Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「AA・時代の未明から」青山真治

2007-07-03 12:26:47 | cinema
AA

2005日本
監督:青山真治
インタビューア:大里俊晴
出演:大友良英、亀田幸典、近藤等則、佐々木敦、清水俊彦、副島輝人、高橋巖、竹田賢一、灰野敬二、平井玄、本間亮、湯浅学


1978年に32歳で夭折した音楽評論家間章(あいだ・あきら=AA)。
彼のゆかりの人物へのインタビューで構成されるオマージュ。

間章が思考した音楽とは
間章が思考した音楽が生まれたシーンとは
間章が思考した音楽が生まれたシーンを育んだ情勢とは
・・・・・・・

と、インタビューは回想を超えて、今という時代に地続きの新たな思考へと拡散していく。
思い出し、語る、ということは、こんなにも過去をよみがえらせ、かつそこに今を照射してしまうのかと感心した。
もちろんわくわくもした。
人の語りはこんなにも面白い。

全部で6章からなる連作の第1章を観た。

****

第1章は、灰野敬二の痙攣的クラシックギター演奏で幕を開ける。

彼のすごいところは、
○あれを人前でやる
○あれをやり続ける
○あれで人を圧倒できると信じている
ことだろう。
(ついでにあの容姿も)

だが、彼の演奏ではわたしは一度もぶちのめされたことがない。
意外なほど自己完結的で、巻きこまれる力を感じないのだ。
こちらの感受性の問題だろうか。

彼とは一度だけ関係したことがある。
彼の参加する即興演奏イベントに、臨時のミキサーとして呼ばれて行ったのだ。
メンツは灰野氏の他、秋田昌美、古館徹夫などがいたと思う。
なので、ミキサーへの要求は「もっと大きく」(笑)
最終的にはミキサーのフェーダー:FULL
アンプのボリューム:FULL
となり、あとはなす術がなくなり、仕事としては非常に楽だった。

でリハを終え、出演者たちが本番の「段取り」についてディスカッションをはじめた。最後に合同演奏をやるにあたって、誰がどのように入ってきて~というようにまとまりかけたところで、灰野氏は、「それは予定調和だよ。予定調和目指してやるのは無意味だよ。」と至極もっともな発言をして、全てをひっくりかえした。

即興演奏において、例えばイベントの終了時刻のようなものを考慮して一定の時間におさめること自体がすでに予定調和ではないのかなあ・・などと思いながらまあそこで口出しする立場にはないので黙ってボリュームをフルにしていた私でしたが。

そのときの演奏も、鼓膜には十分刺激てきだったけれども(秋田氏がドラムを叩き灰野氏がギターをかきむしる!)、演奏自体は多分に予定調和的に終わったと思う。(^^;)


音楽における必然、音の必然というのは、非常にムズカシイ。
即興演奏での始まりと終わりの必然を考えると、たとえば3分で全てが終わることもあれば、3時間経っても終わらないこともある。
人を呼んで聴かせる演奏としては、どちらもそれなりに反社会的行為である。

必然性がないまま30分続けることもできる。これは形式的には穏当な演奏会となるが、内実が伴わぬ不誠実な行為となってしまう

即興演奏において必然に誠実であれば、かなりの確率で反社会的存在になってしまうということなのだ。もし必然に賭けるならば、これを続ける人生はそれなりに闘争の人生となるだろう。



つい灰野氏の批判めいた調子になってしまったが、その闘争する人生には敬意を表したい。

***

高橋巌氏が妙に緊張していたのがほほえましい。


7/20まで各章ずつ連続レイトショーです。
(全部は行けないかもしれないな)

間章クロニクル

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