いいしらせのグッドニュース[パート・Ⅱ]

グッドなテーマを、グッド・テイストでお伝えします。

アメリカの“ ジョーカー・ばば ”は妙に怖い。     /'12.6.29.掲載     

2012-06-29 18:35:04 | Weblog




5ch.「日曜洋画劇場」6月24日放送、『ダークナイト』に衝撃を受けた。
2008年の映画ですが、わたくしはマスメディアのスケジュールに従っております。



クリストファー・ノーランは、2005年以前から、バットマンをリアルにする作業をしていたことになる。
少なくとも“能天気”な正義の味方をリアルに悩むバットマンに切り換えようとしていたわけだ。
できればバットマン業を引退して、悪との戦いは他の誰かに任せ、恋人と幸福に暮らしたいと思っているといった
設定になっている。


『ダークナイト』(2008年)では、バットマンの名前すらはずされている。
ダークナイト・闇の騎士とはだれのことか。
「闇の騎士・Dark knight」と呼ばれるのはバットマンである。
バットマンのタイトル変更だ。それは名称の変更でもあり、テーマの提示でもある。
「光の騎士・White knight」であったデント検事(アーロン・エッカート)がトゥーフェイスに変身する。
トゥーフェイスも、バットマン(クリスチャン・ベール)も、ジョーカー(ヒース・レジャー)も、
ここでは、「ダークナイト」と言っていいのかも知れない。










   敵役であるジョーカーがバットマンに向かって哄笑しながら、「俺もお前も世間から見れば化け物じゃないか!」
   と繰りかえし、バットマンが誰に頼まれたわけでもないのに勝手に私設自警員として、
   奇怪な覆面衣装に身を固め、法律を無視して正義の味方を気取る矛盾を突いてきます。
   テーマでいうと、「善悪の相対性」ということになります。
   バットマンは、誰に頼まれたわけでもないのに世界の警察官を自認するアメリカの姿そのままであるとも
   いえます。(竹熊健太郎 2008/08/22)

   「正義」と「悪」の二元論ではない。
   スーパーヒーローが「正義」で、敵キャラが「悪」という役割分担が明確だった。
   が、「ダークナイト」ではその役割分担が不明瞭になる。バットマンが存在するせいで、
   邪悪な意志を持つ存在が自分たちの存在を誇示しようとゴッサムシティに集まるというパラドックスが
   生じてしまう。(芝山幹郎 2008/07/29)



今ごろになって、善悪の相対を語るアメリカかという気もしなくはないが、

トゥーフェイスのことは一切公表していない、サプライズであったそうですが、わたくしには
ジョーカーという存在が圧倒的で、未だに夢にみそうであります。
あのまだらになっている白塗りと、口裂け女もどきの真っ赤な口紅の口元、それになんと言っても
マシンガンのようなおしゃべりだ。このおしゃべり、毒のある、趣味性も時にはあったりするジョーク、
その連発・テンポ、こういうキャラは日本にはない。受けないというべきかな。アメリカの小説には
よく見かけるキャラクターだ。










   ジョーカーが化けた。
   「バットマン」第1作でジャック・ニコルソンが扮したジョーカーは「究極のオブジェ」だった。
   装置や衣裳が印象的だったあの映画のなかでも、ニコルソンの姿は極彩色のオブジェだった。
   単騎で際立つ彼の言動に、私は笑った。
   「ダークナイト」ではヒース・レジャーだ。
   こちらのジョーカーは、観客を凍りつかせる。裂かれた口も紫の上着もずっと地味だが、
   その無意識はアナーキーの極致だ。
   広い背を丸めて邪悪の限りを尽くし、黄色い歯の間から毒に満ちた言葉を吐く。
   己の異形がバットマンの異形の補完物であることを自覚し、
   「俺はおまえを殺したくない。おまえは俺を完成させてくれるからだ」とつぶやく。
   (芝山幹郎)


   これまで自身のルールに従って犯罪と戦ってきたバットマンは、
   「秩序」を一切持たないジョーカーに苦戦を強いられるが、ジョーカーの真の目的は金でもバットマンの命でもなかった。
   ジョーカーの唯一の目的、それは「恐怖」と「混沌」をもたらし、
   人間の「本質」をさらけ出すことだったのだ。(ウィキペディア)









ノーラン監督は、この当時38歳(バットマン ビギンズ・2005年では35歳)。
ジョーカーを演じたヒース・レジャーは2008年1月22日に本作の完成を待たずに急逝した。
2008年、睡眠薬等の薬物併用摂取による急性薬物中毒により急逝。
死後、『ダークナイト』(2008年)の演技により、アカデミー助演男優賞を受賞した。28歳での同賞受賞は史上4番目の若さ。
引用させていただいたおふたりも、この映画絶賛です。
「苦悩映画の最高傑作」竹熊氏。
「濃くて速くて脳髄にからみつく傑作」芝山氏。



アメリカという国のメンタリティに変化が起りつつあるのではないだろうか。
2001年の「9・11」から、イラク戦争。そして、イラクでの敗北、アフガニスタンからの撤退へ。
やはり無縁ではないだろう。
正義のヒーローの単なる凋落ではなく、変質である。それも、悩みぬく変質だ。
バットマンにつづき、スパイダーマンにもそれは感じられる。


ちなみに、サム・ライミ監督は、43歳(スパイダーマン・2002年当時)であった。









マイケル・ケインがなぜか、気になる。
ノーラン監督のお気に入りであることは、まちがいない。
 




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