民族の純粋性を語る若者がテレビ画面に出ていた。
かれら(オバマさんのことらしい)は自分のいるべき場所に戻れば
いいんだと言う。ネオナチの団体名がスーパーで入っていた。
アメリカでのことだ。
しかし、この多国籍性を感じさせる新しい大統領の誕生の前では、
彼らの主張も色褪せて見えた。
米国内の黒人比率は10%台で、もうしばらくするとなんと
白人のパーセントが1位の席を譲るのではないかという。
この新しい国・アメリカはまさに人種の坩堝である。
リンカーン大統領の奴隷廃止、マーチン・ルーサー・キング牧師の
アフリカ系アメリカ人の公民権運動の活動と、そう常に、
黒人の存在を意識してきた。
しかし、オバマ大統領は黒人だが、奴隷の系譜ではない。
キング牧師の夢は、実現されてしまった。
ちょっとあっけなく、違う次元でだ。
ハワイで生まれ、インドネシアで一時暮らし、お父さんはケニア
出身である。母は白人。
ヨーロッパは地続きであり、民族対立とリアルな同化がある。
民族浄化の発想は起こりえる。
ここに誕生したオバマ大統領には、新しい角度からの視線を感じ
させる。
人種の総合性とでもいった未知の視点である。
リンカーン記念堂の前でキング牧師は有名な“I Have a Dream”
(私には夢がある)で始まる演説をした。
オバマ大統領は就任演説を2009年1月20日にした。
なにか新しい予感を感じざるを得ない。