Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

バッハ・コレギウム・ジャパン第77回定期演奏会

2007-06-14 09:26:40 | music
バッハ・コレギウム・ジャパン

定期会員になるほど金持ちではないが、年に1~2回くらいは行きたいと思うBCJライブ。
バッハのライプツィヒ時代1725年のカンタータを4つ、聴いて来ました@東京オペラシティコンサートホール2007.6.13wed。

前から2列目というポジションだったので、いつになく楽器の細やかな表情がとどいてきて面白かった。
バロックバイオリンなどの弦楽器や木管楽器の、古楽器としての音量バランスや声量がよく伝わってきて臨場感抜群。
特にティンパニの「本物の革」というぼってりした低域の響きに、遠い金管の朴訥としながらもきらびやかな「吹き」の感覚がかぶさってくると、ああ、こんなに生理に訴える音楽なのね、との実感しきり。

****

さて1曲目137番「主を讃えよ、大いなる力に満ち栄光に輝く王を」
ってまあすごいタイトルだよな。
これは面白いスタイルのカンタータで、元ネタのコラールの歌詞を加筆も削除もせず使うという制約があったらしく、なのでレチタティーヴォはなく、冒頭合唱とアリアと最終コラールだけ。アリアはアルト、バス+ソプラノ、テノールの3曲。バイオリンの技巧的オブリガードby若松夏美さんも華麗。曲調も「主を讃えよ」なので金管が活躍する派手めなものだし、これは入門編としても聴きやすいなと思う。

まあ、自分的にはもっと地味~な内的法悦みたいな曲調が好きなんだけど。


2曲目164「汝ら、キリストのものと自称する者たちよ」
これは好きめのしっとりした曲調。いきなりテノールのアリアではじまる。
聴きどころはアルトのアリア。フラウト・トラヴェルソの二重唱がいいですね~
フラウト・トラヴェルソのソロはだいたいどの曲でも魂抜かれちゃうんだけど、この日の演奏はまたBCJ二人娘という雰囲気も手伝ってほとんど眠気に誘われてしまうほどの幸福感すやすやぐ~~・・・・
テノールのレチタティーヴォでは「あなたの愛の光によって・・」というところで弦がぱぁ~~っと光の壁を作るなど、なかなか芸が細かくしかも自然で感動的。

3曲目168「申し開きをなせ!とは雷鳴のごとき言葉」
これもすごいタイトルだ。しかも内容がなんか商人向けって感じ。
神に与えられた財産を無頓着に浪費しちゃだめよ、という内容?
テノールのアリアなんかいきなり歌詞が「元金と利子~」だもんね(笑)
曲が妙に魅力的なのもミスマッチ感がおかしい。
ここでもまたレチタティーヴォで「山よ落ちかかれ!」とさけぶとオーボエが、んたたたた、んたたたた、と落ちかかるスペクタクルを味わえる。

で、4曲目「主なる神は太陽にして盾なり」
う~ん、太陽で盾。なぜ太陽と盾なのか?
これまたアルトのアリアでのフラウトトラヴェルソのオブリがいい。どこで息継ぎしてるのかまったく謎なパッセージを優雅に吹きこなすテクはビックリ。
中間にやや規模の大きいコラール楽章があり、合唱の面々が非常に表情豊かに、かつ楽しそうに歌っているのが印象的。バッハのカンタータではソリストも合唱の時はパートの一員として歌うんだけど、アルトのロビン・ブレイズさんなんか皆にまじって生き生きとしていて、いいなあこれ。
で、「主なる神・・」なので神の栄光を象徴する金管はコルノ。これまた難しそうな楽器を難しそうに吹いていて、やっぱりムズカシイのか、音が結構ひっくりかえっていた。でもこれは古楽器ではよくあることというか、金管の微妙な音程ズレなんかはそれはそれで味わいでもあるし、大概の演奏は楽器の構造からすれば驚くべき精度で音程をキメテいるわけで、むしろ吹いているということ自体名人芸?ひっくりかえったら賛辞を送ったっていいくらいだ。(というのは言い過ぎか^^;)

あとは、全体的にコンティヌオの人々はもう息が完璧にあっていて、これはすごいなと。音が溶け合っちゃって、なんだろう、ケーキのスポンジ部分って感じですかね。


というわけで、この感想からもわかるとおり、私はかなり楽器寄りな聴き方をしてるんだなあと再認識。合唱は言うことないということもあるし、座り位置の関係で合唱が楽器の人たちに隠れてしまって届きにくかったというのもあるかな。


あと、冒頭にオルガンを二曲弾いてくれたのをわすれていました。
ブクステフーデとバッハ。会場がでかいのでオルガンはやっぱり音が濁りがちで、声部がはっきり聞き分けられないとついていけなくなっちゃう自分としては、もうちょっと小さいとこで聴きたいなという感想。

****

BCJのバッハカンタータを聴きはじめて10年くらいが経った(!)
で、最初は、完璧だあ!と思っていたこのグループだけれど、最近ちょっと、テンポの速い楽章が一本調子ぎみだなあ・・という感想を持ちはじめている。
なんというか、疾走感一本槍!!という感じで。もうちょっとテンポを抑えるかして、速いパッセージもしっかり聴かせるような演奏があってもいいかなあ・・・などと思う。
特にライプツィヒ時代なんかは、曲のスタイルが固まってきて似たような曲が多くなっているので、ますます曲の色合いが単調な気がしちゃうんだけど。

どうかなあ?


うわ、すごく長くなっちまったぜ!!

J・S・バッハ:カンタータ全集 第1巻
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパン, コンチェルト・パラティーノ, 寺門 亮(コンサートマスター)


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↑この辺を聴き比べると同じ作曲家か?という感じ




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