映画「ツイスターズ」を観た。
ハリウッドのB級娯楽大作だが、それほど家族第一主義が強くない。竜巻多発の背景に温暖化の影響があるという、流行りの世界観で製作されていることがわかる。そのあたりは悪くはない。
ただ、ヒロインの「竜巻を手懐ける」という科学的な目標は、いつの間にか個別の竜巻への対処に縮小していて、同時に世界観も、身の回りの幸せを求めるような、狭いものに縮んでしまった感がある。
ストーリーがまとまらなくてもいいから、自然災害に対して真正面から取り組みつづけ、世界の科学界を巻き込んでいくような、壮大なドラマで終わってほしかった。大きなテーマだっただけに、個人の物語に尻すぼみしてしまった展開が、とても残念だ。
主演のデイジー・エドガー・ジョーンズは、2022年の映画「ザリガニの鳴くところ」でヒロインのカイアを演じていて、嘘つきとも正直ともわからない特殊な表情ができる女優だと思っていたが、本作品でも同じような表情をしていた。本心がどこにあるのかわからないが、とにかく強い意志を持っていることだけは感じ取れる、そういう女性の役が似合っているのだろう。今後も需要はありそうだ。