goo blog サービス終了のお知らせ 

Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ベートーヴェン交響曲第9番 カール・ベーム

2010-10-16 14:25:36 | music
ベートーヴェン:交響曲第9番
ベーム(カール),ジョーンズ(ギネス),トロヤノス(タティアーナ),トーマス(ジェス),リッダーブッシュ(カール),ウィーン国立歌劇場合唱団,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック


ベートーヴェン交響曲第9番 カール・ベーム+ウイーンフィル+ウイーン国立歌劇場合唱団

ベームはやはりウィーンフィルと録音したブラームス全集で好印象を持っているのと、たぶん75年の来日公演を放映したものの録画をよく観ていた。ベト7だったな。録画では老齢の指揮者が指揮台の手摺りにもたれながら手先をひょいと動かすと、ジャン!!と壮麗な音がするので可笑しかったが、演奏は素晴らしく、指揮者とオケの阿吽の呼吸の妙技を堪能したもんじゃ。


この第9はベームの最初のベートーヴェン全集からの分売ということのようです。

信頼と期待を持って聴き始めたのですが、おや?第1楽章冒頭の激しいテーマがどうも粗いというかユルイ気がする。ふむむ。
ユルイというかちょっと放埓な感じで第1楽章前半は過ぎてゆく。このところかっちりしたきびきび系ばかり聴いているせいでそう聴こえるのか?

テンポはベームにしては中庸。なんとなく冒頭の違和感をひきずりつつも中盤からはさすがに豊かな響きを見せつつ終える。
冒頭リズムの甘い感じはどうもホルン隊のせいかもしれんな?と感じスコアで追ってみる。
オーボエがなんかぺらぺらな紙のような音なのは録音のせい。

第2楽章は走り出しゆったりめのテンポ。このくらいのテンポも好きだな。特に自分が弾く場合はこのくらいが平和だ(笑)
第2楽章の中盤からすこしテンポアップするが、そのあたりから急にオケの締りがよくなってくるような気がする。これこれ。これが聴きたい。こうなると律儀な繰り返しも冗漫に感じない。いいねえ。

第3楽章はさすが堂々としたものだ。ゆったりしたテンポの中にしっかりセクションごとのうねりを作り出している。1stVnが奏でる変奏メロディがあわてず落ち着いている裏で、管楽器が和声の壁をつくるシーン、管楽器の抑揚がよくコントロールされていてグルーヴ感がある。こういうバッキングが実にかっこいい。
例の4番ホルンも申し分ない(まあもうちょっとボリューム感があってもいいかもですが)

しかし、うーんと感心したのはやはり第4楽章だった。音楽様式のパノラマのような曲だが、とくに二分音符を1拍とするようなバロック以前の古風な書式による部分などは、遅~いテンポで一音一音丁寧に紡いでいく。じっくりそれを聴いているとなにか一種の行のようだ。響きを受け止めているうちに長い音楽史をそっくり包み込んだまま天とつながっているようななにやら神秘的な心地すらする。
感動とはまた違う、じっくり内省の末の境地という感じはやはりベームらしいという気がする。と同時に、この第4楽章の持つ力の底知れなさを知らしめる演奏でもある。すごい曲だよなあ。ほんとに。

***

録音にときおりふっと断絶感があるのは、つないだ部分なのかなあ?とてもここでは繋げないだろう?というところでも感じることがあるのだが。
つないでいるとしても、全楽章通じて最初から通しで演奏しているような、終盤へ向けての意志の持っていきかたを感じるところはよくできているのだが。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェン交響曲第9番 コリン・デイヴィス

2010-10-13 01:30:42 | music
ベートーヴェン:交響曲第9番
デイヴィス(コリン),スウィート(シャロン),ラッペ(ヤドヴィガ),フライ(ポール),グルントヘーバー(フランツ),ドレスデン国立歌劇場合唱団
ユニバーサル ミュージック クラシック



ベートーヴェン交響曲第9番 コリン・デイヴィス+シュターツカペレ・ドレスデン



サー・コリン・デイヴィスの演奏はあまり聴いたことがないのだが、アムステルダム・コンセルトヘボウと演ったストラヴィンスキー「春の祭典」は結構好きだった。

ハルサイはワタシは若き頃はエアチェックしたカセットテープでずっと聴いていたのだが(どこのだれの演奏かわからない)、あるとき何気なくデイヴィス盤を買ってみた(LPレコードですね)。
するとテープ盤?とはまるで違う、野蛮でむき出しで大胆なハルサイが鳴り響いてあわてた。テープ盤のあれはなんだったのか?wオレは今まで何を聴いてきたんだ??

なわけで、アムステルダム・コンセルトヘボウとデイヴィス株はワタシ的には結構高い。
(コンセルトヘボウのほうはすでにリムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」コンドラシンにて不動の評価を得ていたわけですが)
まあ、あらためて今そのハルサイを聴きなおしてみると、それほど野蛮でも大胆でもないように思えるのだが、そういう刻印を我が青春に残した指揮者なわけですね。

*****

で、その指揮者と由緒正しきシュターツカペレ・ドレスデンによる第9。93年の録音。

第1楽章冒頭がスタートしたところで感じるのはまず、録音どうなの?という話で(笑)
なんかこう霞のかかったようなざらついた埃っぽい音は弦楽器に特に感じるのだけれど。これは高域と低域が弱いというか明瞭じゃないからかなあ?
まあ大した機械で聴いてるわけではないんでそのあたりはわかりませんが。
(どうも80年代90年代のデジタル録音にはときおりいまひとつな録音がある気がします。70年代のアナログの方がずっと豊かな感じ。)

そのせいか、というか、にもかかわらずというか、逆に中域はこもっている割にはよく聴こえるんですよねーw。
セカンドバイオリン、ビオラ、ホルン、ファゴットあたりが。普段日の目を見ない(笑)そのあたりに急に光が当たるので、いい具合に虫干しできてるっていう清潔感を感じることが出来ます(笑)
マイキングによるのか、録音場所となった教会の特質なのか、ミキシングのくせなのか、そういうコンセプトなのか。

たまたまワタシはちょうどこれからセカンドバイオリンを弾くので、これはいい教材だ。なにしろ第1楽章冒頭から「ざかざかざかざかざかざか」とセカンドの6連符がはっきり聴こえる録音もそう多くはないだろう。よく勉強しよう。

肝心の演奏のほうはというと・・・これはやはり「中庸」とか「オーソドックス」とかいう言葉がやっぱり出てしまうな。テンポにしてもデュナーミクにしても、どこも程よくやりすぎず足りなすぎずという線をよく保っている。
何を持って中庸かというとまたわからないのだが、ワタシがちょうど70年代によくクラシックを聴いた世代なので、まあだいたいフルトヴェングラーあたりから近年のラトル、インマゼールなどを見渡しての中庸感なのだろう。70年代くらいになんとなく形作られた習慣というか作法の継承がこのデイヴィス盤なのかもしれない。

この中庸感をどうとらえるかで評価が分かれるだろう。目新しい解釈や原典回帰の身振りもない、ことさら激情に走ることもないということで、面白みのない演奏と思われることもあるだろう。

ワタシ的には割と好きですねー。自分が若くなくなってきたこともあると思うけど、中庸をキープすることもちゃんとした技が必要なわけで、そういう技をつぎ込んできっちり組み立てられた骨組みに情念が包み込まれている。
長く聴くなら実はこういう手堅い演奏なのかもなと思う。

第3楽章は特にテンポなどが難しいと思うのだが、デイヴィス盤はなんというかそつなく無難にこなしている。(全然褒めている気がしない(笑))
ワタシはこの楽章は4番ホルンがどう処理されているかに耳がいくのだが、最近多いテンポ早めの演奏だとだいたいこのホルンがさらっと流れちゃうか最悪ころころ転がってしまう。デイヴィス盤はテンポ的にはぎりぎり速すぎないというところか。見せ場ではもうちょっと思い入れたっぷりにタメを聴かせてもいいかもしれない。

ただひとつ「中庸」をはずれてしまっている例外箇所はw、第4楽章のバリトンソロではないかな?この歌い方はなんというか下品と言うかw「べらんめい」調ではないか?下のほうから思い切り巻き舌で「ふrrrrろぉいでっ!」てきたあとに群集が「ふろいでっ!!」てくると、ほとんど海賊団の親分と手下たちって感じだ(笑)
これも好みが別れそうだ。ワタシは上品なレディスアンドジェントルメンな合唱よりも多少荒々しいヨーロッパ的群集味のするほうが好みなので、海賊団で問題ない、というか、面白いんだけども!

****

3楽章といえば、おなじくサーの称号をもつジェイムズ・ポール・マッカートニーの「Treat Her Gentry/Lonely Old People」で4拍子と3拍子を交錯させるワザは、この第9から着想を得たのではないか?と勝手に踏んでいる。彼にインタビューする機会があったらぜひ訊いてみたい。(その機会っていつだよ?w)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェン交響曲第9番 ラトル+ウィーンフィル

2010-10-09 00:31:24 | music
ベートーヴェン:交響曲第9番(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
ラトル(サイモン),ストレイト(カート),ハンプソン(トーマス),ボニー(バーバラ),レンメルト(ビルギット),バーミンガム市交響楽団合唱団
EMIミュージックジャパン


ベートーヴェン交響曲第9番 ラトル+ウィーンフィル

2002年の録音で、ラトルとウィーンフィルで行ったベートーヴェン連続演奏会の中のライブ録音。
合唱はバーミンガム市交響楽団合唱団。
全集として出ていたものの分売だが、ラトルのEMI専属契約30年記念キャンペーン盤のひとつとして今回はHQCDで発売されている。

ワタシは今回初めてこれを聴いたんだけれども、なかなか面白かった。
最近のブラームス全集の印象から、わりとスコアに忠実に行く中で面白さを見出すタイプの指揮者だと思っていたのだが、この第9では結構スコアから逸脱した揺れやダイナミクスを随所で見せている。
もちろんそのことは別に珍しくないというか普通というか、むしろ往年の巨匠の自由闊達さはあきれるほどであるわけだけど、このラトルの演奏はそういう闊達な先達の演奏のあとでも、また新鮮な面白さを見出す余地があるのだなあと思わせるものがある。

オケは全体的にきびきびした印象でスタッカートをきっちり合わせていく感じ。
それでもなんというか独特の情念のようなものは失わず、むしろきびきびの内側にどろどろを忍び込ませることで形式と激情が同居することによる一種の奇形性を醸し出している。
このなんだか危ない感じは、ベートーヴェンを何度か聴くとなんとなくわかってくる座りの悪さをよくつかんでいて、そういう点では曲とよく向き合った演奏なんだろうなあ。

合唱とソリストについては、ワイルド!という感じ。
解説によると、歌詞との関係を重視して音楽表現を作っていったらしいが、その関係はとてもストレートな印象。
言葉が高揚してくると声も行儀のよさを捨てた高ぶりを見せ、時には一発叫ぶような表現もあれば、ピアニッシモでも沈む印象はなく情念を押し出してくる。
ソリストも冒頭バスのレシタティーヴォからしてかなり放埓(笑)で、音程も不思議な箇所がなくもない。

このへんは好みが分かれるところなんだろうけど、ワタシ的には、歌う表現としてはむしろ自然なアプローチだと思う。
歌詞を眺めつついっしょに気持ちを入れて聴くとなかなかにもりあがって楽しいのよね。
行儀よく技を聴かせて崇高な芸術をやっている風な歌よりはワタシは身近に感じられて面白い。
(崇高ゲイジュツな態度もそれはそれでまた好きだったりもするんだけどさw)

フルトヴェングラーみたいな破壊的超越の迫力とはまるで違ったヤバさを持った盤だね。
特に第4楽章の持つ特異性を直感的につかむという点では、やはり現代の演奏の代表であるだろうインマゼールの全集盤よりも、ラトルのほうが成功しているかもしれない。

一方で3楽章はなんだかあまりぱっとしない気もしないでもない。ストレートすぎて譜面が見えてきてしまうのは、、ワタシの病気かも??

ベーレンライター版、バイオリン対向配置、二管編成、だそうですよ。

*************

諸事情により(ってその事情は前に書いちゃってますけどもw)ワタシはいま気持ちが第9漬けになっており、他の曲を聴いても心ここにあらずという極端な状況にあるので、すなおに毎晩毎晩第9を聴いているのです。

粒オケのときは飽きもせずブラームスを聴いていたし、なんかこうまっしぐらというか余裕がないというかね~w



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ブラームス交響曲第2番」バルビローリ+VPO

2010-09-18 16:01:01 | music
ブラームス:交響曲第2&3番
バルビローリ(ジョン)
EMIミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る



「ブラームス交響曲第2番・第3番」バルビローリ+VPO

なんか最近ここクラシック音楽ブログになってきたなあ。



ワタシが勝手に考えているブラームスの特徴の一つは、「キャラが立たない」ことなのだが(笑)。

もちろんほぼ例外なくブラームスの作曲したものには濃厚にブラームス印が押されていて、その意味では十分キャラ立ちしているのだが、ここで言わんとするのはですね、曲に聴く人にまちがいなく明確に伝わるような目だったモチーフとかメロディとかが少なく、どちらかというとメロディなんだか経過句なんだか和声なんだかわからないモチーフがずっしり積み重なって、結果としてはなんかすごい全体が出来上がっている、という曲が多いと思うのだ。

交響曲第1番などはむしろ例外的で。特に第4楽章のあのホルンのアルプスなモチーフや、ベートーヴェン第9を想起せずにはいられない弦のテーマは、それはもうキャラが立っていてわかりやすい。そういう点も含めて第1番は代表作となっているのだろう。

しかしそれ以外の曲をずらりと並べてみると、むしろそういうキャッチーな箇所を有する曲は意外と少ないような気がする。
室内楽曲の(ジプシー起源の楽章を除く)ほとんどがそうだと思うし。交響曲第3番の第3楽章などは立ちすぎで心なしか浮いてしまっているような気がするほどだ(笑)

どちらかというと、茫洋とした旋律群でしかしかっちり構成された全体を楽しむしかないような曲が多く、それがまたブラームスの「重厚で渋い」と形容したくなっちゃう魅力を形作っているだろう。

で、交響曲第2番は、キャラ立ちしない曲の代表例ではないかなと思う。いちおう構成としては明確に第1主題だの第2主題だのとちゃんとあるわけなんだけど、なんかこう、メリハリがないというか。
ブラームスの「田園交響曲」とか呼ばれてしまうような全体のほんわかした雰囲気も茫洋な感じに一役買っている。

まあ、ワタシだけがそう感じるのかもしれまへんけれども、そんなこともあって、若い頃は「なんだかピンと来ない曲だよなあ」とスルーしがちだったのですね。第2番。


それでも繰り返しというのは面白いもんで、しばらく聴いてみて交響曲第4番に俄然開眼したあたりから徐々に、茫洋たる構築物を楽しむ快楽に目覚めて、「キャラ立たないブラームス」が妙に好きになっていき今日に至るわけです。

で、そうなるとこの第2番も俄然好きになっちゃんたんですな。
特に最近は2番大好き期なのです。

よく聴くと謎めいたフレーズも実によく考えられていてう~ん!とうならざるを得ず。お得意の小節線を飛び越えた変拍子感も随所にでてくるし。
2楽章や3楽章は渋いなかにもはっ!とするようなロマンティックな瞬間がありステキだ。聴けば聴くほど味のあるってやつですな。
全体ががっちり関連していてムダがない。(別にムダがあってもいいんだけども)

これだけかっちり構築されたものをブラームスは1年くらいで書いてしまったという話で、それもまたびっくりであるのです。




今回はイギリスの指揮者バルビローリの残した1967年の録音で、一言で言うと優しさに満ちた豊潤て感じ。
たっぷり歌い上げるのだけどそれがあざとくも下品にもならず、実にいい気分。フルトヴェングラーやワルターのような強烈な個性を聞かせるのとはまた違った奥ゆかしいロマン主義。

最近の傾向は、楽譜に忠実かつ中庸な表現が主流だと思うが、そういう演奏もワタシは好きだし評価もするのだけれど、でもバルビローリのような演奏もまた大好きだ。
音楽は本来こうやって奏でる音のもつエネルギーや抑揚が人の心に響いていくところに成立するもので、歌いたいところは豊かに歌ってみるとかそういう自然な感情の高ぶりを持つ演奏も、結果作曲者の意図したものと多少違ったとしても、再現芸術の面白さとしてまた十分ありなのだ。

こういう演奏習慣が廃れてしまうとしたらそれはそれでなんだかさびしいな。
ということで、今だからこそ音楽を考えるために聴く音楽。



人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ベートーヴェン交響曲第5番(DVD)」インマゼール+アニマ・エテルナ

2010-09-16 00:30:14 | music



「ベートーヴェン交響曲第5番(DVD)」インマゼール+アニマ・エテルナ


インマゼール+アニマ・エテルナによるベートーヴェン交響曲第5番演奏の映像。
彼らの演奏を観られるということはもちろん、「ロプコヴィッツ伯邸のホールでのプライヴェート・コンサートを再現する試み」ということでロケーション的にも見ごたえがあるのだが、なんといってもワタシ的には、ベートーヴェン時代の古楽器がずらりとならぶ姿と音が魅力的。
この魅力はなにやら理屈を超えたところにあって、こんなにも病的にわくわくしてしまうのはいったいなぜなのか、自分でもわからんのですが。

あのリコーダーチックなフルートの音色、ヴィブラートをあまりかけないまっすぐなオーボエの音、高域と低域しかないような野蛮な(笑)ファゴットの音なぞ聴くと、もうわくわくがとまらない。
管がくるくる巻いてあるだけのナチュラルホルンや、むやみに長いトランペットとかもいいねえ。

弦楽器群も視覚的になるとまた面白い。目立ったところではまず弓がモダンとは違うし。バイオリン、ビオラはみんな肩にのせて左手で楽器を支えている。顎ではさんで固定していない。よくあれで弾けるな。コンマスなどは、楽器のうえの顎の位置が通常の反対側にきちゃってるくらいで。
チェロもあの「地に足が着いていない」やつで(笑)楽器もかなり立てるように構える。

そういう視覚的快楽はさらに、演奏者たちのとてもヴァイタルな演奏態度によって感動的だ。みな体を動かし元気いっぱいだしピリピリした集中力を感じさせると同時に笑顔も見せる。かっこいいなあー。

モダンオケの感覚でいくと、管楽器に対して弦楽器が少ないと感じるのだが、出音ではバランスに問題がない。観ると弦楽器はかなり弓使ってばりばり弾いているので、そういうこともあるのかもしれない。

演奏は例によってテンポの速い粒のそろったもので、この緊密さが集中力のある元気さから生まれていることがよくわかる。できることならこのチームに混ざってベートーヴェンを弾いてみたいものである。

つうわけで、演奏がどうこうよりももう快楽に酔ってしまってねー。


****

このDVDにはドキュメンタリーも収録されているが
そちらはまだ観ていない。そのうち書くかも。

そしてアマゾンではどうも取り扱っていないようで
いつものところではないとこにリンク貼ってます。



ところで【私信】

りつかさん

元気にしてますか?
ここ見てたら、かつ気が向いたら
反応してください




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ブラームス:交響曲全集(DVD付)」サイモン・ラトル+ベルリンフィル

2010-09-14 02:31:08 | music
ブラームス:交響曲全集(DVD付)
ラトル(サイモン)
EMIミュージックジャパン

このアイテムの詳細を見る



「ブラームス:交響曲全集(DVD付)」サイモン・ラトル+ベルリンフィル

最近ずっと聴いていたのがこの全集でして。2009年発売のほやほやの全集。
内容は一言で言うと「ザッハリヒカイト」という感じで、楽譜にとことん忠実に、余計な抑揚は極力つけずにストイックな情感をこめたというところですかね。

フルトヴェングラーのブラームスで育っちゃったワタシとしてはもちろんラトルの演奏に物足りなさは感じないわけではないですが、逆にフルヴェンさんがいかに自由に曲を我が物にし飛翔した存在だったかをつくづく知ることにもなり、そういう面白さがあります。

それにこのストイックな演奏も、よく聴くとなかなか熱のこもったところもある。第2番の2楽章テーマのなにやら濃厚なコーヒーみたいな渋さとか、4楽章のミディアムテンポながら音圧とグルーヴを維持し続ける感じとか、なかなかいい具合である。

派手な表現はわかりやすく伝わりやすく、そういう面はほとんどないので、音楽で激しく感動したり心揺さぶられたりしたい人にはまったく薦められないのです。
だけれど楽譜の本来持っている情熱のようなものを知りたい人とか、あるいは自分で演奏をする人には向いているかもしれない。スコアを見ながら聴くと、あ、ここはこういう指示なのかーと改めて自分の見落としに気づく。そういう感じで、ワタシはこの全集は結構気に入っているのです。

ひとつ気に入らない点があるとすると、フォルテからフォルテッシモのクレッシェンドの時に、クレッシェンド開始部分で音量をふっと下げるとこですかね。クレッシェンド効果は高まるのですが、そこはやはりフォルテのままさらに大きくなって欲しい。それを正直に書いちゃうチャイコフスキー張りに、気持ちではfffffくらいまで気張って欲しいな。
(最近この手法はよくきく気がするけど、はやっているのかな??)

あともうちょっと弦が太く聴こえるといいな。特にビオラが埋もれ気味で残念。これはこれまた最近はやりのバイオリン対向配置のせいなのかもしれないが。

全曲DVDのおまけがついているのもうれしい。音の処理は悪い気はするが、とにかく動くオケをみるのは楽しいからいいのだ。

****

弦の音がいいのはベーム+ウィーンフィルのブラームスだと思うけれどどうだろう。解像度がよく表情が伝わってくる。ちょっと伝わりすぎかも。その代わり木管がちょっと沈み気味。
オケの録音のMIXは大変なんだなあ。。。


人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブラームス「ピアノ協奏曲第1番+ピアノ四重奏曲第1番」ラトル+バレンボイム+BPO

2010-09-12 05:36:53 | music
Piano Concerto No 1 / Piano Quartet No 1 [DVD] [Import]

Euroarts

このアイテムの詳細を見る



ブラームス「ピアノ協奏曲第1番+ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲版)」ラトル+バレンボイム+BPO(DVD)

2004年のベルリンフィル「ヨーロピアンコンサート」の模様を収めたDVD。アテネの野外劇場(ヘロデス・アッティコス奏楽堂)での、青空の下開放感あふれるライブ。

なにしろときおり鳥のさえずりが聴かれるし、演奏者の譜面が風でめくれそうになるし(笑)
お客さんも石造りの半円形の急斜面ベンチ席にクッションを敷いてぎっしり。あのクッションは何枚あってどこが所有して普段はどこに収納されているんだろう??とかいらぬことを考えてしまったりする。
演奏の背後に写るお客さんも野外なせいかときおり隣の人とひそひそ話してる人もいて、なんか開放的。

でも録音はしっかりしていて、バランスもよくかっちりミックスされている。画面の開放感と音のよさがミスマッチで最初はとまどってしまう。
そのうえ曲もよりによってブラームスでしかもピアノコンチェルトのしかも1番という(笑)重厚な曲想はまたこの野外の開放感とはなんともミスマッチなんだよねーー

そのミスマッチのめまいに慣れてくると、演奏はなかなかよいと思う。カメラも結構台数があるようで、いろいろなアングルから演奏者や会場風景に迫る。演奏者はみな生き生きとしてよく歌う。こういう生命感があるよね欧米のオケって。全体の調和の中でも個人個人がはっきり主張し生きているという感じ。

バレンボイムのピアノは他と比べてどうかはわからないが、抑制のきいた手堅い演奏かな。1楽章の長い長いオケテーマのあとにそっと入ってくるピアノが好きですね~。


シェーンベルク編曲版のほうは、ものすごく久しぶりに聴いたので、ほぼ初くらいなもんですけど、なんというか、かなり華々しい曲に仕上がってますねー
たくさんのパートが大体常になにかしらやっているというイメージで、楽しめるのだがちょっとせわしない感じもなくはない。
ブラームスらしい静謐な瞬間ももっとあっていいのかもしれない。
もともと室内楽編成なのでモチーフの素材としては少なめなんだよね。それを大編成で使いまわすので、音数が多いわりにあまり多層な感じにはならないのもちょっと物足りない点。

演奏は、指揮者のラトルが暗譜で指揮台なしで振るので、その動きがもはやダンスの域なのが面白い。管も弦も早いパッセージをカリカリときっちり合わせて出してくるのはさすが。やっぱりうまいよなーベルリンフィルは。



人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェン交響曲全集・序曲集 インマゼール&アニマ・エテルナ

2010-09-03 00:36:32 | music
Complete SymphoniesZig Zag Territoriesこのアイテムの詳細を見る



ベートーヴェン交響曲全集・序曲集 インマゼール&アニマ・エテルナ
(2008)

20世紀末から21世紀初頭を生きてよかったなと思うことの一つは、クラシック音楽の演奏における「古楽」の充実を聴くことができることだよなあ、と時々思う。

個人的な印象に過ぎないのだけれど、50年代から70年代くらいの古楽はまだカオスな感じで、主流だったロマン主義的重厚壮大な演奏習慣に対するカウンターカルチャー的な面が強いものが多かったように思う。

作曲者の意図に忠実な響き。楽譜と作曲当時の演奏習慣と楽器の研究に基づく「オーセンティックな」演奏。そういう御旗を振りつつ実際のところ十人十色のセンセーショナルな演奏を披露して我々をビックリさせた。

とりあげる作品もバッハからそれ以前という感じで、時代が古くなるほどその演奏の「正当性」は怪しくなり(笑)、内容もフォークロアなものや即興演奏など、アカデミックな世界からはみ出した活動が目立ったのもそのころ。

それはそれで大変面白く楽しんだので好きなのだが、80年代以降は研究内容も演奏技術も洗練されてきて、ぐっと充実した感じがする。

古楽陣営の水準が上がったということもあるだろうけれど、古楽の内部で「オーセンティック」の旗印は所詮は文献調査と楽器からの類推と、それらの解釈の結果に過ぎないという相対的な自覚を真摯に持ち始めたことにも充実の理由があるように思う。

研究的態度から演奏スタイルを見出すというやり方が、実は現代的な演奏習慣なのだという自覚は、いにしえの響きを求めるとともに現代的な音楽を作るのだという発想につながる。音として現在を切り開けるのか、というあり方。

一方でそういう意識の変化は、「古楽でない」側にも影響する。
19世紀の音楽だって今や当時の演奏習慣を知ることは難しい。伝承による習慣から、それを含めた批判的な研究に基づく演奏へ。そういう意識の上では古楽もモダンも同列なのだ。両者間の垣根はおそらくなくなったといってよく、抗うべき権威もなく、ともに現代の演奏として同じ土俵で演奏し聴くことができるようになったのだ。

歴史の発明と「クラシック」の成立によって整理体系化されてきた音楽は、その整理の成果を踏まえたあり方「響き方」を模索する「批評の演奏の時代」というメタレベルに入ってきたのだろう。(??)

****

と、適当なくせに長い前振りはさておき、最近の古楽勢の成果の一つがこのインマゼールとアニマ・エテルナによるベートーヴェン。

新ベーレンライター版にさらに独自の研究成果を加えたという版については、ワタシの耳では全然判別しかねるので他に譲るとして、聴いてみたうえの特徴といえば・・

まず音色が印象的。
古楽器であるせいか管楽器は全体的にまろやかで丸い感じ。しかしファゴットやホルンなどはノイズを含む素朴な響きも。ティンパニは締まった「革」の音で「ばーん」というより「ドン!」という印象。弦楽器は・・・形容が難しいが・・・ヴィブラートを用いない倍音の少ないまっすぐな音。そして人数が少ないこともあり像にぼやけた感じがない。

それとテンポ。「ベートーヴェンの書き込んだメトロノーム指示って早すぎね?問題」ってのはいにしえからずっとあるのだけれど、他の多くの古楽勢と同様にここでも指示通りに速いテンポが採用されている。揺れもほとんどない。

ダイナミクスも振幅が大きめで、これもデジタルな扱い。フォルテに向けて自然に大きくなったり溜めたりはしないで、突然ガツンとフォルテを聴かせる。

編成も小さく、弦楽器は管楽器とのバランスがぎりぎりな線まで少ないようである。弦が少ないことで高速かつ粒のそろったぼやけないアンサンブルが成立しているように思える。

そんなわけで、丸めで倍音の少ないストレートな音で、きっちり縦の線をそろえ、高速でメリハリの聴いたベートーヴェンが提示される。
凝縮され骨格のはっきりした音楽という印象だ。

こういう音はワタシは基本好みなので大筋ウレシイのだが、演奏としてのよさという点では、曲によって大分違いが出ているように思う。

5番などはいい感じになってると思う。もともと骨格しかないような曲だし(笑)ストレートに八分音符が積み重なって構築される1楽章はなかなかスリリング。
6番も意外にいい感じがする。全然牧歌的でないけれども(笑)

7番と9番がちょっといまいちな感じ。演奏にグルーヴィーなところがなくて推進力に欠ける気が。9番の4楽章は演奏の問題もあるが、方法論がマッチしていないというか、ベートーヴェンのなかでも他の曲にはない世界にはみ出ちゃってる楽章だということかもしれない。3楽章もそうなのかも。

その他の曲は・・・聴いてのお楽しみということで。
あとあれだ、解説が分厚く面白いので、日本盤を入手することをおすすめする。
(といいつつ、上のリンクは輸入ものなので要注意w)

*********

ちょっとぐぐってみたら、あるブログではワタシと正反対の感想を述べていた。
それはもうみごとに反対で、えーと、「5番が一番つまらなく6番もそんなによくない。7番は特に終盤よく、第9の4楽章が面白い」という感想でした(笑)

よくまあこんな相反した意見が出るなあと感心する。
音楽はこれだから面白いのだな。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Bob Dylan & HIS BAND @Zepp Tokyo

2010-03-22 03:20:28 | music
Bob Dylan & HIS BAND
@Zepp Tokyo
2010.3.21sun

行ってきました。ボブ・ディラン来日公演。
ワタシは78年の初来日公演以来32年ぶりのディランでした。

実は『欲望』『激しい雨』以降のディランのアルバムは
それなりに持っているのだがどうも聴き込むに至らず、
事実上70年代終わりで脳内ディスコグラフィは止まっている。

なので今回の公演のセット中、曲名がわかったものは
5~6曲くらい。
新しい曲は聞き覚えがあるものは何曲かあるがもちろんタイトルは出ず。
古い曲でも知らない曲があるうえに、どうせアレンジや歌い方は別物になっているので、わからず。

という、ファンな割には情けないレベルでの参戦となりました。

それでも最近のボブの、しゃがれ声をはるかにとおりこした破壊的歌声にはかなり慣れていたので、音響的にとても楽しめました。
聞き慣れるとあの声でも奥底には往年のディラン節はちゃんとあることがわかるのですね。

演奏は基本ギターロックンロール/カントリー/R&Bバンドという趣で、
全編わりと音のでかいロックンロール大会となりましたね。
そういう点では、思い切り踊って聴ければよかったんですけど、
ぎゅうぎゅうのスタンディングライブなのでそれもほどほどという感じで。

あちこちに出ている各公演のセットリストをみると
だいぶ公演によってヤル曲が違うようですね。
デゾレーション ロウをヤルかと思っていたですがやらなかったし。

Don't think twice,It's all right
Mr. Tambourine man
All along the watchtower
A ballad of thin man
Like a rolling stone
Highway 61 Revisited

そんなとこでした。知ってた曲は。

こちらのサイトでこのツアーの選曲の雰囲気がよくわかるので
無断リンク。
結構へえ!と思う曲もあるので、時間とお金と体力が無尽蔵にあったら
全公演追っかけてみるのも面白いですね。

****

演奏陣はよく知りませんが、
チャーリー・セクストンがまた復帰しているようですね。
彼は風貌やギタープレイで、ちょっとだけ往年のロビー・ロバートソンを思わせるものがありました。
ベースはたぶんトニー・ガルニエさんだったですかね。すっかりディランの右腕的存在となったようですね。バックバンドメンバーとしては最長在籍期間なのだそうです。
あとはもうひとりギターと、スティールギター、そしてディランがオルガンとギターとブルースハープ。

音的にはそんな多彩にはなり得ず、ふとローリング・サンダー・レビュー(前半)や78年武道館の面白いサウンドのライブを思い出してしまいました。
正直なところあのスカーレットのヴァイオリンが鳴り、故イアン・ウォーレスのドラムがばたばた鳴るエキセントリックなライブをまた聴いてみたいと思う気持ちを禁じ得ません。

まあ、もちろんそういう過去をボブが繰り返すはずもないことはもうわかり切っているので、現状を否定する気などさらさらありませんのですが。
というか、70年代の時点で、同じ曲でもパフォーマンスの度にアレンジや歌い方やメロディラインさえも!全く別物に変えてしまうディランのやりかたには子供心に実にかっこよく見えた、あの心躍るやりかたをディランはいまだ続けているのだということですね。


〆にレナルド&クララのDVD(もちろんヤミ^^;)でもみることにしましょうか。




人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オケ熱にわかに勃興でブログおろそかに

2010-02-14 22:35:52 | music
最近話題のTwitterにはまっていまして。
あまりブログを書いているヒマがないのですが、
それはTwitterのせいばかりではなく。

Twitter上に仮想行政区というか
粒谷区というのがありまして。
で、その流れで粒谷区立管弦楽団てのが立ち上がりマシて
いきおいで参加してみたんですが、
そこで今度リアル演奏会をやろうってことになり。

なので急に演奏会に向けて練習とかしないといけないのです。

予定ではいまのところ、ブラームスの1番とか
ワーグナーのマイスタージンガー前奏曲とかがあがっています。
どちらもテク的にはワタシの限界をやや越えなレベルなので、
はっきりいって猛練習をしてやっとなんとかついていく程度にしかならないでしょう。

みんなの足を引っ張りつつも楽しくやるためには
毎日練習をしよう。
と思いつつもまだ週末しか弾いてませんけれど。
少なくとも夜はCDで音像を体内に取り込んでいるのです。

あ、で、リアル演奏会は8月なんですけれど、
だんだん参加者があつまってきているようですが、
まだ微妙にバイオリンが足りません。
ここをみて興味がある方は
こちらをみてみてください。
ツイッターやってることが条件にはなりますが。
バイオリン弾ける方、一緒に弾きませんか?


*****

ブラ1はベームとノリントンのしか持っていないので、
ああ、正確にはフルトヴェングラーのアナログ盤は持っているけど、
他のひとの演奏はどんなもんじゃい?と
アバド指揮ベルリンフィル90年っていうCDを買ってみました。

90年代の録音を聴くことがあまりないんですけど、
すごく勇ましくて、高域が立っていて、残響が多い。
演奏は好みだけれど、録音はいまいちかもね。

あと始めてワーグナーのオペラ前奏曲集のCDも買っちゃった。
マイスタージンガーはずいぶん前にコントラバスで参加したことがあったので
曲はよく知ってるんだけど、バイオリンでは始めてだなあ。

ブラームス:交響曲第1番

ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る


ワルキューレの騎行~ワーグナー:管弦楽名曲集
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る




人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」ジェフ・エメリック、ハワード・マッセイ

2010-02-13 23:49:45 | music
ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 <新装版>
ジェフ・エメリック,ハワード・マッセイ
白夜書房

このアイテムの詳細を見る


ビートルズの音楽活動、特に中期以降のレコーディングにおいて当事者・渦中の人でありながら、エンジニアでありあくまでEMI社員という立場からファブ・フォーからは微妙な距離を置かれ、冷静な観察者ともなった。そんな立ち位置にある有名レコーディングエンジニア、ジェフ・エメリックによる回想録。

とっても面白かった。数多い評伝の類はどれも見てきたようなことを書きつつ実際は微妙に事実や4人の思いとは違った「伝説」を量産してきたのだけれど、この本は「まさに見てきたこと」を書いている。4人に関することは自ずとほぼアビーロードのスタジオの中でのことに限られ、具体的なこまかいエピソードの披瀝など、当事者ならではの臨場感なのだ。

4人の姿は主にスタジオでの演奏・曲作り・録音における態度がどうだったかという話から浮かび上がってくるのだが、それが面白い。
デビュー前オーディションから初期は、牽引役ポールに叱咤激励されながらよりよい演奏のために協力する姿。リボルバーからsgt.でのほとんど特権的にスタジオを占有しながら昼夜別なく次から次へアイディアを実現するチームとしての彼ら。インド行きを挟んでホワイトアルバムレコーディング中のすっかりチームであることをやめ険悪になる彼ら。どんどんやさぐれていくジョンとジョージ。レボルーションNo.1のギターの音作りでジェフに罵声を浴びせるジョン。ポール独裁の泥沼のままトウィッケナムからアビーロードに移ってきたゲットバックセッションの一触即発の緊張感。当人たちだけが最後とわかっていたであろうアビーロードのためのレコーディングで、もはや互いに干渉や対立すらも避け静けささえ漂うセッション。
そういう移り変わりを、具体的なエピソードの回想で感じさせるところが、なんとも生々しい。

初期には食事は必ず4人でとり他のスタッフと食べるようなことはなかったという話とか、アビーロードのスタジオにファンが乱入してすごい騒ぎになったハナシとか、アビーロードセッションのときに交通事故上がりのジョンとヨーコがスタジオにベッドを持ち込んで寝起きしてエラク場を悪くしたことwとか。

あとは、イエローサブマリンのときに初めて試みた、テープをカットした断片を放り投げてからつなげ直す技しはじまる、特にサージェント~のころの録音テクのハナシとか。

ファンにはホントうれしい話が満載なんだよね~


そのかわりというか、4人のコンサートツアーのハナシなどはいっさい出てこない。ジェフは同行してないからね。ラバーソウルなど、ジェフが参加していないアルバムの話も残念ながら知ることはできない。
ま、その分、話の内容に信頼が置けるということかもしれない。



*****

ビートルズを熱心に聴いていた頃は、「そうか~ビートルズのデビューからもう15年経ってるんだ~」とか思っていたが、いまやいつのまにか50年近く前のことになっている。。。。。い、いつのまに。。。
ジョンが亡くなったときの年齢をいつのまにか自分は越しているし、もはや没後何十年て世界だ。

皆平等に時は流れて、いつかはいなくなっちゃう。
ビートルズを聴くと、今はこういう
あたりまえのことをはっきり感じちゃうようになったね。




人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

the brilliant greenが再始動だ。

2010-01-21 21:58:42 | music
LIKE YESTERDAY(初回盤)

ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


the brilliant greenが再始動だ!
2010.2.24にシングルが発売だそうです。
ブリグリは昨年?だったっけ?
ベスト出してから事務所との契約も切れて
どうなることかと思っていたんだけど
新しい事務所も決まったみたいで。

ギョウカイのドロドロには興味はないけれど
再出発が成功にむかっていくといいね。

で、なんとブリグリのmy spaceがあるのよね!
ここでLIKE YESTERDAYのデモバージョンが聴ける。
すっごいブリグリ色丸出し^^;
こてこてだ!
http://www.myspace.com/thebrilliantgreen


人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「チャットモンチー レストラン デザート」チャットモンチー

2010-01-19 00:58:53 | music
チャットモンチー レストラン デザート [DVD]KREこのアイテムの詳細を見る




「チャットモンチー レストラン デザート」チャットモンチー

2009年8月にリリースされたDVDをやっと見る。
デビュー直後の2006年新宿ロフトでの東京初ライブと、2009年同じくロフトでのライブ、2007年渋谷AXライブが収録されている。

2006年と2009年の違いは3点。
ベース福岡さんのベース構え位置、
お客さんのノリ、
えっちゃんの顔w。
これ以外大きな変化がなく、演奏テクの向上は観られるにしても、音楽性や前のめりな感じはデビュー時からもう出来上がっていたのだ。

デザートは、選曲もちょっとマイナーな曲を選んだようでそれもまたうれしいところ。
「夕日哀愁風車」など初期の曲の初映像化もいいし。これはポップなチャットとはまた一味違う側面の、謎のコード進行とそれにぶつかるシンプルメロディを持つ曲。謎の曲は初期のほうが多い。「湯気」もいい。

2009年のライブではいまのところ最新アルバムの「告白」からの初ライブ映像がうれしいね。特に歌の原初的すがたは繰り返しにこめる魂だということを感じさせる名曲「やさしさ」があるのがいい。えっちゃん的シャウトを堪能しよう。

******

福岡さんというかあっこさんのベースは2006年にはかなり高い位置で構えていたのだが、2007年にはすでに低い位置になっている。想像だがいまの日本のバンド界ではギター類はそれはもう低く構えるのが大主流で、そういうビジュアル面での「指導」がはいったのだろう(?)。えらいひと「ベースは低くなきゃ売れないよ。売れたいなら低くしな。」あっこ「はい」というやりとりがあり、あっこさんは猛練習の末低い位置でのプレイを短期間で獲得した・・・という涙ぐましい話があったかどうか・・・??(妄想)

えっちゃんの顔については、あちこちで「整形?」という流言があるのです。と書くと「高橋絵莉子 整形」という検索でここにきちゃう人が出るのですがww。まあ、初期の顔も今の顔もステキなのでなんら問題ないですね。そもそも整形する必要がないし、3ピースの音にこれだけこだわるチャットに整形はいかにも似合わない話だ。

えっちゃんはおまけ映像の舞台裏でもひとりギターを弾く姿があるが、あのギター、例えばリフやフレーズを弾くときもノンヴィブラートだしほとんどベースのライン奏法に近い指使いだし、そういういわゆるギターの定石の方向にテクニックを洗練させていく気配がないのがすばらしいよ。ヘタウマ的部分を堂々と大音響で全面に出すことで結果的にチャットの音の個性を一手に引き受けているよな。彼女のスタイルとしてむしろ成熟したともいえるね。

一方でお客さんは、やっぱり若い。あの人差し指立てて腕突き上げて振りながらぴょこぴょこはねる、あのスタイルはいったいなんなんだろう。もっと思い思いの楽しみ方をすればいいのに。ライブに参加することで、あるいはアーティストに自己を仮借することでなにがしかの殻を破ろうとしているのだけれど、結局はライブハウスの「場のしきたり」に従順である自分がいるのに、それに気づいている気配もない。それに気づけよというメッセージはチャットの音楽に備わっていると思うのに。そういうお客さんはたとえばステージにほんとうの秩序霍乱者が出た際には、嫌悪丸出しでペットボトル投げたりするのだろう。
2006年の客席は控えめなぴょんぴょんだったが、2009年はもう大騒ぎだ。そういうもんだよねお客さんてのは。

と先入観に基づく憎まれ口で終わる。


あ、特典というかオマケのメンバーひとり1企画もおもしろかったよ。
えっちゃんの路上ライブ、やっぱりまじめに歌歌うとちょっと普通じゃないオーラがあるかもな。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビートルズMONO-BOXが入荷!

2009-09-30 02:59:46 | music
ザ・ビートルズ・モノ・ボックス(BOX SET)【初回生産限定盤】

EMIミュージックジャパン

このアイテムの詳細を見る


10月に入荷するそうですよ!
もう腹括って買っちゃうことにした!!
(大丈夫かなあ・・・)

欲しいヒトは即予約ですよ!



人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビートルズのリマスター!

2009-09-08 23:46:42 | music
ザ・ビートルズ・ボックス

EMIミュージックジャパン

このアイテムの詳細を見る


ザ・ビートルズ・モノ・ボックス(BOX SET)【初回生産限定盤】

EMIミュージックジャパン

このアイテムの詳細を見る


さてと、非常にホットなことに
明日・・もうすぐ今日、ビートルズの全アルバムリマスターCDが発売なのですね。

いつものワタシであるならば、何をさておいても購入。しかもステレオミックスとモノミックスの両方を。
しか~し
いまは事情により金欠というか倹約を余儀なくされており。。

泣く泣く諦めるかと思いきや、近い将来禁欲が解けた暁には
前後の見境なく購入することでしょう。
それまで在庫があるかなあ・・・

ビートルズのアルバムでどれが一番好きか?
というのはワタシの中では不毛な議論に属することで、
結論は、どれもそれぞれにすばらしい
というものです。

特に中期から後期のものが好みではありますが、では初期のものはだめかというと、全然だめではない。サイショの3枚におけるジョン・レノンの貢献と言ったらそれはすばらしいし、聴きながら歌マネをする時間はもう至福なわけです。

『ラバーソウル』『リボルバー』の時期も魔法の時空間。あれは独特の魔法。

でも『フォーセール』『ヘルプ』だって魔術的ではないまでもいいですよ。

その一方で『サージェント・ペパー~』『マジカルミステリーツアー』の世界もあるわけで、あれはなんだろう。異次元の世界?それは『イエローサブマリン』と地続き。

じゃあ『アビーロード』は?これはなんというか等身大の彼らがもどってきて、等身大だけどスゴくでかいの(笑)目の前で彼らが歌い演奏している。ジョージ・マーティンがご機嫌をうかがいつつ采配を振る。目の前で。盤を乗せると、いつでも目の前にいる。ビートルズで初めて買ったアルバムだ。ついでにあの頃の自分もよみがえってここにいる。

ビートルズで最初に腹の奥にがーんと響いてきた曲は『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』だった。あの曲だけは別格だ。文字通りフォーエヴァー。

れっみ てきゅ~だ~ん くっざいむごいんとぅ すとべりふぃ~る
なすぃんぎっとぅ~ あんなっすぃんとぅげっほんばば~う
すとべり ふぃ~ゆす ふぉれば

・・・前後不覚になってきた・・・やっぱ買おうかな
けっこうあまぞんがお得ねえ



人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする