この度、稀勢の里が大関に昇進した。直近3場所の勝ち数が32勝で、当初昇進の目安とされていた33勝には届いていないが、最近の安定感が評価されたという。これを足掛かりとして日本人横綱が誕生すれば結構なことである。
場所の14日目が終了した10勝4敗の時点で既に大関昇進が報じられていた。千秋楽に負けて“33勝ならず”となり、雰囲気が悪くならない中に決めてしまおうとの魂胆があったのかもしれない――私はそんな穿った見方をしたが・・・。
その彼に、早くも横綱昇進の期待が寄せられている。相撲協会は、具体的な昇進条件の数字は発表しておらず、『優勝した次の場所の成績が、優勝またはそれに準ずる成績』という曖昧な内規になっているようである。
だが過去には、10勝→11勝→12勝で優勝がないにも拘わらず横綱に昇進している例がある一方で、貴乃花は、14勝で優勝し翌場所には13勝で優勝決定戦に持ち込んだが敗れで昇進を逃している。協会としては、何れ横綱になる力を備えている大器であるから慌てることはないとの判断で鷹揚に構えていたのであろう――そう私は推測していた。
素質があり有望と言われている稀勢の里は私も好きな力士の1人である。日本人横綱としての活躍を期待したい。