80分の1丁目16番地

ペーパースクラッチによる車両作りを中心に1/80、16.5ミリゲージの鉄道模型を楽しんでいます。

富士急行モハ3100形の製作・その6

2016-10-09 15:34:27 | 私鉄電車
こんにちは。3連休中日ですが天気がパッとせず、これ幸いとばかり模型いじりに興じています。


モハ3100形の床下機器を作っています。過去帳入りしているとはいえ自分の撮影したものも含め、この車両はけっこう写真が残されているため、機器図面起しにはたいして時間はかかりませんでした。この写真のように現時点でおおむね8割程度はできているのですが、労力的にはまだ道半ば、5割くらいの心境です。理由はのちほど。。




制御関係機器が載る偶数車Mcの2-4位側で、左が富士吉田(現富士山)駅側の乗務員室です。中央の主制御器はカツミの近鉄30000系ビスタカー用のプラ一体製品から切り出してきたもので、中央の1ブロックを詰めて小型化してあります。周辺のいくつかの機器箱も同じ製品から形が似たものを切り取ってきたものです。遮断器は小高のプラ製床板から切り出したものですがちょっと大ぶりでした。主制御器の左隣りの機器(詳細不明)はヒノキ材と真鍮板・帯板から自作しました。




反対の1-2位側ですが、こちらは今のところハンドブレーキホイールと箱1つが付いただけです。




ここには実車写真のように自然通風式の2群の大きな主抵抗器が並びます。これを少し手の込んだ作り方をしてしまったために「労力は5割」状態なのです。




自然通風式のいわゆるリボン抵抗器は、モデル8の製品が形状もよく愛用されている方も多いようですが、いかんせん今は市場在庫がありません。今回は近鉄30000系用から型取りして作ることにしました。原則、現時点で入手可能な製品の型取りはしないのをモットーにしてはいるのですが、今回の場合は使える部分が一部で余りの方が圧倒的に多いため、ゴメンナサイと手を合わせて型取りさせていただきました。
実車は1組につき横3列の抵抗体ですが、近鉄用でそれに該当するのは1ヶ所だけであとはほとんど4列です。1ヶ所を何度も型取りするのは面倒なので、4列部分も含めてすべての抵抗器に“おゆまる”を押し当てて型取りしました。




成形剤はタミヤのポリパテです。前回ブレーキ制御装置を型取りしたときの余りを使いました。レジンのように流動性のある素材でないため、彫りが深くディティールも細かい今回のケースでは再現性に不安がありましたが、ご覧のとおりかなり良い感じでできあがりました。




しかしここから先が問題で一気にハードルが上がります。4列の抵抗体をすべて3列に切り出し、上下のバリも取って、なるべくきれいな形に整形します。6mm幅にしたかったのですが、いくつか狭いのが混じっていますね。。




そして、仕切り板を挟みながらこれをフレーム上に並べて接着していきます。上述のように抵抗体の大きさがまちまちなため、先に仕切り板を等間隔に入れてしまうとぜったい合わなくなってくるためのやむを得ない工法。瞬着を使えば早いですが、ずれてしまったらハイそれまでよなので、セメダインスーパーXクリヤで1個ずつ位置を確認しながら接着しています。




続いてこちらはM'c車で主にブレーキ関係や補助的な機器が載っています。この写真は右が大月側の乗務員室で、1-3位側の機器類となります。MGはエコーの3kwタイプで、形態的には反対向きにしたいのですが、裏にディティールがなくのっぺらぼうなため、やむなくこの向きに取り付けています。




最後は同車の2-4位側で、左が大月向きの乗務員室です。この部分はたまたま長野県内に残っている保存車を詳しく調査できたため、それに基づいて作ることができました。3100形の第2編成は1971年、踏切で衝突した小型トラックを巻きこんでブレーキ関係機器を破損、急こう配を逸走しカーブを曲がり切れずに脱線・転覆するという痛ましい事故に遭遇しました。富士急ではその後対応策をとったわけですが、この機器類を見ていくと、いくつかその痕跡をうかがい知ることができます。





左端に2つ横向きに並ぶのは元空気ダメで、その隣に「CM」と書かれた(恐らく)コンプレッサー接触器の小さな箱があります。そしてその次、これは遠目にはよく見えないのですが、床下を覗き込むとフィンをもつ3本の配管すなわちアフタークーラーが床板にへばりつくように設置されています。中央の四角い箱の上側です。




3100形の製造当初の写真でこの部分がきれいに写った写真がないのですが、ほとんど同一仕様で製作された秩父鉄道のデハ300形のサイドビュー写真がこちらのブログに載っています。デハ302の写真を拡大して見ていただくと、アフタークーラーが垂直に取り付けられているのがわかります。一般的に冷却効果を考えれば床板とは垂直に取り付けられるべきものが水平になっているあたり、事故を踏まえた対策のように思えます。


模型ではこれをφ2mmネジで表現しました。実車は3本あるようですが2本でごまかしています。




その隣りに「戸」と書かれた恐らく戸締め用の空気ダメがあり、その隣にある白い大きな鉄板が制御弁をはじめとするブレーキ制御装置を防護するプロテクターです。裏側をみるとこの写真のように弁装置一式があるのがわかります。事故の時はこのあたりに大きなダメージを受けたのでしょう。左端に白飛びしていますが防護板が写っていますが、床の取り付け部分をみるとなんだか貧弱で、横からの衝撃をどの程度受け止められるのかちょっと疑問が残ります。模型ではこの防護板のみ取り付け、中の弁装置一式は省略する予定です。




そしてその隣にはDH25と思われるコンプレッサーがあり、これはエコーのパーツがあるのでそのまま取り付けています。そして最後に控えるのがこちらなんですが、木枠に入った"何か"が吊り下げられています。形状や+-の表記があることからバッテリーのようです。本来のバッテリーは反対側に積まれているのと、秩父鉄道デハ302の写真をもういちど見ていただくと、この部分には中型の機器箱が2つ並んでいるので、これも安全対策の一環で、非常時でも制御電源を喪失しないように新たに積んだものかも知れません。




ところでこの床下写真を見返していたら、とんでもないものを発見してしまいました。このバッテリー様の箱から伸びた電線の先にあったのは、なんと裸のナイフスイッチ!? フレームの溶接の具合がいかにも後付けの感じがしますが、これをカバーする「箱」のようなものの付いていた痕跡がありません。まさか現役時代からこんな裸で走ってたんでしょうか? さすがにここまで模型で表現することはしませんが気になりますね。





よろしければ1クリックお願いします。
にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道模型へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする