リダクテッド 真実の価値 [DVD]ジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
リダクテッド 真実の価値
2007アメリカ/カナダ
監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
出演:パトリック・キャロル、ロブ・デヴァニー、イジー・ディアス、マイク・フィゲロア他
さて、次に観たのは、デ・パルマ「リダクテッド」ですが、
またちょっと寝てしまいましたよ。
もちろん体調のせいでありますが、(前回『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』にくらべ)あまりに現実的な題材なために、無意識に逃避してしまった、とでもいえば格好がつくかしら??
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2006年イラク・サマラ駐屯地での暴行殺人事件を題材に、その前後で起こったかもしれない当事者たちの行動を、兵士自身が撮影した(という設定の)ビデオ映像やインターネット映像などを交え、生々しく描き出してみせる、ドキュメンタリータッチのフィクション。
その事件の「再現」は非常に臨場感がある。なにしろその「事件」に同行した兵士が撮った映像という設定なのだ。
また、サマラでの米兵の日常や、この戦争についての考え、イラクの人々に対する見方などについてもスナップショット的な臨場感で表現(再現?)してみせる。
まるで見て来たかのような映像表現を見ると、なにか居心地の悪くなってしまうmanimaniなのですが、この映画は不思議とその感じがありませんでした。まさに「見て来た」という設定の映画なのにも関わらず・・
それはそのフィクション性があまりにもあからさまだったせいでしょうか?
フィクションであるということはどの映画であっても自明のことだから、ことさらこの映画だけがあからさまということもないでしょう。
むしろ、この映画が想起させるものが、事件そのものではなくて、「他の映像」「複数の映像」の存在の可能性だったからなのではないかと、なんとなく思います。
この映画でも自前のハンディカムで撮影する兵士は複数いました。
実際にこのような極私的映像は戦場には相当数あるのではないか、そこには想像を越える内容の映像があり、あるものは編集され作品となるかもしれず、あるものはコメント付きでネットにアップされるかもしれず、あるものはおぞましさのあまり別の禍根を残すかもしれず・・・
この映画はそのような無数の映像のうちの一つに過ぎないのではないかという想像(もしくは錯覚)をかき立てるものだったと思うのです。
あるいは先取りされたドキュメンタリーだと考えることもできるでしょう。実際に兵士が撮影した映像から、このようなドキュメンタリーをつくることができるかもしれない。そのときできるであろう作品を、実体に先んじて模倣してしまった映画なのかもしれません。
そのような、リダクトされない映像の存在を指し示すとともに、あろうことかその映像はこのようなものだと予想してしまった、その2点にのみなにかを賭けた映画だという印象を持ちました。
その点では、イデオロギーも人種的偏見も戦争による極端な世界観もまったく統一する意思なく荒削りで放置されている感のあるこの映像に、悲観しながらも映像的良心を見たのかもしれません。
少なくともスピルバーグ『プライヴェート・ライアン』などのような居心地悪さはワタシは逃れることが出来ました。(と突然引き合いに出す)
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しかしイラクやアフガンはどうなっていくのか。
世界の混迷は人間自身の手に負えないほどになってしまっているのでしょうか・・
映像が世界を救うことがあるでしょうか?
(その価値が人間にあるか?とロメロは『ダイアリー~』で問うているんだけれどね)
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