アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日(4月29日)のメイン・イベントは、ヒューマン・ギルドで11:00-13:00に行った

の心理学

でした。

定員を上回る26人(男性12名、女性14名)の受講者が参加しました。

展開は、次のとおりでした。

進め方  6つのケース・スタディをもとに グループ・リーダーの朗読→男性の発言→女性の発言→混成の発言→グループからの発表→岩井のコメント・ミニ講義

狙い    男女の違いを明らかにする
             ↓     
          協力的な人間関係の構築

◎人は、1人ひとり違う。男と女も違う。「ユニークさ」を尊重しよう。補完し合おう。そして、幸せなカップルになろう。


ケース・スタディの一例を以下に示します。

デートのスケジュール

今日は、拓郎と真理の3週間ぶりのデートの日。2人は、鎌倉に行くことになりました。
都内に住む拓郎は、朝早く茨城からやって来る真理のためにYahooで路線や時刻表を調べ、東京発の横須賀線を基点に細やかなスケジュールを立てました。
最初の行き先は、北鎌倉で降りて円覚寺、それからあじさい寺で有名な明月院。建長寺を経て鶴岡八幡宮、そして、鎌倉駅の近くで昼食、そこから江ノ島電鉄で長谷寺(長谷観音で有名)。海を眺めるプランも盛り込まれていました。
ところが、建長寺から鶴岡八幡宮に向かう途中で見つけた閻魔大王で有名な円応寺に真理が入りたいと言い出し、そこでは、意外に時間を費やしてしまいました。すでにお昼ごろになっていました。
円応寺を出ると、真理は「疲れちゃった。お昼にしよう」と駄々をこねました。鶴岡八幡宮は、すぐ左前方です。
昼食は、計画したレストランではなく予定外の場所になり、このままでは午後のスケジュールが台無しになると思った拓郎は、不機嫌に「鶴岡八幡宮はやめだ!」と言い、そのことで食事は気まずい雰囲気になってしまいました。
さて、あなたは、きっちりスケジュールを立て、そのとおりに行かないことを案じる拓郎のことをどう思いますか? また、拓郎がせっかくスケジュールを立てたのに、それを尊重しない真理のことをどう思いますか? そもそも、デートに関して細やかなスケジュールは、いかがなものでしょうか?

〔男の考え〕

〔女の考え〕

〔あなたの学び〕


ブログをお読みの方は、是非、このケース・スタディをカップルで話し合ってみてください。

ゼミナールでは、男女の違いだけでなく、個人差が出て面白かったです。


この講座を担当しての私の感触は、最低3時間、時間が許せば、6時間の講座ができることがわかりました。

新たなセミナーとして開発・展開してみたいと思います。


夜は、カミさんと中野で落ち合い、靴を2足買い、浪速ひとくち餃子 チャオチャオ 中野サンモール店 で餃子を中心とした料理を食べました。


(3種類の餃子)


(アボカドのてんぷら)

この店は「当たり」でした。

ところで、5月1日、2日で開催の「アドラー心理学リーダー共育塾」

あと数名の枠があります。1日のみの参加も可能です。

ゴールデン・ウィーク中の学びとしてご参加ください。


<お目休めコーナー> Mさんがお庭で摘んでご持参の利休梅



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日(4月28日)の讀賣新聞の「経済欄」に

日本人の幸福感6・5点 (10点満点)

と出ていました。

一部コピーしてみると、以下のとおりです。

日本人が日々の生活でどれぐらい幸せを感じているかを点数で表してもらったところ、10点満点中、平均は6・5点だったと内閣府が27日発表した。

2009年度の国民生活選好度調査で示されたもので、欧州を中心とする28か国で実施された同様の調査では最高だったデンマークの8・4点には遠く及ばず、英国7・4点、ドイツ7・2点、フランス7・1点と主要国に劣る結果となった。平均も6・9点と日本を上回り、内閣府は「欧州に比べ、日本の幸福感が低い」と分析している。

詳しくは、こちらを

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100428-OYT1T00083.htm


最近「GNP(国民総生産)からGNH(国民総幸福、Gross National Happiness)へ」というようなことが言われています。

日本は、ここ20年、GNPの伸びがほとんどない国です。

GNPの伸びがないならば、せめてGNHが伸びなくてはね。


ところで、GNHに関心を持つならば、次の本がお勧めです。

GNHへーポスト資本主義の生き方とニッポンー GNHへーポスト資本主義の生き方とニッポンー
天外伺朗
ビジネス社

◎後日、幸福感を巡るあるエピソードのことを書きます。


<お目休めコーナー> ご近所のはなみずき



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

4月下旬の身辺雑記として3つのことを書きます。

1.4/29開催の「男と女の心理学」満員御礼!

すでに数回このブログでもご紹介の4月29日(木、祝)11:00―13:00に行うアドラー心理学ゼミナールの「男と女の心理学」は、男性の申し込みも10名を超え、24名定員のところ昨日現在で25名に達しました。

お申し込み、ご紹介に感謝申し上げます。

せっかくお越しいただけるし、私としても万全の資料で臨むので、机を撤去し、椅子だけの席で行います。

知り合いの方は、別のグループにし、男女の配分もグループあたり均等にしますので、面白い展開になると思います。

参加する方々(特にカップル)が確実に「得をする」講座になります。


2.致知出版社の取材

月刊「致知」を発行する致知出版社の編集部の係長、江口元浩さんが4月26日(月)の1時半から2時半まで来社。私のインタビューをして帰りました。

私の著書『心を雨の日の過ごし方』(PHP研究所)をしっかり読みこなしてくれていました。

心の雨の日の過ごし方
岩井 俊憲
PHP研究所

このアイテムの詳細を見

いつ、どんなかたちで掲載されるかは未確定。


3.中国語の学び

『勇気づけの心理学』の中国での翻訳・出版が正式に決まったことに伴い、この4月からNHKラジオの講座で、中野国際交流協会で中国語のお勉強を続けています。

勇気づけの心理学
岩井 俊憲
金子書房

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火曜日夜の2時間の講座では、一番前の席に陣取り、先生の口元をしっかり見ながら発音に気をつけています。

若い頃の英語のように簡単に記憶できませんが、年齢にふさわしい学び方を心がけています。

いくつになっても学ぶことは楽しい。


<お目休めコーナー> 赤坂にて







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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日は、更新をお休みさせていただきました。


さて、久しぶりに「ウェルカム・エイジング」のカテゴリーの記事を書きます。


60歳を過ぎると、映画館のチケット代が1,000円になります。これは、メリット。

理髪店でもこんなことが。

私は、理髪店が嫌いです。

鏡の前でじっとしているのは、耐え難い時間です。ましてや、理容師に語りかけられると、趣味の合う話ならともかく、面倒くさくてたまりません。

そこで、私は、2カ月に一度しか理髪店に行きません。行くとしても、30分でカット、シェーブ、洗髪を済ませる理髪店を選んで行きます。

そこで、私の注文は、だいたいこれだけ。

「2カ月前に戻してください。首筋のところは、白髪が目立つので、バリカンを入れてください。もみ上げは、あまり上げないように」

こう言ってから、眠るわけではありませんが、目を閉じてしまいます。

近眼の目で、眼鏡をはずして、鏡に映る自分の顔を見続けるのは、不快な時間帯です。

終わりごろになって声をかけられます。

「リキッドは何にしますか?」

「結構です」と答える私。

100円ほど値段が上るのです。


先日、お金を払う段になって、こんなことがありました。

「シルバーですか?」

と理容師が尋ねるものですから、映画の料金を連想した私は、答えました。

「そうです」

「1,650円です」

今までは、シルバーと尋ねられることもなく、同じ店で1,860円でした。

2,000円を出して、350円のお釣りをもらってから尋ねました。

「シルバーって何歳からですか?」

理容師は、ぶっきらぼうに答えました。

「65歳からです」


得したと思うより、年齢からすると、こんなにふさふさした、白髪も少ない頭髪の私が65歳以上に思われたことがショック!


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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日は、ブログでもお伝えのとおり、午前中、府中のにじのいろ保育園で保護者対象の講演をこなし、駅構内でサンドイッチを食べ、午後からのアドラー心理学ベーシック・コースに間に合うように帰りました。

アドラー心理学ベーシック・コース。今回もまた、16人(女性9人、男性7人)の素晴らしい人たちに恵まれ、盛り上がりました。

盛り上がりついでに、私を含めた9人(受講生の半数が参加)で竹ちゃんで懇親会。これまた盛り上がり。

私を除く男性の4人は、二次会に行ったようでした。


さて、我が家に帰ると必ず、カミさんから受けるのが「泥酔度チェック」

5段階評価で、おそらく吐くような飲み方が泥酔度の5。ここ10年以上ありません。

昨晩は、泥酔度3の判定。

このレベルだと、会話は可能。まあまあよし、とされます。

この泥酔度チェック、自己規制にもなります。

昨晩は、ビールはそこそこにして焼酎をホッピーで薄めて飲んでいました。

ちなみに私、酒好きと思われているようですが、家ではほとんどお酒を飲みません。

お酒を媒介としたコミュニケーション好き人間です。


<お目休めコーナー> お隣さんからいただいた水仙



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

私にとって4月は、1年中で一番暇な月です。

私は、企業研修もする講師ですが、新入社員教育を行わない講師なので、企業を対象とした研修は、ほとんどありませんでした。

お陰さまで4月29日のアドラー心理学ゼミナールの「男と女の心理学」の準備がしっかりとできつつありますし、カウンセリングもいつもの月よりもこなせました。


今日からは、研修が目白押しです。

今日の午前中は、府中市のにじのいろ保育園で保護者を対象とした

「勇気づけの心理学―ほめることと、勇気づけることの違い」

の講演。

飛んで帰って、ヒューマン・ギルドでアドラー心理学ベーシック・コースの前半2日間。

来週は、前半に企業研修の打ち合わせのため2社ほど訪問。

月曜に午後には、この秋から始める「研修講師養成講座」の打ち合わせ。

そして、ゴールデン・ウィーク突入と共に、

ゼミナール(4/29) → アドラー心理学リーダー共育塾(5/1,2) → カウンセリング&セラピーの理論と実践(5/3,4)

と続きます。

ありがたいことにこれぞれの講座に多数お申し込みいただいております。

最近は、あまり使わない言葉ですが、


頑張るぞ!!


<お目休めコーナー>  武道館で ②



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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

来週に開かれる2つの講座のことです。

1.アドラー心理学ゼミナール
(4/29 11:00-13:00)

2.アドラー心理学リーダー共育塾
(5/1 13:30-18:00, 5/2 10:00-17:00)

それぞれお陰さまで定員に近づきつつあります。

私自身が講師を務めるアドラー心理学ゼミナールでは

の心理学

http://hgld.co.jp/hpgen/HPB/entries/16.html

と題して行います。

定員24名のところ現在の申込者数は、女性12名に対して男性6名の計18名です。

残数6名です。

私自身「こんなに準備して臨む講座はない」と張り切っています。


ヒューマン・ギルド設立25周年を期して行う

アドラー心理学リーダー共育塾

http://hgld.co.jp/hpgen/HPB/entries/18.html

は、定員40名のところ、申込者数が32名に達しています。

残数8名です。


ここ最近、直前に申し込まれる方が多くなっていますが、両講座ともに直前のお申し込みはお断りする可能性が生じてきましたので、お早めにお申し込みください

両講座ともにあなたの満足度をきっと高めてくれます。

アドラー心理学がまったく初めて、という方にも魅力的な講座ですよ。


<お目休めコーナー> ご近所で


 



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日は、神楽坂でランチ、懇親会を行いました。

しかも、ご一緒したのは、私を含めて9人が全員昭和22年生まれでした。

お昼は、イタリアン・レストランで女性2人と。

話題は、知人のこと、家族、健康、美容から自己修養の話まで及び、時間を忘れる面白い内容でした。

夜、大学時代の同級生7人が2年ぶり集い、懇親会を行いました。

この回は、大学の同じ学部の出身者が「総合経営研究会」なるものを組織し、月に1回、経営・会計関連の勉強会を行っていたのがスタートでした。
私は、みんなの結婚披露宴に参加しています。

ところが、ここでの話題。

最初は、年金の話。続いて仕事(定年など)、健康、他の仲間の話など。

私は、みんなに合わせながら、ついつい日本酒が進んでしまいました。


同じ昭和22年でも女と男では、話題がかなり違うものです。


◎男と女の違いについて4月29日(木、祝)11:00-13:00に「アドラー心理学ゼミナール」

の心理学

と題して行います。

場所:ヒューマン・ギルド 研修室

受講料:2,100円(資料・税込み)

http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20100413 参照

面白いですよ。


<お目休めコーナー> 神楽坂で



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

角田光代の小説『ドラママチ』(文春文庫)の嫁姑問題をテーマにした『ワカレマチ』を素材にしながら、角田光代の表現力の巧みさを探ってみる第2回目です。

言わば、角田光代の『ワカレマチ』における表現力の研究です。

特に引用部分の下線にご注目ください。

二世帯住宅の2階に夫の祐市と2人で暮らす主人公の雅子が、甲高い声で話し、口うるさい姑の長塚寿満子に抱いている思いは、死んでくれないか、です。

2階の合鍵を渡しながら留守宅に立ち入らないことを取り決めていたのに、寿満子は、雅子がスーパーの買い物から帰ると、部屋にいます。雅子に「なんですか、お探しものですか」と問われて、「それがね、思い出せないのよ、何を取りにきたんだったか」と答えます。

それでいながら「あなた、アルバイトと変わらないんだからお仕事やめちゃえば? 子どもができたらどうするの? 今みたいな生活は無理でしょう」と嫌味を言います。

玄関から出て行くと、「ものすごい物音が聞こえたから」と、夜の9時過ぎに帰った夫と食事をしているところにやって来ます。

昼の時も夜も寝間着姿だった寿満子を見送った夫婦は、話題を夏休みのことに映し、続いて次の表現が出てきます。

食事を終え、私と祐市はソファに並んで腰掛け、テレビを見る。どうでもいいようなバラエティ番組を、奇妙なくらい夢中になって見、同じところで声をあげて笑う。

どちらが努力しているのかわかりませんが、協力的な関係が伝わってきます。

ところで、祐市には、別居する姉(既婚)と妹(独身)がいます。彼女たちは、母親から意地悪言われながら育てられた、と言い、母親の面倒を見ようとしません。

2階に寝間着姿のままいた日以来、寿満子の奇行は急速に増えます。雅子を泥棒扱いし、雅子の身につけていたネックレスを返せと騒ぐこともあり、総合病院の脳外科と心療内科で受診の結果、アルツハイマー病だと診断されます。

子どもたちにできるだけ関わりたくない、と思わせていた寿満子に対する雅子の感情は、次第に変化していきます。

病院に付き添った帰り、タクシーに乗ると、寿満子は吉祥寺を示し、いぶかしく思った雅子にこう言います。

「寄りたいところがあるの」寿満子はそれだけ答え、さらなる質問を避けるかのように目を閉じてしまう。車内は、あっというまに湿布くさいにおいに満ちる

雅子が心理的に近づこうとするのに、寿満子が拒否的な態度を示していることがよく理解できます。

雅子は、タクシーの車内に座る寿満子をちらちらと盗み見るのですが、かたく目をつぶったままで、吉祥寺駅近くの「寄りたいところ」の古めかしい喫茶店まで向かいます。

店の奥の、水に沈んでいるような、空に浮かんでいるような女の人2人がゆうゆうと描かれている絵の下に向き合いように腰掛けた2人。

寿満子は「たまごのサンドイッチとソーダフロート」、雅子はコーヒーを注文し、大きな絵は東郷青児の作品だと小馬鹿にしたように言う寿満子の言葉に、雅子は振り返って絵を見ます。

絵から顔を逸らし、正面を向き私ははっとする。目の前の寿満子が、今まで見たことないような柔和な表情で絵に見入っていたからである。この絵がお好きなんですかと訊こうとして、けれど私は言葉を舌に乗せることができず、おだやかな笑みを口に浮かべる目の前の女性に見とれた。それはなんだか、長塚寿満子という人ではなく、私がずっと抱いていた、母というものの総称に見えた

雅子は、母を知らずに成長した人だったのです。

寿満子に対して実の母とは違った「母なるもの」を感じ始め、それでいてもう1つ言うに言われぬ心理が働いています。雅子はこの段階で、寿満子のことを受け入れるようになっています。

外出先で帰り道がわからなくなってしまったほどにアルツハイマー病が進行した寿満子は、みずから介護マンションに入居したいともらすようになります。

2人の娘が来ないまま寿満子を介護マンションに入居させた夫婦は、帰り道、例の喫茶店に寄ります。

注文したのは、雅子がソーダフロート、祐市がたまごサンドイッチとコーヒー。

祐市は、子どものころ母に連れられて姉・妹とも一緒にこの喫茶店によく来ていたのです。

雅子は祐市のたまごサンドイッチを分けてもらいながら祐市の子どものころの思い出話を聞きます。

私はうなずきながら、サンドイッチを口に入れた。マヨネーズとバターがたっぷりの、やわらかい味が口じゅうに広がったとき、さっき思い描いた家族の光景が、ぐにゃりと歪み変化する。そのことに私自身が驚き大きく目を見開く。

ここで雅子は、「母なるもの」を心身ともに受け入れ、まるで子どものころ寿満子の娘であったかのような幻想にとらわれます。

そして、今まで夫婦のどちらも口に言い出したことのないせりふを口にするのです。

アイスクリームを一口なめて、赤いソファで座りなおし、ふりかえって壁の絵画を見ている祐市に、私はそっと言った

ねえ、子どもを作ろうか。


この短編『ワカレマチ』は、ここで終わります。

「死んでくれないか」とまで思った寿満子の病(アルツハイマー病)の進行と直面し、寿満子に共感することで、自らの中に「母なるもの」が芽生え、子どもを産みたい気持ちになったのです。

2度目の喫茶店でソーダフロートを注文し、たまごサンドイッチを分けてもらって食べたことで、雅子は、より確かな家族の絆を形成したのです。

女性の心理の移り変わりを角田光代の独特の表現力をもとにご理解いただければ幸いです。

短編が8つからなる小説だけに手軽に読めます。
お勧めです。


<お目休めコーナー> ご近所の借景①

 



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

アドラー心理学 シンプルな幸福論 (ベスト新書)
岸見 一郎
ベストセラーズ

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KKベストセラーズから前作の『アドラー心理学入門』に続き岸見一郎さんの新作が出ていることを知って、早速購入し、一気に読みました。

『アドラー心理学  シンプルな幸福論』(743円+税)


岸見さんは、私にとって昔の知人ではありますが、長らくお目にかかっていません。

彼は、2006年の春、突然、心筋梗塞で生死の境をさまよい、最近ではアルツハイマーのお父様を介護して1年半に及んでいるようです。そのことで前作から比べると、内容に格段の深みが加わったようです。

とりわけ岸見さんの深みは、この本の第4章「老い、病気、死との向き合い方」、第5章「毎日の中にある、幸福になるための発見」で顕著です。

たとえば、病気から回復することに関してこんなことを書いています。

「完治したとしても、ただ元に戻るのではなく、病気になることで、それ以前には気づいていなかったことを知ること、人が病気になることは避けられないことを知るということ、そのことによって、病後は、それ以前とは違ったふうに人生が見えてくることが回復することの意味だと思うのです」

このことは、私が『心の雨の日の過ごし方』(PHP研究所)で書いた「老いは成長のプロセス」の考えと同じで、病後の回復もまた、以前の状態に戻ることでなく成長のプロセスだ、とも受け止めることができるのです。

また、岸見さんは、ギリシア哲学者らしくアリストテレスの「キーネーシス(動)」と「エネルゲイア(現実活動体)」を対比しています。

ちなみに、「キーネーシス(動)」というのは、目的地に至る行動のような始点と終点のある動き、「エネルゲイア(現実活動体)」というのは、たとえばダンス。今「なしつつある」ことが「なしてしまった」ことであるような、目的に向かわない動きです。

このことから岸見さんは、次のような病気観を説いています。

「病気になると明日は、今日の延長でなくなります。当然くると思っていた未来がなくなってしまうのです」

そして、この「エネルゲイア(現実活動体)」としての生き方を第5章の「毎日の中にある、幸福になるための発見」でもかたちを変えて繰り返します。

「明日を今日の延長にしないで生きるためには気迫がいりますが、そのような生き方こそ、先に見たエネルゲイアとしての生き方であるといえます」

そう、私は適切な言葉が浮かばないでいましたが、「生きるための気迫」がみなぎっているのが、死の恐怖と戦った病後の、さらには、父君およびご自身の老いとも直面する岸見さんの姿そのものです。

アドラー心理学のことを書かないでいましたが、前半の第1章「アドラー心理学を理解するための基礎知識」、第2章「幸福になるための自分との向き合い方」、第3章「幸福になるための他の人との向き合い方」も、より深みを増した内容になっています。

少し遅れたタイミングで『アドラー 人生を生き抜く心理学』(NHKブックス、1,000円+税)も発売されます。

また、岸見さんは、4月28日の朝日新聞の夕刊でインタビュー記事が出るようでもあります。

(注)①岸見さんの本は、ヒューマン・ギルドで取り扱っています。ご注文ください。
   ②ヒューマン・ギルドの5月度のニュースレターにもほぼ同じ内容で掲載します。


<お目休めコーナー> ご近所の公園で




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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

4月19日の朝日新聞(朝刊)によれば、鳩山内閣の支持率は、とうとう25%になってしまったようです。

昨年12月23日のブログ「“Please trust me.”が招いた異例な事態」で政治ネタを書きましたが、今回は、より深刻になったその顛末(てんまつ)の記事を書きます。

讀賣新聞の4月18日の第1面に「きちんと実現できるのか」(Can you follow through?)という、オバマ大米統領の疑念が掲載されていました。

ワシントンで12日夜(日本時間13日午前)に行われた鳩山首相とオバマ米大統領との非公式会談(注:パーティの前の10分間だけ)で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題をめぐって首相が「5月末決着」への協力を大統領に求めたのに対し、大統領が「きちんと最後まで実現できるのか」と強い疑念を示していたようです。

ところで、12日夜の非公式会談に関しては、ワシントンポスト紙が鳩山首相のことを「哀れでますますいかれた鳩山首相」と酷評していたことも讀賣新聞が違う日に報道しています。

詳しくは、次の記事と動画もご覧ください。

フジニュースネットワーク 4/19
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00175540.html


鳩山首相のオバマ大統領への“Trust me.”という信頼を求める発言に対して、大統領からは“Can you follow through?”という、不信感が表明されたのが4月18日の讀賣新聞の伝える内容です。


3月29日付け「伊藤洋一のYcaster2.0」には、「永田町の謎の鳥」という題のメールが回ってきた、として次の文章がコピーされていました。

中国から見れば「カモ」に見える。
米国から見れば「チキン」に見える。
欧州から見れば「アホウドリ」に見える。
日本の有権者には「サギ」だと思われている。
オザワから見れば「オウム」のような存在。
でも鳥自身は「ハト」だと言い張っている。
それでいて、約束したら「ウソ」に見え、
身体検査をしたら「カラス」のように真っ黒、
釈明会見では「キュウカンチョウ」になるが、
実際は鵜飼いの「ウ」、
私はあの鳥は日本の「ガン」だと思う。


<お目休めコーナー> りんごの木と花



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

土曜日(4月17日)に読み終えたもう1冊の本は、角田光代の小説『ドラママチ』(文春文庫)でした。

ドラママチ (文春文庫)
角田 光代
文藝春秋

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角田光代の小説については、2009年01月04日のブログの「『森に眠る魚』を読む」 で紹介しましたが、8つの短編小説からなる『ドラママチ』の多くは、日常性の中で非日常性を待ち望む、平凡な女性たちを主役とする物語です。

4月29日の「アドラー心理学ゼミナール」「男と女の心理学」をテーマにするなら是非この本を、とカミさんから勧められ読みました。

舞台は、東京の中央線沿線(中野から吉祥寺まで)で、脇役として登場する男性は、極めて善意に満ちた人たちです。

それでいながら角田光代の心理描写の巧みさにかかると、それぞれの個性が際立ってくるから不思議です。

8つの短編は、次のとおりです。

『コドモマチ』
『ヤルキマチ』
『ワタシマチ』
『ツウカマチ』
『ゴールマチ』
『ドラママチ』
『ワカレマチ』
『ショウカマチ』

次回は、嫁姑問題をテーマにした『ワカレマチ』を素材にしながら、角田光代の表現力の巧みさを探ってみましょう。

彼女の非凡さがわかります。


◎ご連絡とお願い

4月13日のブログ4月13日のブログ「『勇気づけのリーダーシップ心理学』とゼミナールについて」の2.アドラー心理学ゼミナールで「男と女の心理学」、で 次のとおり書きました。 

たくさんのケースを用意して、参加した人がご自分でこのネタで研修ができるよう配慮して進行します。

未婚・既婚に関わりなく男女半々でできればベストなのですが、現在の受講申し込みは女性だけ。
お誘い合わせの上、男性も申し込まれるよう期待しております。


しかし、あれから参加者は増えているのですが、今のところ内訳は圧倒的に女性です。

受講者の男女比が1:1に近ければ近いほどこの講座の満足度が高くなります。
そこで、

(1)男性のお申し込みをお願いします。

(2)お申し込みの女性は、男性連れ(夫でも、彼氏でも、よそのおじさん・お兄さんでも可)をご検討ください。

よろしくお願いします。

進め方は、

ケース提供 → 男女それぞれの立場からの発言 → コメント・ミニ講義

でやって行きます。

豊富な資料を用意しています。

日時:4月29日(木、祝)11:00-13:00

場所:ヒューマン・ギルド 研修室

受講料:2,100円(資料・税込み)


<お目休めコーナー> 池袋駅東口の公園で

(1)サトザクラ

(2)道祖神




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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日(4月17日)の午後は、武道館で行われた、ある1万人集会に参加してきました。

それはさて置き、この金曜日から日曜日にかけて猛烈に本を読みました。

そのうちの1冊が、この『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎 夏海著、ダイヤモンド社、)というタイトルがやたら長い本。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
ダイヤモンド社

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この本は、野球部の女子マネージャーを主人公とする青春小説です。

しかし、この本が並みの青春小説でないのは、主人公の川島みなみが P.F.ドラッカー(1909-2005、アメリカの経営学者、社会思想家)の『マネジメント』に出合って、その理論の応用して、親友や監督、部員の協力を受けながら、東京の公立高校を甲子園出場に導く物語になっていることです。

マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
P・F. ドラッカー,上田 惇生
ダイヤモンド社

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    ↑
引用された本

こちらが完全版
    ↓ 

マネジメント 上
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社

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マネジメント 下
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社

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私は、大学時代に経営学を専攻し、ゼミ論(「経営組織論」のゼミで、3年生、4年生の2回論文を書いた)でドラッカーのことを取り上げていたので、かなり彼の本を読み込んでいました。

その立場から見ても、著者の岩崎夏海さんは、しっかりと『マネジメント』を読みこなし、小説に生かしていることがわかりました。

はっきり言って「とても面白い」です。

経営学も、経営のことも知らなくとも、組織の運営に関わる人は、この本から示唆が得られます。

ストーリーも面白く、読み出したらやめられなくなる本です。


◎ドラッカーの理論を知りたい人は、次のURLを

『週刊 ダイヤモンド』「3分間ドラッカー」 
http://diamond.jp/category/s-drucker_3m 


<お目休めコーナー> 武道館脇の公園にて①




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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

私には、「師とする人」が実在もし、歴史上にも存在します。

実在する師は、何と言ってもジョセフ・ペルグリーノ博士。学問的にも人格的にも深い影響を受け続けています。

歴史上に存在する師は、次のビッグ・スリーです。

1.アドラー

2.ブッダ

3.吉田松陰

さて、昨日(4月16日)の午後は、歴史上の師の1人である吉田松陰の映画を有楽町のスバル座で観てきました。

『獄(ひとや)に咲く花』

吉田松陰が萩の野山獄に収監されていたとき、唯一の女囚である高須 久を通じて見た吉田松陰の、それも恋の物語です。

キャストは、

高須 久役  近衛 はな(目黒祐樹と江夏夕子の娘)

吉田松陰(寅次郎)役  前田 倫良 

監督 石原 興

原作 古川 薫(文春文庫『吉田松陰の恋』)


映画では、吉田松陰が徹底的な楽観主義者として描かれ、国外密航という大罪を犯して護送されてきた寅次郎は、牢に入ったその日から夢と希望を失っている囚人たちに話しかけ、やがては、野山獄を一種のセミナー・ハウスのようにしてしまう情景が描かれます。

原作者の別の本を読むと、事実もそのとおりであったようです。

寅次郎は、は、囚人たちにきっぱりと言います。

「われらは皆、磨けば光る原石であります。ですから何ら恥じることもありません」


ところで、ここからが肝心なところですが、寅次郎と久とは、想いを寄せ合い、寅次郎が江戸に護送されるときに、久が追いかけてきて、お守りとともに手ぬぐいに歌を書いて渡します。

手にとはぬ 雲に樗(おうち)の 咲く日かな

樗(おうち)というのは、寅次郎の2度目の収監の日に野山獄で2人で見上げた花の名前です。

やがて寅次郎は、江戸の伝馬町の獄舎で処刑されます。享年29歳でした。

処刑前に詠んだ次の歌はあまりにも有名です。

身はたとひ 武蔵野の野辺に朽ちぬとも 留めおかまし 大和魂


高須 久役の近衛 はなの好演が印象に残りました。


<お目休めコーナー> 会社の隣のマンションの花




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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

今までとは少々異質なことを書きます。経営のことです。

私は、一昨年の11月から茨城県のある中堅スーパーの、「自己変革を通じて会社変革」をスローガンとする、経営理念を全社に浸透するお手伝いをしています。


(経営理念・基本方針のカード)

中小企業診断士としての経営コンサルタントの仕事も兼ねています。

昨日(4月15日)は、そのための幹部研修を担当するために出張しました。

内容は、連続する研修の総決算としての

勇気づけのコミュニケーション

でした。

半分は、ケースごとの勇気づけの対応でした。

その会社の社長は、会社の変革に本気で取り組み、3月3日から50を超えるグループの400人以上の社員(パートを含む)と「社長グループ・ミーティング」と称した面談を行いつつあります。

私は、社長から「社長グループ・ミーティング」のための注意事項のアドバイスを求められ、次の助言をしました。

①約束事(ルール)  開催にあたって次のルールを徹底しておくのがいいかと思います。

1)誰もが1回は発言機会を(傍観者がいてはならない)。特定の人のみが発言することがないように。
2)発言内容をもとに人事上の制裁を加えることはない。
3)不満・愚痴ではなく、○○○○社の理念に基づき、会社の変革につながる率直な発言を(ただ、行きがかり上、不満・愚痴が出るのは許容する)

②構成員  経営側は、社長お1人だけでなく、取締役を1名、さらに書記役を1名同席させるのが望ましいと思います。

③事後処理  聞きっぱなしでなく、後日対象グループごとにまとめを作り、社長のお考えを加えて、参加者に配布するのが社長の本気度が伝わり、望ましいです。

社長グループミーティングは、社長の真剣さは間違いなく伝わります。ただ、社長がおっしゃたこと、約束したことが履行されないと不満の種になりますので、くれぐれもご注意願います。


社長は、私の助言どおりに実践し、各グループに1時間から1時間半の時間をかけて進め、確かな手応えを得ました。

「こんなこともやっているのだ」という、私の別の顔も紹介しました。

私の勇気づけは、個人だけでなく会社の勇気づけも行っているのです。


<お目休めコーナー> 上野駅で



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