安倍首相の初の政府予算案からは、「美しい国・日本」という未来像は全く見えてこない

2006年12月25日 14時47分35秒 | 政治
◆安倍首相が就任して初めて政府予算案が12月24日決った。7兆6000億円の税の増収が幸いして、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字も大幅に縮小し、明るさが見えた。だが、これは小泉政権を含めて、政治・行政の努力の結果でない。むしろ民間企業の血の滲むような努力と一般国民に対する「いじめ」の結果とも言える。このため、手放しでは喜べない。
◆ましてや、この予算案を見る限り、安倍首相がどのような「未来像」を描いて予算編成に取り組んできたのか、まったく不明である。「美しい国」を掲げてはいても、「現実」は、汚濁にまみれている。電車への飛び込み自殺者は跡を絶たず、線路は血まみれである。警察署霊安室は、殺人被害者の遺体が次から次へと運び込まれて、空室になる暇がない。刑務所の死刑執行室では、このところ、処刑が頻繁に行われているという噂である。法務大臣も毎夜、寝付けない日々が続いていることであろう。富士山の麓の青木ケ原は、白骨が至るところから見つかるという。
◆市町村合併で全国の商工会が統合され、その数は、半減の勢いにある。かつての繁華街の多くが、シャッター通りに変貌し、まさに「ゴーストタウン化」している。景気上昇期にあるいまこそ、「商店街の再生」、さらには、中小企業へのテコ入れをすべき時であるにもかかわらず、中小企業対策費の伸び率は、減っている。
 北海道や日本海側、四国、九州では、中小零細の建設業者や従業員、それらの家族が公共事業によって生活を維持してきたにもかかわらず、仕事が激減して、生活苦にあえいでいる。不況のときにこそ、政府が仕事を創出する義務があるのに、その責任を放棄してきた。景気が上昇しているとはいっても、企業格差や地方格差などがあり、景気状況は、まだらなのだ。
◆こう見てくると、日本列島は、決して美しくはない。だからこそ、安倍首相が「美しい国へ」という本を書き、所信表明演説でも力説したのであろう。しかし、今回の予算案からは、「美しい国」への道筋すら明らかにされていない。
これは、「現実主義者」である安倍首相の限界なのであろうか。そもそも「現実主義者」が、いかにも実現しそうな「美しい国」などと「理想」を掲げること自体、まやかしであり、国民に対する「詐術的行為」なのではなかろうか。「現実主義者」なら「現実主義者」らしく、この日本の「地獄絵図」を一刻も早く解消し「まともな世の中」にして欲しいものである。
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