北米(アメリカ、カナダ、3952サイト)、ほか61カ国・地域で一斉に公開。5月16日。
イギリス、ロシア、メキシコ、フランス、オーストラリア、ドイツ、韓国、ブラジル、
イタリア、スペインの主要10カ国の週末興収はいずれもトップを記録。
ロシアでは、国内のトップ5作品内で約8割のシェアを誇っているという。
それぞれの劇場では、スクリーンにタイトルが映りゴジラの咆哮が重なると「GODZILLA!」「Kaiju!」
の掛け声がかかり拍手、ゴジラの足の登場シーン(初めて映画の中でゴジラが登場するシーン)
に拍手、ゴジラが口から熱線を放射するシーンで拍手、本編が終了しエンドクレジット開始時に
拍手といった反応が伝えられていますね。
ゴジラはこんなにも愛されていたのです。素晴らしい。
観た人たちの感想は、
「今回は東宝のゴジラへのオマージュが随所に感じられて気に入った」
「感動した! ゴジラファンのための映画でもあるし、またこれを機にゴジラファンになる映画
でもあると思った」といったゴジラファンはもちろん、
「この映画を作らせた1954年ゴジラを見たくなった」
「ゴジラのデザインが素晴らしくて、もっと観ていたかった」など、
初めてゴジラを体験した観客からも好意的なコメントが寄せられていたと言います。
少し割引いた方がいいのかな。いいや、60歳になったゴジラが見事に
蘇えったのでありますね。
製作過程を辿っていきます。●6項目あります。
最初にスタッフです。
監督 ギャレス・エドワーズ
脚本 マックス・ボレンスタイン(英語版)、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム(英語版)、
ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー
原案 デヴィッド・キャラハム
製作 メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、トーマス・タル、ブライアン・ロジャース
製作総指揮
坂野義光、奥平謙二、アレックス・ガルシア、パトリシア・ウィッチャー
①2004年の『ゴジラ FINAL WARS』公開後、東宝は以後10年間ゴジラ映画を製作しないことを
発表しています。
坂野義光は2007年、アメリカのプロデューサーのブライアン・ロジャースと会い、
プロジェクトに取り組むことを計画した。ロジャースは2009年にレジェンダリー・ピクチャーズに
話を持ちかけ、長編映画を製作するプロジェクトへと移った。
開始のきっかけに、日本人がいました。
スタッフ・リストの「製作総指揮」にふたりの日本人がいます。
坂野義光さんとは、83歳。1971年(昭和46年)に、自ら企画した
『ゴジラ対ヘドラ』で、脚本兼任(馬淵薫との共作)で監督デビュー。
この作品で怪獣ゴジラに空を飛ばせたことで、田中友幸プロデューサー
を怒らせてしまったと言います。
もうひとりの奥平謙二さんとは、活動経歴が全く不明で、日本で
調べる限りでは謎の人物だそうです。
②2010年3月29日、レジェンダリーがゴジラの権利を獲得していたことが表面化した。
レジェンダリーはワーナー・ブラザーズと共同製作、共同出資してシリーズをリブートすること
を発表した。レジェンダリーは『GODZILLA』に登場した「イグアナのような生物」ではなく
オリジナルのゴジラに近い新作を計画した。レジェンダリー・ピクチャーズ会長兼CEOの
トーマス・タルは「ゴジラは世界でも有数のポップカルチャー・アイコンであり、我々も
その一ファンとして、ファンが見たいと思う映画を作りたいと考えている」と説明した。
98年版アメリカ製ゴジラを認めるヒトはほとんど見当たらない。
そして、“ゴジラ・ファン”がいろいろな場にいることを知ります。
③2013年1月7日、フランク・ダラボンが追加で脚本を執筆し、またメアリー・ペアレントが
プロデューサー陣に加わることが報じられた。ダラボンはインタビューで「『ゴジラ』を見て
我々が学んだことは、ゴジラが広島と長崎の原爆、そして当時我々アメリカ人が行った核実験の
メタファーであるということだ」と答え、今回のゴジラを「自然が生み出した驚異」として
描くと説明した。映画には「非常に魅力的な人間ドラマ」が追加され、ゴジラはオリジナルの
原子爆弾でなく「別の現代的な問題」を踏まえたものとなる。
この項目、この段階が興味深く、大事だと思う。
アメリカ人が“原爆”を素直に受け入れていることに、驚きます。
「ゴジラが広島と長崎の原爆、そして我々アメリカ人が行った核実験の
メタファーであるということだ」と。
いうことは、ゴジラそのものの誕生を全て受け入れているのですね。
④2013年3月18日、日本からは、渡辺謙の参加。同日には宝田明のカメオ出演も発表された。
スタッフは、宝田の出演を「今回の作品を、オリジナル版『ゴジラ』と象徴的につないでくれるもの」
と語っている。
撮影中に行われたインタビューでブライアン・クランストン(出演者)は、「今作の描き方は
スピルバーグの『ジョーズ』に似ていて、ゴジラの姿を大っぴらにさらけ出すのではなく、
その存在感を暗示して、ほのめかすことで観客が恐怖を覚えるような演出がされている」と答えた。
“宝田明のカメオ出演”とは嬉しいですね。
「東宝のゴジラへのオマージュが随所に感じられる」と言って
いましたね。
敬意というか、強い尊敬といったものが感じられます。
⑤2013年7月20日にサンディエゴでのパネルディスカッションで、監督ギャレス・エドワーズは、
「プレッシャーは自ら課してしまったものだと思う。というのも、これこそ(自分が)
やりたかったことだから。この作品が東宝のゴジラの一部になってほしいと思う。これこそ
本物のゴジラ映画だ、といわれるように」とコメントした。
また、撮影のためにカナダへ入国する際、入国審査官たちに「絶対に変なもんつくるなよ!」と言われ、
彼らと20分もの間、どうしたら良いゴジラ映画が撮れるかについて語りあったという。
東宝からも「これまでの『ゴジラ』映画のレガシー(遺産)を受け継ぐ作品にして欲しい」と
言われたという。
2014年2月28日に、ドイツのハンブルグにて。質疑応答の際に98年の『GODZILLA』について
質問されたところ、「本当のゴジラ映画ではない」と断言した。
英国の新人監督・ギャレス・エドワーズ(39)の才能起用は
大成功しました。これも素晴らしい。
(観ていないのに、ここまで言い切るのはとも思うけど、
よしとする)
もちろん、彼も、カナダの入国審査官たちもゴジラの大ファン
でした。
ギャレス・エドワーズ監督(39)です。
⑥全体的な評価のいくつかです。
映画監督のジョー・ダンテは「54年版以来最高のゴジラ映画だ」と称賛した。
Rotten Tomatoesでは5月20日付けで228レビュー中73%の支持を受けている。
New York Magazineのマット・ゾラー・サイツは4ツ星満点中3.5を付け「巨大怪獣の破壊の進行よりも、
小さな人間がその進行をはるか遠くかTVの出来事のように見ていることに興味を惹かれる」
と語っている。
全体的に評価は高いが、ガーディアン誌は「日本のゴジラに込められていた反核の風刺が、
この映画では滑稽なほど弱まっている腹立たしいリブートだ」と批判している。
脚本のフランク・ダラボンさんが、項目③で言っています。
『今回のゴジラを「自然が生み出した驚異」として描く。
ゴジラはオリジナルの原子爆弾でなく「別の現代的な問題」を
踏まえたものとなる。』と。
この判断、それぞれの感想は、観ていたしましょう。
長いおつき合い ありがとう。