先日にがんの末期段階にあることを発表した元ザ・バンドのドラマー/ヴォーカリスト、リヴォン・ヘルムが、4月19日にNYの病院で死去した。享年71歳。彼は家族や友人、バンド仲間に見守られながら息を引きとったという。
(TOWERRECORDS ONLINEニュースから引用)
ということを契機にリヴォンのいたTHE BANDにまつわる思い出などを書いてみる。
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ザ・バンドの存在は、ボブ・ディランのバックを一時期やっていたバンドとして初めて認識した。
ディランのアルバムでは『偉大なる復活』と『プラネットウェイヴス』などで彼らの音が聴ける。
小遣いの乏しかった当時はレコードは特別出費であり
限られたレコードを親の承諾の元に買ってもらう身分だったので
ワタシの音楽の情報源はほとんど友人から借りるレコードでありまして
このディランからザ・バンドの音を知りザ・バンドのレコードに手を出す
というプロセスは、すべて友人がやってくれた。
おかげで映画『ラスト・ワルツ』の日本公開時に間に合うことが出来た。
『ラスト・ワルツ』の公開は78年ということだから多分中学3年生だったワタシと友人は
これまた友人に買って来てもらった(と思う)前売券を握りしめて
有楽町の映画館に出かけて行った。
これが上映館がどこだったのかまるで思い出せないのだが
有楽座でもみゆき座でもなかったと思うのだ・・
映画初日にはザ・バンドの(よくも悪くも)フロントマンだったロビー・ロバートソンのサイン色紙が先着何名だかにプレゼントされるという情報もあり、我々は早い時刻に出かけて行ったのだ。が。
映画館の発券窓口にはすでに長蛇の列が。。
どうすべきか迷った末、我々は当時の慣行に従い、
窓口ではなく劇場入り口に並んだのだ。
当時は映画館は指定席などはなく、人気作はこうして並んだものだが
前売を持っていると券売をスルーして入口に並ぶものだった。
そのときは入口にはほんの少しの人数がならんでおり
これはラッキーと思ったのだが・・・
しばらくすると客のひとりである兄ちゃんがおもむろに我々によって来て
「なんでここで並んでるんだよ、みんなあっちにならんでるだろう」
と。
「ま・前売を持っているので普通ここに並びますよね?」
と我々。
「大学生もいっぱい並んでるんだ。殴られるぞ」
暴力にはかなわない虚弱平和主義者なので
我々はすごすごと長蛇の列の後ろに並びなおすことになったのだ。
やれやれ(とピーナツの影響で当時から「やれやれ」とよく言っていたのだがw)と思っているところに、
「本日の特典ロビーのサインは中止となりました」とのアナウンスが
伝言ゲームのように伝わって来た。
もちろん中止の経緯などわかろうはずもない。
暴動が起きるかとおもいきやそんなこともなかった。
78年。
そして長蛇の列にもかかわらず我々は無事1回目の上映に席を確保できた。
場内は大盛り上がりで、冒頭画面にLevon Helmなどとクレジットが出るたびに
おおきな拍手が沸いた。
映画館で拍手が沸くのはそれいらい数えるほどしか体験していない。
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そんなわけで思い入れのある映画ラスト・ワルツのサントラを中心に
ザ・バンドのアルバムをやはり友人に借りて愛聴していたので、
社会人になりて小金とノスタルジアが芽生えてくると
早速ラストワルツを筆頭に、ザ・バンドのアルバムを揃えた。
時間がたって再び聴き込んで見るとそれはなかなかの傑作であることが
しみじみとわかりなつかしいのだが
同時期にザ・バンドの評伝が2冊相次いで出版され、
彼らがショウビジネスのダーティな世界を泳いでいることも知り、
同時にロビーとリヴォンの確執も知ることになったわけで。
そのころ、ロビー抜きでザ・バンドは再結成されたり
旧アルバムもリマスターされたり
評伝はでるわラストワルツがDVD化されたり
ラストワルツのアウトテイクを含むリイシューCDが出たりと
妙にザ・バンド周辺は動きのあるころだった。
きっと我々の世代(よりちょっと上?)あたりが
業界で力を持って来たからなのだろう(?)
そんな折、ラストワルツのCD発売を記念して
ロビー・ロバートソンが来日し握手会をやるというので
参加券を入手していそいそと出かけて行った。
タワレコ渋谷店のイベントスペースには
はたしてまた長蛇の列が(笑)
整理番号順に入場した場内もぎゅうぎゅうで、
おおお、またザ・バンドの世が来たのかを天を仰ぐありさま。
ロビーはピーター・バラカン氏と対談する形で登場。
ラストワルツでのヤサオトコぶりの面影を残しつつも
体型はほぼ見た目横に倍という感じで
時代を感じずにはおれんでした。
がっしりロビーと握手して帰ったわけですが
アレだけの人数と握手するのはうんざりだろうと内心思ったりもする。
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リヴォンのほうはザ・バンド解散後も
RCOオールスターズなど精力的なソロ活動を展開していたのだけれど
ワタシはそちらのほうにはいっさい手を出さずに来てしまった。
なにか散漫なザ・バンドという印象を持ったし
ハイライトは結局ライブでやるザ・バンドの曲だったりするので。
きっと今聴けば評価は大分違うモノになるだろうと思うので
あらためて聴いてみようかとも思う。
再結成ザ・バンドのほうも聴いてはみたけれど
やはり今ひとつ踏み込めずだったし。
ロビーのソングライティングの重要性を感じずにはおれなかった。
ロビーだけが曲作りに貢献したのではないというのはそのとおりだと思うが、
彼の貢献もまた大きいものでもあったのだ。
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リチャードはソロライブCDが後に出てこれは聴いた。
リックもソロで何枚か出しているがこれはノーチェック。
ガーズも同様。
ロビーのソロは聴いている。最近出たアルバムは良い出来だと思う。
5人のうち3人が鬼籍になった。
最後にリヴォンの勇姿を二つ。
映画『ラスト・ワルツ』から
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これは最近のものだけどゴキゲンなサウンドだ!
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ザ・バンドは最低これを聴け!的リスト↓
st/STさん補足をお待ち申し上げますよw