漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

スマホが手書き文化を復活させる? 

2018年09月17日 | 漢字の音符
 これまで私はパソコンだけ使いスマホは持っていなかった。ほとんど家で仕事(?)をしている私に、もう一台の手のひらに収まるパソコン=スマホは必要なかったからだ。しかし最近、各種の格安スマホが売り出されるようになり、外出のとき便利かなと一台買うことにした。ネットで調べて月額1000円(税別)の通信料で済むアンドロイドのスマホ(トーンモバイル)を選んだ。スマホ本体価格は3万円、一括前払いした。

 使い始めて2か月半、少しづつ慣れて使い方が分かってきた。なにしろ月1000円だから動画は見れない(見るためには追加の月額チャージが必要。なお、自宅ではパソコンのWi-Fiに接続するので動画は無制限に見れる)。しかし、普通にネットを検索するかぎり問題はない。電車の中でマップをタップしたら、自分の位置が地図の線路上をすごいスピードで動いていくのにびっくりした。電話は自宅への連絡以外に使うつもりはない。IP電話が付いているので、大阪から自宅に電話したら通じたのでこれで十分だ。
 さらにびっくりしたのは、動画が見れないからワンセグもダメだろうと思っていたら、ワンセグ視聴が可能なことだった。動画(YouTube)とワンセグはまったく別物のようだ。NHKと関西の民放テレビ5局の計7番組を見ることができる(地デジは不可)。

音声検索がきわめて便利
 さらに便利なのが「音声検索」とよばれる機能だ。マイクをかたどったこのマークをタップし画面に向かって調べたいことをしゃべると、音声を文字に変えて調べた結果を表示してくれる。つまりグーグルの検索画面に文字を打ち込む代わりに、言葉で話すようなものだ。
 この音声⇒言語変換はかなり性能がいい。比較的長い言葉でも正確に変換してくれる。ちなみに「米中貿易摩擦の現状」とか「キリンの首はなぜ長い」などとしゃべっても、ちゃんと文字になって出てくる。それもほとんど瞬時だ。また、検索の結果がまとまって出るサイトは、それを女性の声が簡潔に読み上げてくれる。
 
 私はこの音声検索を愛用している。「はんしんたいがーす」としゃべると即座に阪神タイガースの試合速報サイトに切り替わり、試合経過のスコアボードが表示される。さらに「阪神タイガースは現在1対5で中日ドラゴンズにリードされています」と女性の声で知らせてくれる。結果や経過がすぐ分かるのはいいが、最近、タイガースが負けこんでいるので、リードされているお知らせを受けるのはつらい。 同じように、「今日の大相撲」としゃべると、その時点での大相撲の結果を知らせる画面が直ちに現れる。これならパソコンで検索するより、はるかに便利である。

スマホはテンキーやキーボード画面の文字入力がむずかしい
 本日のテーマであるスマホの手書き入力に移ろう。最初、スマホを使い始めたとき、一番苦労したのは文字の入力であった(今でも苦労している)。スマホはキーボードがない。画面にキーボードと同じ配列や、テンキーといって12分割された画面に数字やひらがな等を配列した画面がでる。
 しかし、スマホだからこの画面は小さい。これらマス目に正確に指をふれるのが大変だ。また、テンキー画面は一度ふれただけで入力は完了しない。一つのマス目にいくつかの文字が割り振ってあるので、何回かタップして目指す文字を呼び出さなければならない。私はしばらく試みて辟易した。なんとスマホは文字入力しにくいのだろう!
  特に面倒なのはアルファベットの大文字と小文字を混ぜて入力するときだ。使い始めだから、いろんな画面でやたらと暗証番号の入力を求められる。何回こころみても失敗する。もう勘弁してくれ。私は何度も途中で投げ出した。
 
手書き入力ができる
 ところが、しばらく入力作業をくりかえすうちに奇妙な表示に気が付いた。文字を入力するため、入力枠をタップすると、下にキーボードやテンキーが表示されるが、その上にしばらくの間、うすい水色の2分割の枠が浮き出て、その下に「上から手書き入力できます」と表示されるのだ。
 薄い水色の手書き入力表示。
 そうか、ここをなぞれば手書き入力ができるのか。ためしに「ひらがな」を書くと、文字枠に表示される。次に漢字を書くと、これもほぼ瞬時に変換される。ただ、一つの漢字は連続して筆画を続けないといけない。途中で少し間をおくと、その時点で判断された漢字が瞬時に出てくるからだ。私はいろんな漢字を書いてみた。複雑な漢字もほとんどいける。それに筆順さえ合えばキチンと書かなくても判断してくれる。「これはなかなかイイね。使えるね」と思った。

連続してすばやく書けるわけ
 しかし、瞬時に判断して表示してくれると言っても、どうしてもしばらく間があく。もし手書きの窓が一つだったら、次の字が確定されるまでほんの少し待たなければならない。ここで私は手書き入力の窓が二つある意味が初めて分かった。最初、左の窓に書いてから、間髪を入れず右の窓に書いてゆくのである。右の窓を書いている最中に、左の窓の字が確定する。次に右窓を書き終わったら、すぐ左窓に移れる。つまり、連続して書いてゆけるわけだ。こうして流れるように文章を書くことが可能だ。
 右窓に「大」を書いたとき。
 上の写真の「大」の3画めの最後のはらいは、指をつけているので感知されず、2画で感知した「ナ」が表示されている。指をはなすと「大」になる。

 なお、パソコンで文字入力をするとき、語句を入れると変換候補が下に現れるが、スマホでも同様である。下の写真は、ひらがなで「あい」と入力したときの画面である。下にさまざまな変換候補が現れる。上の3行と下の2行は文字の大きさが違うが、どちらもその文字のマスを押せば、入力窓の「あい」は、マスの文字に変換される。


手書きでメールを返信
 ところで、スマホの練習中、私のパソコンが故障したので買い替えることになった。その間、メールをスマホで受けていた。なかには、どうしてもすぐ返事をする案件がある。しかし、まだスマホの文字入力には自信がない。そうだ、手書き入力で返事をしよう。私は思い切ってメールの返信を押し、画面をタップして手書きにした。手紙を書く要領で、二つの窓を交互に使い文章を書き進めると、意外にスムースに進む。その結果、きわめて短時間に返信の文章は完成したのである。荒っぽく書いても漢字に変換してくれるから、本物の手書きよりはるかに早い。私はメールの送信ボタンを押した。

 しかし、手書き入力にも欠点がある。先にも書いたアルファベットの入力だ。アルファベットでも大文字は問題ない。そのまま書くと認識してくれる。問題は小文字である。小文字も多くは認識するが、i や j などは、1になったりしてなかなか難しい。結局キーボード画面を出して、その狭い文字枠に慎重に指をタップすることになる。以上の欠点はあるが、通常、アルファベットの小文字を使う文章は少ない。

スマホに手書き文化を復活する力がある
 こうして私はスマホの手書き入力の威力を知ったのである。それからの私は音声入力と手書き入力を併用してスマホを使いこなしている。日本人が漢字を書けなくなったのはパソコンやワープロを使い始めて、手書きをしなくなったからだとされる。私もそう思う。漢字は手書きすることによってその筆順を体で覚えていた。ところがパソコンのキーボードは手書きを不要にした。すると頭で覚えていても書く段になって出てこないのだ。野球でも強打者は毎日、何百回と素振りをする。素振りを身体で覚えるとヒットが出る。漢字を書くのも同様だ。毎日手書きを繰り返すことにより、身体が覚えるのである。

 スマホがこんなに手書き入力がすぐれているなら、スマホで手書き入力を意識的に続けたらどうなるだろう。メールの返事などは手書きにする。書けない字はひらがなで書いて変換して置き換えながらも、できるだけ漢字を手書きする。こうした努力を続けることにより、頭と身体で覚えて漢字を使っていた昔の状態を復活できるのではないだろうか。私はスマホの最近の技術の進歩に驚くとともに、スマホに手書き文化を復活する力があるとの希望をもった。


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