おはようございます。新宿区神楽坂で研修&カウンセリングの事業を営む ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(5月17日)も金沢で新任課長補佐研修を行い、小松空港からJALの最終便で帰り、22:35ほどに家に帰りました。
疲れたけれど、ホッとする我が家です。
今日は、前橋に行って日本学校教育相談学会群馬県支部で2時間半の講演・研修を行ってきます。
さて、「男と女の心理学」のシリーズの第8回目です。
とりわけ 7回目 は、今回の流れを知るために必読です。
1回目から7回目をご覧になりたい方は下記をクリックしてお読みください。
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
6回目
7回目
2011年6月23日ヒューマン・ギルドの「勇気の伝道」コラム 第16号
岩井俊憲の「愛と結婚についてのケース・スタディ」(15)
―「理解しない夫、失望する妻」(2)
再び拙著『こころの壁を乗り越える生き方の知恵』(ビジネス社)のあと1年余で定年退職になる稔(58歳)と妻の淳子の話の続きです。
前回のおさらいをすると、「あら、梅がきれい。あなた、見てごらん」と言ったのに対して、「くだらんことを言うな。梅と日本経済とどういう関係があるんだ!」と返すほどの、日本経済のことにしか関心が向かず、お茶を入れても感謝の言葉がない夫に、妻は愛想が尽きそうでした。
引用は、次のとおりです。
場面は変わってその夜。会話のない二人きりの夕食が終わって、稔が経済誌に目を通していると、淳子から声がかかった。
「あなたったらいつも新聞と本ばかり。私の存在に関心がないみたいだわ。あなた、今日はじっくり聞いていただきたいことがあるの」
「早苗のことか?」
「早苗はもういいの。私たちのことよ。早苗も片づいたことだし、これをキッカケに私も決断したいの」
「決断ておまえ、働きに出るとか、株でも始めるということか?」
淳子は居住まいを正した。決断の言葉が堰を切ったように出た。
「早苗も片づいたことだし、あなたの定年も近いし、私、今後は自分の人生を自分で生きてみたいの。つまり、あなたと離婚したいの。これから何十年も今日みたいな日が続くと考えただけでうんざりだわ。梅の情緒がわからない人と暮らすのはもうこりごり。離婚届はここに用意してあります」
稔は言葉を失った。しばらくして出てきたのは、独り言に近い言葉だけだった。
「まったく・・・・・」
藪から棒に離婚届を出す淳子の気持ちをあなたは理解できますか?
逆の立場で、稔はどう思うでしょうか?
(離婚をしないとして)一人娘を嫁に出したこんな夫婦の今後をどう予測しますか?
そもそもあなたは、(夫・妻、あるいは自分自身の)退職後の人生をどのように設計していますか?
2011年6月30日ヒューマン・ギルドの「勇気の伝道」コラム 第17号
岩井俊憲の「愛と結婚についてのケース・スタディ」(16)
―「理解しない夫、失望する妻」(2)についてのコメント
前回は、典型的な会社人間の夫と専業主婦の妻の話の続きでした。
2人の間には会話が乏しく、妻の淳子からすると、夫は自分よりも経済問題の方に関心があるかのように思えてなりません。
そこで、将来の結婚生活に夢も希望も持てない妻から娘の結婚を契機に離婚を言い出したのです。
カウンセリングをしていると、このようなタイプの夫婦に出会うことがよくあります。夫の定年退職を待ちわびる妻もいれば、子どもの結婚をキッカケに離婚しようと考えている妻もいます。
熟年夫婦の離婚は、多くは妻側からの申し出によるものです。
こういう夫婦は、突然離婚に至るのでなく、長い間の積み重ねが原因となっています。
藪から棒に離婚届を出したように思われる淳子の気持ちは、思案に思案を重ねた上での対応です。そのことを理解できない夫は、デリカシーに欠けています。
アドラーは、「円満な結婚は、自分よりも配偶者に関心を持つこと」だと言っていますが、自分本位でしか生きられない夫/妻は、結婚生活を維持するための資質を持ち合わせていません。
ついでに申し上げれば、私は結婚生活中も同じ配偶者と何度も結婚をし直す決意と儀式が必要だと思っています。
俗に言う「釣った魚にえさをやらない」のは、根本的に結婚を続ける能力と意欲がないとしか思えません。
ここまで書くと、私が妻の側に肩入れしているかのように思えるかもしれませんが、そうではありません。
妻の淳子は、おそらく30年に及ぶと思われる結婚生活に関してあまりにも受動的でありすぎたと思います。
夫の稔が急に自分に関心がなくなったのではなく、関心を持たなくてもどうでもいいような関係になっていたのでしょう。
ですから、この2人が離婚するとしたら、責任は双方にあると考えられます。
結婚は、夫婦の共同の課題です。
自分の課題も果たしながらも、夫婦の共同の課題に対しても回答を出さなければなりません。
このことは、仕事をしていても定年退職後も変わりがありません。
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