ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

郡上和良のホタル

2022-06-13 20:46:01 | ゲンジボタル

 郡上和良のホタル通称「和良蛍」の里に行ってきた。
 結果から言うと、発生の初期でまだ少なく、夜の気温17℃という低温、更には月齢12.6(満月の3日前)の明るい月が川面を照らしており、ほとんどが草むらでの発光。しかしながら、高知県宿毛のゲンジボタルに匹敵する数の発光数であり、西日本型ゲンジボタル特有の2秒間隔の集団明滅発光も見られた。

 岐阜県郡上市の東に位置する和良町は、日本一の鮎・和良鮎が育ち、特別天然記念物であるオオサンショウウオが生息している。さらには、川面を埋め尽くすようにゲンジボタルが飛び交い、幻想的な風景を目にすることができる。7月上旬~中旬には森の中でヒメボタルも観察することができるのである。2017年に有志が集い「和良蛍を守る会」が発足。和良蛍を守っていくための活動を行っている。
 和良蛍は、今回が初めての訪問である。守る会がインターネットで発信している発生情報でも出始めという文字。おそらく18日くらいがピークと思われたが、あいにく次の週末は高知県にヒメボタルの保全対策指導の予定があり、その後は沖縄遠征。11日土曜日は夜まで仕事のため、12日の夜しかチャンスがない。場合によっては、土曜の夜から大阪へ向かい、翌朝一番で三草山でウラジロミドリシジミ、或いは北陸へ向かって午前中はヒサマツミドリシジミを撮ってから郡上へ移動とも考えたが、一週間の疲れでそれは断念。
 12日日曜は良い天気である。郡上へ向かう途中にグンバイトンボとハッチョウトンボの生息地がある。そこに寄るためには、朝3時半に出発しなければならず、10年前に撮影していることから、これも断念。結局、自宅を12日午前9時に出発し、中央道の諏訪経由、土岐ジャンクションから東海環状自動車道の郡上八幡ICで降り、あとは一般道で和良町まで片道およそ430kmの遠征である。途中、駒ケ岳SAで昼食。一番のおすすめというソースカツ丼を頂く。
 現地近くの道の駅に14時半到着。快晴で気温は27℃。かなり蒸し暑い。早速、ロケハンである。公開されているホタルマップを見ながら歩くが、一番のポイントになる場所まで2.5kmもあった。ロケハンで5kmも歩き疲労困憊。道の駅から車をポイント近くの駐車場に移動させ、夕方まで休憩。
 到着時はかなり風が強かったが、夕方には無風状態。これはこれまでの経験通りである。18時から出動開始。実際にどこでどのように飛翔するのかが分からない。子供ずれで散歩をしていた奥様方に尋ねると、昨日はこの辺で沢山飛んでいたと教えていただき、これまでの知識と経験、そして写真映えする場所にカメラをセットした。
 待つこと1時間半。19時40分に1頭が林の中で発光。45分には、いきなり発光数が増えたが、なかなか飛び出さない。気温17℃で肌寒い。おまけに明るい月が山から顔を出し、こちら側の川岸を照らしている。私自身の影がはっきとみえるほどである。
 散策路は川沿いに500mほどで、観賞者も10数人に増えたが、私の後ろで歓声が上がっている。振り向けば、カメラを向けていない私の斜め後ろ側の対岸で、100頭ほどのゲンジボタルが集団明滅していたのである。川幅は30mほどで、中州や草の茂みは一切なく、堰の上部であるため流れが非常に緩やかである。その対岸の林が迫る岸辺である。集団明滅の光が川面にも映って素晴らしい。まさか、そこで多数のゲンジボタルが発光するとは思わなかった。ただし、カメラを向けた方向と同じで川面には一切飛び出して来なかった。

 和良蛍の里を21時に引き上げ、帰路も同じルートを進んだ。中央道の双葉SAに23時半に到着し、日本そばを食べて車中泊。午前4時半に出発し、国立インター近くのスタンドで洗車し6時に帰宅した。
 今年は、千葉県のゲンジボタル、埼玉県のヒメボタル、今回の郡上和良のゲンジボタルと観察と撮影をしてきたが、観察では十分な事を学んでいるものの、写真では今回も残念ながら良い結果が出せていない。和良蛍の発生ピーク時は、山が動くほどの乱舞だと言うので、来年は時期を合わせて再び訪れてみたい。(2023年に訪れた時は、まさに乱舞であった。→「和良蛍」)
 今後の予定は、沖縄のホタル、東京都内のゲンジボタルとヒメボタル、仙台と静岡のヒメボタルを観察し撮影する計画となっている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

和良蛍の写真

ゲンジボタルの飛翔風景(和良蛍)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 2分相当の多重

和良蛍の写真

ゲンジボタルの飛翔風景(和良蛍)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 51秒 ISO 400

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