幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 あなたを救いたい

2010-06-28 00:11:05 | Weblog

 
 
 あなたのことはすべてわかっている
 
 手に採るように
 
 こうすればこうなり、ああすればああなる
 
 全部わかっている
 
 
 そしてあなたがぼくをどうおもっているかも
 
 ずべてわかっている
 
 どのように同情し、どのように誤解しているか
 
 全部わかっている
 
 
 あなたの思っているぼくはぼくじゃない
 
 ぜんぜん違うのだけれど
 
 あなたの思う僕がどんな僕か自分でよくわかっているから
 
 あなたの気持ちもわかる
 
 あなたの感情もわかる
 
 
 そして、ぼくがあなたを救おうとしていること
 
 きっとあなたにはわからないはず
 
 
 あなたは僕を救おうとしている
 
 ぼくでない僕を救おうとしている
 
 そして、ぼくはあなたを救おうとしている
 
 あなたが思うあなたではないあなたを救おうとしている
 
 
 だから、和解はあり得ない
 
 
 和解はあり得ないのをわかっているから
 
 なおさらそうしたい
 
 
 お互いに理想のあなたになれるように
 
 今のあなたを救い出せるように願っている
 
 でも、それはぼくの理想ではないし
 
 あなたの理想でもない
 
 そんなことはわかっている
 
 わかっているからなおさらかわいそう
 
 おたがいにかわいそう
 
 
 だから
 
 もっとわかり合いたい
 
 そのためには
 
 あなたはぼくを忘れてはいけない
 
 ぼくに会わなくてはいけない
 
 ぼくに逢わなくてはいけない
 
 ぼくに合わなくてはいけない