幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

冬眠している蜘蛛の捕獲

2019-02-10 16:22:55 | Weblog

トゲピー(飼っているヤモリ)の餌を探して

毎日昼休みに近くの大田黒公園に行く

大木の木の皮を剥ぐ

何枚も何枚も剥ぐと

中には木の皮の裏に小さく丸まった蜘蛛がいることがある

そっと小さいタッパウエアをポケットから取り出して蓋を開け

冬眠している蜘蛛を中に入れる

小さな小さな笑いがどこからともなく込み上げてきて

私の喉を震わす

その小さな喉の振動に自分自身で気づいて驚く

そしてその驚きに対してまた小さな笑いが喉を震わす

まるで自分ではないかのように

笑っている自分に気づいて笑う