空しい
のは
胸が
苦しいから
なぜかわからない
なぜだかわからないから
ただ
時間だけを数えている
その先にあるものを求めて
ぶらぶら歩いて行くけれど
終着駅まではたどり着けなくて
ただありふれた街の日常
夕日が暮れていく
風景がねじれながら変貌し
自分の力では
もうどうにもならないほど
意味が溶けはじめ
どろどろに流れはじめると
もうただ
歩くのさえ疲れて
その場に座り込む
思い出す
いつか思い出したような気がすることを
それを思い出したことを
もう一人の自分が思い出している
だったらこの私は誰?
それすらわからないから
きっと風景さえ見なくなっているんだろう
闇夜に電柱の光
家路に続く道
ぼくはそれを覚えているだろうか?
ここがどこすらもわからないのに
それなのに
言葉だけは覚えている
それすらも消えてしまえばいいのに
そうしたら
楽になれるのに
蘇ってくるのは悪い想い出だけ
責められ、ののしられ、告発されている
責められる理由などなにもないのに
虫の声がいつもの秋と同じように聞こえている
それがだれの仕業だか知らないが
偶然ではないような気がする
私とは別の世界の
命の営み
それがあまりにも静かできれいだから
自分がますます空しくなる
生命に意味などない
あるのはただ生き残ること
生き残るために喰らい
眠り
死んでいく
そこに歓びがあろうと
苦しみがあろうと
関係ない
最後はみな同じ死
しかない
だからせめて
生きているうちに
死の意味を問う
歓びの追求よりも
存在の意味を問う
なぜなら
虚しさが
胸の内から
消えていかないから
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