イスラム系思想犯の「テロ防止」には、「思想の監視強化」と「別件逮捕」による未然予防しかない

2005年07月18日 22時40分51秒 | 政治
4人連れ…凶行の1時間半前 英同時爆破テロ実行犯の映像公開 (産経新聞) - goo ニュース

 ロンドン警視庁が16日、ロンドンの同時爆破テロ事件当日の7日朝に実行犯4人を映した監視カメラの画像を初めて公開した、と読売新聞の18日付朝刊が「1面」で報じた。「90分前の4人」というキャプションをつれられた画像には、確かにどこかにピクニックでも行くかのようにリュックサックを背負った実行犯4人の姿がはっきりと映されている。
 ロンドン警視庁によれば、4人というのは、①シェザード・タンウィア(22歳)②ハシブ・フセイン(18歳)③モハメド・サディック・カーン(30歳、パキスタン系英国人)④ジャーメイン・リンジー(19歳、ジャマイカ出身)。
 首謀者は、「英国生まれのパキスタン系で、アルカイーダと関係がある」人物とされ、すでに国外に逃亡している。また、「アジト提供者」とみられるマグディ・ナシャール(33歳、エジプト人の生化学研究者)を、カイロで逮捕しているという。
 ロンドン警視庁は実行犯4人のうち、ハシブ・フセインの死亡が確認、3人の死亡は未確認という。
 それにしても、ロンドン警視庁が、監視カメラの画像から「実行犯4人」と、首謀者、アジト提供者とまられる人物を、事件からさほど時間が経過していないにもかかわらず、それぞれ特定できたということから明らかになっているのは、「ロンドン警視庁が、イスラム系の過激な人物をすでのマークしていた」という事実である。ここの点までは、さすがに「情報の国・英国」の凄さを感じさせてくれる。
 だが、マークしていながら、実際に「テロ」に及ぶというところまでは予想していなかったということでもある。はっきり言えば、一瞬「ノーマーク状態だった」のである。治安当局としては、「怠慢」の謗りは免れない。実行犯4人が背負ったリュックサックのなかに、おそらくは、「爆弾」が入っていたに違いない。
 言うまでもなく、基本的人権尊重の立場からは、いかに危険な人物であろうとも、実際に犯行が行われなければ、ただ単に「危険思想の持主」というだけでは、「予防拘禁」することは難しい。
 そうかといって、被害者や被害が発生してしまえば、取返しがつかない。現行犯を逮捕するにしても、爆発が起きたのを確認してからでは、もう遅い。治安当局としては、極めて辛いところである。 戦前の日本には、泣く子も黙らせたほど恐れられた「特別高等警察」という機関が存在した。「政治思想犯」を取り締まる特別警察で、検察にも「思想検事」がいた。マルクスの資本論、マルンス・エンゲルスの「共産党宣言」ばかりでなく、「自由主義思想」に基づいて書かれた書物をただ「持っているだけ」で逮捕された恐怖時代があった。
 今回のロンドンで起きた同時爆破テロ事件のような「テロ」を未然に防ごうとするなら、「思想」そのものから取り締まる必要があるのだが、「自由と民主主義」を標榜する先進国である英国が、そのような基本的人権を無視する蛮行を行うことはできない。もちろん、いかに「自由と民主主義体制」であるとはいえ、その体制そのものを危機に陥れる「自由」まで許されているわけではない。そのギリギリの線のところで、治安を維持しなければならないのであるから、治安当局の苦労は、並大抵のことではない。
 となると、イスラム系の人々をこうした「テロ」に走らせない社会を築いていくしか妙手はないということになる。
 それにしても、多くの若者たちを思想的、宗教的にマインドコントロール下に置き、「自爆テロ」に踏み切らせてしまう教義や思想を吹き込む「指導者」たちの「罪」は、厳しく問わねばならない。その代表的な人物と目されているオサマ・ビン・ラディンらの指導者は、決して自ら進んで「自爆テロ」を行おうとせず、もっぱら多くの若者たちを唆し、煽り立てているばかりである。オサマ・ビン・ラディンらの指導者が、常に安全地帯にいるのが、何よりの証拠である。実に「卑怯」というか、「卑劣」極まりない。
 先進国とイスラム諸国との経済格差、イスラム社会の貧富の差などの深刻な社会問題を「テロ」を許す合理的な理由にすることを認めるわけにきいかない。これは、これとして解決の道を探るしかないのである。
 米、英、日など先進国の治安当局は、協力体制を強化して、イスラムの過激な思想の持主の割り出しと監視を怠ることなく、徹底的に追跡し、危険を察知した場合は、たとえ微罪を見つけては、「現行犯逮捕」に踏み切り、「自爆テロ」に踏み切らせないよう寸前で食い止めるための「合法的な捜査手法」を早急に確立する必要がある。こうした場合には、違法性が高くとも「別件逮捕」もやむを得ないとしなければならない。何の罪もない一般市民を守るには、これしかないのではないだろうか。


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