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保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

貨車改造駅これくしょん(釧路支社編)

2016-03-25 22:51:00 | 貨車改造駅

かつての国鉄釧路管理局、現在のJR釧路支社管内の貨車改造駅舎です。
広いエリアを持ちますが貨車改造駅は東部に集中しており、十勝地方には存在しません。

◆根室本線(花咲線)尾幌駅

1986(昭和61)年頃に貨車改造駅になりました。駅舎には絵が描かれていますが、定期的に塗り直し(絵柄の変更)が行われているようです。


釧路支社の貨車改造駅舎にはトイレが付きますが旭川支社のものとは違い、駅舎の外側から出入りするようになっています。しかし現在はほとんどの駅で鎖錠され使用出来なくなっています。尾幌駅は臭突も撤去されています。

◆根室本線(花咲線)別当賀駅

かつては尾幌駅のように絵が描かれていましたが、現在はシンプルな塗装です。かつてのデッキを活用した出入口は中央部のみ原形の開口部を生かし、左右を埋めています。
両脇に手すりが付いた鉄製の階段も釧路支社標準のようです。


妻面の小窓部分がトイレですが、別当賀駅ではトイレドアが完全に埋められています。
妻面も改修したような形跡があり、釧路支社で多く見られる妻面の尾灯が全て撤去されています。

◆根室本線(花咲線)西和田駅

釧路支社の標準的な形態ですが、西和田駅はデッキ妻面の開口部を3カ所とも埋めずに生かしています。しかし尾灯と連結器部分は埋められているなど施工の基準がよく分かりません。
花咲駅が2016年3月26日に廃止されてからは、西和田駅が日本で一番東にある貨車改造駅になりました。


トイレ側には尾灯が残ります。
なお釧路支社の貨車改造駅舎は、台枠にあった銘板が例外無く撤去されています。


(この画像のみ花咲駅で撮影)
釧路支社の標準的な室内です。椅子は片側に作り付けられています。壁にあるドアは用具入れになっており、室内からトイレへ至るドアはありません。

◆釧網本線美留和駅

近年塗装されたのか、きれいな姿になっています。


側面に見えるオレンジ色のホースは、雨樋の縦管です。原形のものが破損したためと思われます。雨樋は貨車時代のものが流用されていることが伺えます。

釧路支社管内の貨車改造駅は、全て統一された形態になっています。こまめに補修や塗装が行われているようで大切に使用されている様子に好感が持てると同時に、国鉄貨車の頑丈さを思い知らされます。


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貨車改造駅これくしょん(本社直轄編)

2016-01-28 21:46:00 | 貨車改造駅

かつての国鉄北海道総局、現在のJR北海道本社管轄地域にある貨車改造駅です。当ページでは「本社直轄」と記載します。
以前は札沼線や日高本線に貨車改造駅が多数存在しましたが、2021年4月以降は以下の1駅のみになっています。


◆日高本線浜厚真駅

日没後の撮影のため暗い画像で申し訳ありません。
ヨ3500を改造したと思われる貨車改造駅舎です。かつては薄いピンク色に塗装されていましたが、2015年6~12月の間にこのような塗装に変更されました。


元の車体にあまり手を加えず再利用されています。本社直轄地域で多く見られる形態で、デッキは両端とも出入口として活用されています。妻面の開口部には車体外側からアクリル板を取り付けています。


トイレはありません。側面窓1つ分を潰して配電盤を収める機器室を設置しています。照明は変更されていますが、天井は車掌車時代のものに塗装しただけかと思われます。

本社直轄エリアの貨車改造駅は、最低限の改造で済ませている印象を受けます。旭川や函館のように手の込んだ改造が行われた地域とは対照的です。


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貨車改造駅これくしょん(函館支社および道南いさりび鉄道編)

2016-01-06 20:14:00 | 貨車改造駅

函館支社管内および道南いさりび鉄道の貨車改造駅です。函館支社は、北海道内では函館本線熱郛駅以南および室蘭本線礼文駅以西が管轄エリアになります。

◆函館本線二股駅

ワラ1を改造したとされる貨車改造駅です。ワラ1を改造したものは道内では唯一の存在です。
有蓋車を改造した貨車改造駅は、道内では函館支社にしかありません。


かつて貨物を積み込むための側引戸を撤去して壁を作り、そこに出入口を設けました。窓は元の車体に穴を開けています。


元々人を乗せる車両ではないため、壁と天井の内装が新調されています。トイレは無く、ストーブが設置されたことも無いようです。


◆函館本線尾白内駅

ワム80000を改造したものです。中央部の2枚の側引戸を撤去して壁を新調し、出入口と窓を設けています。
両端の戸は種車のものを使い、窓部分を開口しています(ワム80000は側面全てが引戸のためこのような書き方になっています)。


ホームと同じ高さに貨車改造駅舎を配置するため、わざわざ脚を付けてかさ上げしています。これも函館支社独特の方式です。
道南地方は道北や道東とは違い、使える土地に余裕が無いことからこのような方式になったのでしょうか(それでも本州以南と比べれば十分広いかと思いますが)。


◆道南いさりび鉄道東久根別駅

ワム29500を改造した駅です。元の車掌室部分、貨物室部分共に待合室に転用されています。地面からかさ上げされていますがホームとツライチではなく、線路とほぼ同じ高さに設置されています。


貨車改造駅舎は旧来の木造駅舎の取り換えのために設置されたものが多いですが、東久根別駅は駅の開業に合わせて設置されたという点が特徴です。1986(昭和61)年に東久根別臨時乗降場として開業し、貨車改造駅舎はおそらく開業時点から設置されていると思われます。
さらに特筆すべき点として、道内の貨車改造駅では唯一と思われる水洗トイレが設置されています。また20時~翌日7時の間は施錠されるため室内に入れなくなります。


かつてのデッキ部分を閉塞して扉を設置し、貨物室の側引戸部分も出入口に転用されています。「HIGASHIKUNEBETSU」の文字の下にある窓は種車のものが流用されています。


◆道南いさりび鉄道釜谷駅

ワム80000からの改造で、尾白内駅と同じ形態です。


有蓋車改造の貨車改造駅舎は函館支社に複数ありますが、元々人を乗せるためだった車掌車とは違い改造にはかなり手間がかかっているものと思われます。
種車となる車掌車や有蓋緩急車(ワフなど)が払底していたとも考えにくいため、どのような事情があったのでしょうか。
ここからは憶測ですが、改造当時(昭和60年頃)に合理化や業務縮小のため検修や工場の人員が余剰になっており、それらを活用する(稼働させる)目的があったのではないでしょうか。そうなると改造にかかる手間やコストは度外視出来ますし、もっと言えば「あえて改造に手間のかかる車両を選んだ」可能性もあるのではないでしょうか。


駅舎内の様子。室内では委託を受けた地元住民が乗車券の販売を行っていますが、訪問時は営業時間外のようで詳細は不明です。
室内にはストーブがあり、座布団等も置かれ暖かみのある雰囲気です。他人の家に上がり込んでいるような感覚になり落ち着かないという見方も出来ますが・・・。


そしてこの貨車改造駅舎には、種車時代の銘板が残っています。割れていますが「日本国有鉄道」と「日本車輌 昭和44年」です。昭和44年に日車で製造されたワムハチはワム187712~187811が該当します。

函館支社管内には設置方法や貨車の改造方法で、他地区では見られない特徴を持った貨車改造駅が多いです。

 

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貨車改造駅これくしょん(旭川支社編)

2015-12-29 21:44:00 | 貨車改造駅

旭川支社管内の貨車改造駅です。

◆宗谷本線勇知駅

日本最北端の貨車改造駅です。2013~14年の間に外装にサイディングが張られました。
駅舎出入り口に砂利とアスファルトでスロープが作られていますが、これは宗谷北線(名寄~稚内間)の貨車改造駅で多く見られるものです。


◆宗谷本線下沼駅

側面に地元住民かファン有志が作ったと思われる駅名板が貼られています。
塗装や形態は旭川支社標準のものですが恐ろしくボロボロで、出入り口妻面は鉄板が腐食して穴が開いています。妻面の正方形の窓も、腐食でサッシが脱落してしまったようです。


トイレの臭突は撤去され、トイレ窓は板で閉塞されています。


◆宗谷本線問寒別駅

勇知駅とほぼ同じと思われるサイディングが張られていますが、屋根端部の処理が勇知駅とは異なります。


トイレの臭突は撤去されトイレ窓も埋められてしまいましたが、なぜか通気口だけは残されています。


◆宗谷本線筬島駅

この駅も近年サイディングが張られ改修されました。このサイディングはかなり厚手の材料が使われています。


この画像からも少し分かりますが、旭川支社管内の貨車改造駅は全て北海道仕様のヨ3500(ヨ5000の北海道仕様があったかは不明)を使用しています。二重窓が今でも防寒に役立っているのですね。


◆宗谷本線智恵文駅

この駅も外装にサイディングが張られています。施工時期は不明ですが、2011年にはこの状態になっていました。


内陸部なので塩害の心配はありませんが、豪雪と極寒の地ですので貨車改造駅舎にとっては過酷な環境です。


旭川支社管内は、後年の改修はありますがほぼ設置当時の形態で使われ続けています。改修する場合も線区ごとに共通するイメージで仕上げられています。

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今はなき貨車改造駅(その1)

2015-12-09 12:26:00 | 貨車改造駅

貨車改造駅は設置から30年近くが経ち、更新や駅そのものの廃止で姿を消したものあります。これらをまとめてみようかと思います。


●駅そのものが廃止された貨車改造駅

◆深名線幌成駅(1995年9月4日廃止)

国鉄民営化前後に貨車改造駅舎になりました。
深名線の貨車改造駅はここだけで、他の駅では廃止時まで旧来の木造駅舎や待合室が使用され続けました。大赤字線ということから、合理化しても焼け石に水であると判断されたからでしょうか。
ヨ3500を改造したと思われる幌成駅舎は、2018年10月時点でも幌成集落の会社敷地内に置かれています。


◆宗谷本線芦川駅(2001年7月1日廃止)
木造駅舎の更新で貨車改造駅舎が置かれました。利用者皆無のため駅そのものが廃止されました。


◆宗谷本線智東駅(2006年3月18日廃止)

国鉄末期に貨車改造駅になりました。かつての木造駅舎は駅ホームより高い場所にあり、貨車改造駅舎が置かれていた場所とは違いました。
画像は列車が来ないことを確認して線路内で撮影しています。15年以上前のことであるためご容赦いただけるとありがたいです。






この駅で特筆すべきは、貨車改造駅舎が旧美幸線仁宇布駅にあるトロッコ王国へ移転して保存されていることです。
旭川支社の貨車改造駅舎にはトイレが設置されています(しかし現在はほとんどで施錠され使用出来なくなっています)。


◆江差線吉堀駅(2014年5月12日廃止)

かつては交換可能駅でしたが、合理化のため棒線化されました。駅舎はかつての線路上に置かれています。江差線木古内~江差間が廃止されたことにより廃駅になりました。


◆江差線桂岡駅(2014年5月12日廃止)

吉堀駅と同様の経緯で貨車改造駅かつ棒線駅になりました。この駅も江差線廃止に伴い廃止されています。


ホームと同じ高さに駅舎を置くのが函館支社独特です。この駅もかつては交換可能駅で、貨車改造駅舎は撤去された本線部分に置かれています。非常に狭い島式ホームが目を引きます。


◆江差線中須田駅(2014年5月12日廃止)

吉堀や桂岡と同様にホームと同じ高さに駅舎が設置されていますが、スペースの都合からか待合室に出入りする動線がクランク状になっています。これなら地面に直接駅舎を置いた方がスッキリしたのでは・・・?


◆根室本線花咲駅(2016年3月26日廃止)

利用者皆無のため廃止された駅です。駅舎の塗装は何度か変更されています。


釧路支社の貨車改造駅にはトイレが設置されていますが、旭川支社とは違い駅舎の外側からトイレへ入るようになっています。現在は施錠されておりトイレの臭突も撤去されています。
また、デッキや窓を埋めているのも関わらず律儀に標識灯を残していることも特徴です。


◆留萌本線瀬越駅(2016年12月5日廃止)
留萌本線留萌~増毛間部分廃止により廃駅になりました。1926(大正15)年に仮乗降場として開業して以来、駅員が配置されたことはなく駅舎も無かったと思われます。
国鉄民営化前後に車掌車を改造した待合室が設置されました。しかし海に近い事から腐食が激しく、1995~2003年の間に貨車改造駅舎は撤去されています。貨車改造駅だった期間は8~16年間程度だったと思われます。
代替としてコンクリート造りの待合室が作られました。


◆留萌本線礼受駅(2016年12月5日廃止)

留萌本線留萌~増毛間部分廃止に伴い廃止された駅です。国鉄末期~JR化すぐ頃に合理化のため貨車改造駅舎が設置されました。
2012年頃に古い塗装を剥がして再塗装する大規模な補修が行われましたが、海風をまともに受ける場所であることから3年程で錆汁まみれになってしまいました。
出入り口妻面の窓がありませんが、最初からこの状態だったのか、補修の際に埋められたのかは分かりません。


トイレの臭突が撤去されています。換気口の右上にあるものは屋外用コンセントで、電動の臭突扇を作動させるためのものです。


◆留萌本線舎熊駅(2016年12月5日廃止)

旭川支社標準の形態ですが、外板にサイディングが張られています。この駅も海沿いにあるため、サイディングが張られる前は塗装が剥がれボロボロでした。
以前はサイディングが張られておらず、礼受駅と同様の塗装でした。


サイディングは薄めの材料が使われています。トイレ窓までサイディングボードで埋められています。どうせ使わないから埋めてしまったのでしょう。
礼受駅と舎熊駅ではストーブ用煙突も撤去されています。ストーブを設置することが無くなったので不要と判断されたのでしょうか。


◆函館本線蕨岱駅(2017年3月4日廃止)

ヨ3500を改造したと思われる貨車改造駅舎です。かつて木造駅舎があったであろう場所に置かれています。


江差線吉堀駅(廃止済み)と同様の形態でトイレが無く、デッキ部分は3カ所が出入口となっています。残る1カ所は閉塞され用具入れや配電盤室になっています。


室内の様子。壁と天井に内装板が貼られています。旭川支社の貨車改造駅は天井が原形のままむき出しだったため、処理の仕方に違いがあります。


◆釧網本線五十石駅(2017年3月4日廃止)

釧路支社の標準的な形態の貨車改造駅舎です。他の釧路管内の貨車改造駅とは、色は違えど同じイメージのツートンカラーで塗装されています。


トイレの臭突は撤去されています(壁面に屋外用コンセントがあることから、当初は設置されていたと思われます)。
釧路支社の貨車改造駅舎の特徴として、元のデッキ開口部を埋めているにもかかわらず尾灯を残しているものが多数見受けられます。いっそ加工ついでに埋めてしまった方が作業が簡単かと思うのは、模型的な発想でしょうか・・・。


◆石勝線夕張駅(2019年4月1日廃止)
石勝線夕張支線廃止により廃駅になりました。
1985年に駅が移設された際に貨車改造駅舎になりました。
ワム29500が2両(29756・29900)とワム80000(86579)1両の計3両を組み合わせていました。車輪を付けたまま設置された点が珍しいです。
夕張駅は1990年に再度移転したため、2代目夕張駅と貨車改造駅舎は5年程使われただけでした。
貨車改造駅舎は石炭の歴史村(夕張市)に保存されていたようですが、現存するのかは不明です。


◆釧網本線南弟子屈駅(2020年3月14日廃止)

こちらも釧路支社標準の形態です。屋根に煙突の跡が無いことから、ストーブが取り付けられたことは無いようです。


釧路支社のもう1つの特徴として、下回りのバネ吊り装置の一部が残されたままの個体が多く見受けられます。この画像では台枠の下に伸びる突起のようなものです。他地区では大多数が撤去されています(当然ながら貨車改造駅舎になってからは使用する物ではありません)。

なお南弟子屈駅は廃止前日の2020年3月13日が最終営業日でしたが、車両不具合と悪天候による運休で実際に最後に停車した列車は3月9日21:03発の釧路行だったようです。その後は列車が運行されることなく廃止を迎えました。


●駅は現存するものの、貨車改造駅舎が撤去された駅
◆宗谷本線咲来駅

無人化等の合理化により1985年に貨車改造駅舎になりましたが、1990年代前半に撤去され新たに待合室が作られました。

旭川管内では珍しい早期の貨車改造駅舎撤去例ですが、同じ宗谷本線の恩根内駅も1993年頃に貨車改造駅舎から別の待合室に交換されています。

 

 

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