◆教育基本法改正案が12月4日の参議院教育基本法特別委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決された。だが、教育基本法を改正したところで、今日の日本が抱えている教育問題が解決、解消するわけではない。根本は、「子育ての難しさ」から発しているからである。「子育ての難しさ」は、今も昔も変らない。その一つの例が、「徳川家康」である。家康公は、第2代将軍・秀忠の夫人・於江与の方に長文の手紙を送り、子育ての仕方について戒めている。世に言う「訓誡状」である。
家康公は、長男・三郎信康の「子育て」に失敗している。我がまま三昧に育てた挙句の果てに、信康が親の言うことを聞かなくなったのである。家康公は、こう書いている。
「三郎事出生の節は、年若にて子供珍しく、其の上ひがいす故、育ちさえすればよきと心得、気のつまり候事はいたさせず気侭に育て、成人の上急にいろいろ申し聞け候へ共、とかく幼少の時、行儀作法ゆるやかに捨置き候故、親を敬する事も存せず、心やすく存じて候て、あれは是故、これはあれ故と申しわけばかり致し、後には親子の争いの様になり候て、毎度申し候ても聞き入れず、却って親をうらみ、また親よりは一身の生得悪敷と存じ候様に成りゆき申し候、夫にこり申し候まま、外の子供は幼少より、我等が前にて行儀作法能々仕付候者へ申付け置き・・・」
◆わがままに育てたのが、禍して、家康公は、武田に通じた信康を妻・築山御前とともに、「妖刀・村正」によって殺さざるを得なくなっている。この反省の上に立って、家康公は、秀忠の次男・国松(後の忠長)を思い切り甘やかせて育てていた於江与の方を諌めたのである。だが、於江与の方は、家康公の親心を意に介せず、子育て方法を改めることはなかった。この結果、後に忠長は、兄・家光の命令によって自害に追い込まれている。
◆「子育て」は、古くて新しい問題であり、他人の子を大勢預かっている小中学校、ましてや高等学校の教師の手に負える問題ではない。いくら教育の場とはいえ、親が行なうべき家庭教育まで学校に持ち込むのは、誤りである。学校は、学問研鑚と基本的な訓練を行なう場であることを忘れるべきではない。中学から高校に進学する段階では、「内申書」は有害である。児童生徒を「仮面人間」にしてしまっているからである。内申書をよく書いてもらいたいがために、教師の前では、「いい子、ブリッ子」を演じている。その陰で、陰湿な「いじめ」が繰り広げられている。
◆今回の教育基本法改正の最大の問題点は、「愛国心」という言葉を書き込むのが目的だったはずなのに、これを意図的に避け、「国を愛する態度」と中途半端な言葉にすりかえた点である。「態度=ふりをする」では、「いい子、ブリッ子」を益々、増産することになる。まさに、「百年の大計」を誤りかねない愚作である。
◆余談ながら、文教族のドンである森喜朗元首相の子弟が「ボンクラ」だったのは有名であり、警察沙汰にもなったことがある。こんなことでは、日本の教育の先が思いやられるというものだ。
家康公は、長男・三郎信康の「子育て」に失敗している。我がまま三昧に育てた挙句の果てに、信康が親の言うことを聞かなくなったのである。家康公は、こう書いている。
「三郎事出生の節は、年若にて子供珍しく、其の上ひがいす故、育ちさえすればよきと心得、気のつまり候事はいたさせず気侭に育て、成人の上急にいろいろ申し聞け候へ共、とかく幼少の時、行儀作法ゆるやかに捨置き候故、親を敬する事も存せず、心やすく存じて候て、あれは是故、これはあれ故と申しわけばかり致し、後には親子の争いの様になり候て、毎度申し候ても聞き入れず、却って親をうらみ、また親よりは一身の生得悪敷と存じ候様に成りゆき申し候、夫にこり申し候まま、外の子供は幼少より、我等が前にて行儀作法能々仕付候者へ申付け置き・・・」
◆わがままに育てたのが、禍して、家康公は、武田に通じた信康を妻・築山御前とともに、「妖刀・村正」によって殺さざるを得なくなっている。この反省の上に立って、家康公は、秀忠の次男・国松(後の忠長)を思い切り甘やかせて育てていた於江与の方を諌めたのである。だが、於江与の方は、家康公の親心を意に介せず、子育て方法を改めることはなかった。この結果、後に忠長は、兄・家光の命令によって自害に追い込まれている。
◆「子育て」は、古くて新しい問題であり、他人の子を大勢預かっている小中学校、ましてや高等学校の教師の手に負える問題ではない。いくら教育の場とはいえ、親が行なうべき家庭教育まで学校に持ち込むのは、誤りである。学校は、学問研鑚と基本的な訓練を行なう場であることを忘れるべきではない。中学から高校に進学する段階では、「内申書」は有害である。児童生徒を「仮面人間」にしてしまっているからである。内申書をよく書いてもらいたいがために、教師の前では、「いい子、ブリッ子」を演じている。その陰で、陰湿な「いじめ」が繰り広げられている。
◆今回の教育基本法改正の最大の問題点は、「愛国心」という言葉を書き込むのが目的だったはずなのに、これを意図的に避け、「国を愛する態度」と中途半端な言葉にすりかえた点である。「態度=ふりをする」では、「いい子、ブリッ子」を益々、増産することになる。まさに、「百年の大計」を誤りかねない愚作である。
◆余談ながら、文教族のドンである森喜朗元首相の子弟が「ボンクラ」だったのは有名であり、警察沙汰にもなったことがある。こんなことでは、日本の教育の先が思いやられるというものだ。