ドナウ川の白い雲

ヨーロッパの旅の思い出、国内旅行で感じたこと、読んだ本の感想、日々の所感や意見など。

マドリッドでフラメンコを見る …… 陽春のスペイン紀行 7

2013年06月23日 | 西欧旅行…陽春のスペイン紀行

         ( フラメンコを見る )

< マドリッドの若者のこと >

 今日は5月20日。 

 トレドからマドリッドは、新幹線でわずか30分。早朝のトレドの空は真っ青だったが、マドリッドもいいお天気だ。暑くもない。

 マドリッド・アトーチャ駅からタクシーに乗った。

  「今、‥‥で、ダリをやっている」。

  大きなスーツケースをトランクに入れてくれる動作が、今風の若者らしくちょっとだるそうで、この旅で出会ったタクシーの運転手とどこか違っていた。「アルバイト風」と言うか ……。それが、走り出して間もなく、英語で話しかけてきた。

 ダリ? 何だろう? スペインの若者の間で評判になっているロックグループか何か? それとも、画家のダリ?

 「… 彼は凄い芸術家だ。…… 。あっ、あれだよ!」

  見ると、街角の広告塔に、ダリ展の大きなポスター。

 「ああ、画家のダリだね」。「ダリはスペイン人?」。「スペインには、素晴らしい芸術家がたくさんいるね」

 「そう。我々は、多くの偉大な芸術家を持つ。ダリ … ピカソ … ガウディ ……」

 多分、スペイン語の発音ではなく、世界普遍語の名前の発音を考えながら、挙げているようだ。

 ダリの話が済むと、車が走っている付近の歴史遺産や観光スポットについて、話してくれる。ガイド風にではなく、大学生が、外国からやって来た友人に話すように。

 やがて、グラン・ビア通りへ入り、スペイン広場近くのホテルに着いた。

     ( マドリッドのグランピア通り )

 「我々は、多くの偉大な芸術家をもっている」 ……  好い言葉だ。

  こういう言葉を、日本の若者も持ってほしい。

   そのためには、まず先生や、親が、自国の歴史と文化に誇りをもつことだ。( ただし、隣国のように、国家によって煽動され、他国に憎悪を抱く、偏狭なナショナリズムはいけません )。

 今、スペインの失業率は27%。若者 (高卒、大卒年齢) の失業率は実に57%と聞く。彼も、大学は出たけれど就職できず、とりあえず、やむを得ずタクシー運転手をやっているのかも知れない。 だとしたら、頑張ってほしい。( ドイツの一人勝ちのEUでは、EUは崩壊しますよ。メルケルさん!! )

           ★

< 首都マドリッドのこと >             

  いわゆる雑居ビルだ。そのうちの6階から8階がホテル。昨日のパラドールの料金で、3泊できるほど安い。

 だが、受付の若い女性は、笑顔で、はきはきして、とても感じが良い。 英語が、こちらほどではないにしろ、一生懸命のカタコトなのも良い。( アメリカ人やイギリス人の英語くらいわかりにくい英語はない !!)。

 マンション風にベランダが付いていた。マドリッドの屋根の向こうに 王宮が見える。

  

              ( 遠くに王宮が見えた )

ベランダに / マドリッドの日差し / 雲浮かび

  長旅に倦んで / しばし爪切る 

 ただ、展望はあるが、ローマのように洗練されたショーウインドが並ぶ感覚的・官能的な街ではない。また、パリのように端正で、どこか哀愁のある、美しい街並みでもない。

 どこかドロくさくて、ヨーロッパの大阪、かな?

 海抜650m。人口300万人。

 歴史的には、イベリア半島の中央部の中心は、ずっとトレドだった。

   1561年、フェリペⅡ世がマドリッドを首都と定めた。

 東京に、中古、中世の歴史がないように、ローマ時代の遺跡もないし、イスラム時代の巨大なモスクも歴史地区もない。

 あるのは、プラド美術館とか、王宮とか …… 。それらは長いスペインの歴史の中ではつい最近のものだし、パリのルーブル美術館や、ウィーンのハプスブルグの王宮と比べられるものでもない。

 町を歩いていると、あちこちにディオールの官能的な広告写真が掲示されており、その1枚に街角が映じていた。

 ( ディオールのポスター )

 久しぶりに和食レストランで寿司を食べた。

          ★

< フラメンコを見る >

 夜、フラメンコを見に行く。

 フラメンコは、グラナダやセビーリャでも見ることができるし、何といってもそちらが本場だが、タブラオはマドリッドが多い。

 わざわざこのホテルを選んだ理由の一つは、「カフェ・デ・チニータス」というタブラオが近くにあったから。夜遅く帰る道の安全を考えて、10分で歩いて帰れるこのホテルにした。

 夜、10時30分から始まる第2部の方が、絶対に盛り上がると思ったが、終了が午前0時になるので、8時30分開始の第1部を予約した。

 踊り手の中に、1人だけ男性がいた。舞台に登場したときから、緊迫感というか、すご味を感じさせ、踊りに切れ味があり、男性アスリートの動きだと思った。客席も息をのみ、拍手も一番多かった。

 

 

 セビーリャではお祭りに参加するため、子どもの時から誰でもフラメンコを踊ると言う。

 子どものときから覚え、10代後半でローカルなコンクールに出場して優勝し、才能を見出される。そこから、プロを目指して日々努力し、最後に到達した人がこういう所で踊っているのだろう。

 メンバーの中では若い、長身の女性ダンサーが、とても美しかった。タップのすごさ、手首や指の動きに、プロフェショナルを感じた。

 この旅も、あと1日となった。

     ★    ★    ★ 

   昨日、富士山が世界文化遺産になったという報道。正式名称は、「富士山 ー 信仰の対象と芸術の源泉」。

 これはうれしい。

 その際、委員会を構成する各国の代表が、次々と、特に時間を割いて、日本の文化としての富士山を賞賛してくれたそうだ。

 世界には、日本人が思っているよりもずっと、日本を好きな人たちがたくさんいることに、日本人は気づくべきである。それだけのことを日本はしてきているし、世界に日本の理解者は多いのだ。隣の2国だけが、世界ではない。

 ( 続く )

 

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 西ゴード王国の都 トレド ……... | トップ | 圧巻のローマ水道橋 ・セゴビ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

西欧旅行…陽春のスペイン紀行」カテゴリの最新記事