幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 天使の詩を聞くと

2010-08-02 01:08:01 | Weblog

 
 
  最近、天使にいれあげてるって聞いたけど
  ほんとうなのかい?
 
  そうだよ。うらやましいかい?
 
  いや、べつに・・・だって天使って
  人間じゃないだろ?
  人間だったら天使って呼べないもんな。
  あの世の存在か、空想上の存在ってとこだろ?
  お前は、妄想力がたくましいからな。
 
  そうかい。妄想か・・・
  きみはあいかわらず現実的だな。
  でも、これは君の現実よりももっとリアルな話なんだ。
  僕にとって、とっても現実的なことなんだ。
 
  そうかい。彼女は・・・おっと、天使って
  性がなかたんだっけ?
 
  なんで彼女だと思った?
 
  だって、きみがそんなにいれあげてるってことは、
  ”彼女”しかないだろ。
 
  そうなんだ。彼女なんだ。
  でも、僕にとって彼女は天使だから、性はどうでもいい。
  だって、じっさいには・・・
 
  じっさいには?
 
  ・・・いや、なんでもない。
 
  おまえ、彼女に会ったのかい?
 
  いや・・・
  姿を見たことも、声を聞いたこともない・・・
 
  それじゃあ、やっぱり想像上の存在とかわらないじゃないか。
 
  そうかもしれない、でも、ちがう。
  明らかに存在するんだ。
  僕にとって、初めての経験なんだ。
  こんなに純真なものから何かとっても大切なものを学ぶなんて・・・
 
  そうだな。お前は汚れているもんな。
  今まで、純真なものから学んだことなんてないんだろ?
 
  そうなんだ。もっと知的で、難しいことばかりを学んできたような気がする。
 
  純真なもの、たとえば・・・
  野に咲く一輪の花とか
  小さくて弱い一羽の鳥とか
  そんなものから本当に大切なものを学ぶことができる。
  それなのにおまえは、
  今までそんな大切なことを学んだことがなかった。
 
  そうなんだよ。
  なんだか、涙が溢れてくるんだ。
  だから、天使だと言ったんだよ。
  天使以外にないだろ。
  この僕の心がそう言っている。
  これは真実だ。
  それ以外にありえないだろ?
 
  たしかにそうだ。
  きみの心がそう言っているのなら、
  それは真実だ。
  それ以外あり得ない。
 
  ありがとう。
  わかってくれたんだね。
  だったらもう、”いれこんでる”なんて言わないでくれよ。
  彼女はじっさいに、現実の存在だし、
  ちゃんとこの世に生きている。
  でも、その現実だけじゃなくて、
  僕には、彼女の天使性が大切なんだ。
  わかってくれるかい?
 
  わかるような気がする。
 
  それをイマジネーションの問題だとは言い切れないだろ?
 
  そうだな。
  それは、現実の問題じゃない。
  でも、イマジネーションだけの問題でもない。
 
  そうなんだ。
  僕だけのイマジネーションの問題でもなく。
  彼女のイマジネーションも必要なんだ。
 
  だから、苦しいのかい?
 
  そう。
  だから、苦しいんだ。
  
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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