ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

カラマツの丘と天の川

2024-03-15 18:03:07 | 風景写真/星

 カラマツの丘と天の川を撮影してきた。

 カラマツの丘は、群馬県嬬恋村にある。キャベツ畑が見渡すかぎり続き、その丘の上にポツンとカラマツ林が佇むロケーションで、まるで北海道の美瑛のような場所であり、今年の1月14日に訪れ「嬬恋の丘 (カラマツの丘)」として掲載している。その時は、凍てつく冬の朝のマジックアワー(魔法の時間)の美しさを体感することはできたものの、東の星空は寂しく、畑を覆う雪も奇麗ではなかった。「まるで北海道の美瑛のような・・・」美瑛に行かぬとも似た光景を見られるのは嬉しいが、美瑛と比較することなく、嬬恋村のカラマツの丘らしいオリジナルの美しさを感じて残したい。そこで、夏の天の川とともに撮ろうと計画を立てていた。
 夏の天の川は、3月上旬になると深夜2時過ぎから東の地平線から昇ってくる。日の出前までが撮影時間になるが、その時間帯に月明かりがないことが条件の1つになる。月が出ていない日は、ひと月に10日ほど。ただし、雲があれば邪魔になる。湿度が高く靄が出れば霞んでしまう。乾燥した快晴の空が2つ目の条件である。10日の間に快晴になった夜に行けば撮影はできるが、今回は更に条件を加えた。それは、キャベツ畑が真っ白な雪で覆われることである。
 毎日、気象庁とウェザーニューズの天気予報、そして気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算しているGPV気象予報をチェックしながら、最良の日を待った。そして、そのチャンスの日が訪れた。

 自宅を16時に出発し、圏央道の青梅ICから乗り、関越道から上信越道へ。横川SAで夕食。横川と言えば、昔から釜めしが有名だが、到着した18時半では終了しており、代わりに上州ファーム食堂で下仁田ネギ味噌カツ丼に舌鼓を打った。
 軽井沢ICで降り、1月14日の時と同じコースで現地に20時過ぎに到着。道路は除雪されているが、畑は真っ白で、見上げれば快晴の好条件。時間があるので「愛妻の丘」でも行って見ようとしたが、下調べ不足で、4月上旬頃までは、つまごいパノラマラインが冬季閉鎖で通行できないため「愛妻の丘」には行けなかった。仕方なくカラマツの丘に戻り、広くなっている場所に車を止めて、時間まで待機である。
 ちなみに「愛妻の丘」は、世界でも珍しい「叫ぶ」観光スポットだという。雄大な浅間山に向かって、日頃、妻には言えない「愛してる」を叫ぶとまさに誰もが新婚時代にタイムスリップする奇跡の瞬間が訪れるらしい。誰もいない丘で、一人で小声で言おうと向かったが、幸か不幸か遠くにて心の中で思うだけで終わった。
 さて、カラマツの丘では、午前2時半から準備を開始。到着した時には誰もいなかったが、車は5台に増え、カメラマンは私を含めて6人。やはり集まるものである。撮影場所は限定されている。カラマツの丘を西側の農道から撮るしかない。雪が積もった畑に入ってカラマツに近づけば、構図的に良くなるが、そんなマナーのない行為は当然許されない。この日も、皆、農道からの撮影であった。
 気温はマイナス5℃。久しぶりの寒さに指の感覚がなくなり、なかなかカメラのセットができない。携帯カイロで温めながら細かな設定を行い、3時より撮影を開始した。

 天の川は各地で撮影してきたが、嬬恋村の夜空の明るさはどうだろうか。夜空の明るさが客観的に評価できる数値「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」で表すと、私が星空をよく撮影する開田高原(木曽馬の里)では21.11mag/□"、乗鞍高原が21.86mag/□" 、霧ヶ峰高原車山肩は21.28mag/□" で、値が大きいほど夜空が暗く星が見えやすいことを示しており、19~20で天の川がぼんやり見え、21を超えると天の川の複雑な構造が確認できる。嬬恋村での調査結果はないが、近郊の吾妻郡高山村では、20.93mag/□"となっており、実際に訪れてみると、やはり天の川がぼんやりと見えるといった暗さである。
 それでも快晴の夜空ならば、何とか私のカメラでも撮影できそうである。ただし、上空は暗くても東方向には前橋や高崎の街明かりがあるので、天の川自体は、かなり昇らないと街明かりに消されてしまう。しかし、その街明かりはカラマツをシルエットにしてくれるので効果的でもある。
 天の川は、ポータブル赤道儀を使って追尾しながら低感度で長時間露光した方が、とても美しい写真が撮れるが、それは見た目から大きくかけ離れた写真であり、個人的に好きではない。(掲載した写真も、見た目とは違っている)或いは、もっとF値の明るい単焦点の広角レンズならばと思うが、購入する余裕はない。今回も決して満足のいく結果ではないが、今ある機材で、前回撮影したものよりはカラマツの丘らしい表現はできたように思う。

 当日は、午前4時過ぎまで撮影して撤収。湯の丸の地蔵峠経由で小諸ICから上信越道で帰路に就き、7時過ぎに帰宅した。
 今月は、新潟県の風景を撮る計画もあったが、天の川と一緒に収められる期間中には、天候条件が合致しそうにないので諦めるしかないだろう。残る半月は、あるトンボの未撮影のシーン(産卵)を自宅近郊で予定している。

参考:環境省/令和4年度夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査 結果一覧

p>以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

カラマツの丘と天の川と流星の写真
カラマツの丘と天の川と流星(トリミング)
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 15秒 ISO 3200(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.3.14 3:30)
カラマツの丘と天の川の写真
カラマツの丘と天の川
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 15秒 ISO 3200(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.3.14 4:01)
カラマツの丘と天の川の写真
カラマツの丘と天の川
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 15秒 ISO 3200(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.3.14 4:06)
カラマツの丘 天の川タイムラプス(再生ボタンを押した後、設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます)
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