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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

早いもので7月の最後の日を迎えました。

7月27日付けブログ 成就した恋よりも失恋の思い出が後を引くのは?(1) に続く第2回目です。

今回は、その心理学での裏付けです。

成就した恋よりも失恋の思い出が後を引く理由は、ロシアの心理学者B. ゼイガルニク(Bluma Zeigarnik 1901年 - 1988年) が明らかにした心理学的効果の応用で、「ゼイガルニク効果」と言われるものです。
「ツァイガルニク効果」とか「ザイガーニック効果と表記されることもあります。

ものごとが完結してしまうよりも、途中のいいところで分断されたほうがより持続的な効果を発揮するという心理学的な理論です。

このことのたとえとして、惜しくも終わってしまった恋の方がうまく行った恋よりも心理的な持続的な思いとして残ることとしてお伝えしているのです。

このことについて私は、研修の際に「教えすぎにご用心」と警告しています。

だいたい教える立場の人は、私に言わせれば「教えすぎ」(オーバー・ティーチング)です。
「これでもか、これでもか」と教えるために、教わる側は腹八分目がほどほどなのに、腹十二分目になってしまって、未消化に終わるか、吐き気を催すかたちになってしまいます。

学習面では、十分わかったつもりになって、それ以上自分自身で追及することがなくなってしまいます。

日本人としてメジャーリーグへの道を開いた野茂英雄元投手は、日米のコーチの違いを強調していたことがあります。

日本のコーチは、頼みもしないのにあれこれ教えたがるのに対して、米国のコーチは、選手が求めているとき、あるいは必要を感じたときに"May I help you?"と了解を取ってから教えることを語っていました。
ここで「オーバー・コーチング」がまかり通っていたのです。

ゼイガルニク効果は、学びに関して多くの意味を与えてくれます。

「アクティブラーニング(LA)」の本(『図解 アクティブラーニングがよくわかる本』小林昭文監修、講談社)を読んでいたら、「講義内容は、あえて解説不足に」と書いてありました。
こうすることによって、「次の演習の時間に子どもの主体的な活動が増える」からだ、と書いてありました(P.23)。

図解 アクティブラーニング
がよくわかる本 (健康ライブラリー)
小林 昭文
講談社

このことは、私たちの体験でも言えることです。

一度でうまくできてしまうとあっさりと忘れてしまうことが多いものです。

痛い失敗の方が後々まで覚えていませんか?

アドラー心理学では「体験こそ最大の教師」のように捉えていることが明らかですが、私たちは、うまくできてしまったことよりも、過去を振り返って「強烈な失敗だった」と感じられてしまう体験があったとしても、このことから貴重な学びがあるのです。

ゼイガルニク効果は、「子どもを教える最善の方法は、経験から学ばせることです」とアドラーが語ったこと(『子どもの教育』P.106)を補完してくれる理論でもありますね。

子どもの教育―
アドラー・セレクション
Alfred Adler,岸見 一郎
アルテ

ちなみに、この本のことをペルグリーノ博士は「教育に生かすアドラー心理学」ワークショップでも強く勧めていました。

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