランが「若いの」扱いで、
酒場で缶詰のラベルを読まされる印象的なシーンくらいは、
当時観たとしたら絶対覚えているだろうし(いくらなんでもね)


個人的にはこれまた大好きというか
涙なくしては観ることの出来ない映画でありまして、
その多くは出演もしているボブ・ディランの音楽によるものでありまする。
特徴あるギターのストローク
バラッドの真骨頂たるテーマ曲
そして名曲Knockin' on Heaven's Door
ディラン観たさ聴きたさでこの映画を観たのが若きワタシでありました。

が、こうして後年見返してみると、そういうことの感動はもちろんあるのですが、
この映画はなかなか面白い。
いろいろな要素がぎっしり詰まっている。
西部魂と裏切り、友情、しがらみ、義理、立場を全うしようとする心、あこがれ、
西部開拓時代の終わり、地主たちの支配、臆病、あきらめ、かけひき
あらゆるものが詰まっている。

ここからいろいろなことを学ぶことになる。
ビリーは情に厚いけれども無法者であって生き残るために汚い手も使う。
パットだって保安官だけれど結構悪いしイヤなヤツだ。
タテマエでかっこよくいきてるやつはひとりも出てこない。
それでもどう生きるかということについて、彼らなりの芯を貫こうとする二人はカッコいいのだ。
正統でも論理的でもないけれどそこにあるダンディズムのようなもの
権力にはおもねることなく自分の考えで世の変化を受け止めて生きる姿に
かっこよさを学ぶのだ。

ワタシは結果的には凡百の腰抜けのひとりに過ぎないが
心の奥ではこの映画のパットやビリーのような強さを持ちたいと願っている。
それが10代でワタシが学んだ理想の生き方なのだ。


映画としては散漫なところもあり、ストーリーもしっかりしていないのだが、
そういう所以外の部分にちゃんとメッセ-ジが詰まっているという点で
面白い映画だなと思うのでありました。

******


ジェームス・コバーンが渋いねえ
かっこいいねえ
最後の鏡を撃つところから、
あの腰抜けをぶっとばすところから
朝までブランコに座っているところから
かっこいいねえ。

ボブ・ディランは特別待遇的に出てくるね
ナイフ投げまで披露するし
実は目が悪いというところも可笑しい。

リタ・クーリッジが出演している。彼女はクリス・クリストファーソンの奥さんだったんだね。

ハリー・ディーン・スタントンも出ているが、
出ているのを知らなかったので、どいつだったかわからんぜ。
あいつかな~最後に「のぞきか?」って言うヤツ。

西部開拓時代の終わりというと、やはり異色の西部劇『明日に向かって撃て!』を思い出しちゃうわけだけど、
アレはサービス精神旺盛な映画だったなーと
本作との比較で思ったりして。

*****

印象的というか象徴的なシーンは、
ビリーが逃亡中に立ち寄った民家に昔なじみで今は保安官の男がいて。。というシーン。
保安官はイヤなところに来やがったぜと思いつつ、かつ自分の死を強く予感しながらも
立場を全うするためにビリーと撃ち合いでけりを付けようとする。
背中合わせに立って10歩歩いたら振返って撃つというあれだ。
で、数を数えながら歩き始める。
が、ビリーは最初からもう振返って銃を構えている(汚い)
しかし数を数えながら歩いている保安官もまた、カウント8で振返って撃とうとするのだ。

これが西部よね。



@自宅録画


Pat Garrett & Billy the Kid
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Sbme Special Mkts.

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