幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 幸と不幸

2010-06-09 00:45:54 | Weblog

 
 
 眠りが明日を忘れることだとしたら
 
 なぜあなたは涙ぐむのか
 
 不幸の原因が湧きだす泉があって
 
 まるであなたはそこから水を汲んで飲まなければ
 
 死んでしまうかのように
 
 不幸と同居していると思っている
 
 
 日々、その日の不幸を味わうために
 
 明日を迎えているのだとしたら
 
 眠りは唯一の救いであり
 
 人生は眠りのようなもの
 
 それなのになぜ
 
 あなたは涙ぐむのか
 
 気を失って眠っていればいいではないか
 
 あなたにとって生は
 
 不幸なのだから
 
 
 幸運は道端に転がってやしない
 
 だれかが落とした宝石を拾うようには
 
 幸せを拾うことなどできない
 
 
 自ら作り出した幸福がなければ
 
 不幸な人生を嘆くしかないだろう
 
 簡単な足し算、引き算だ
 
 詩の介入する隙もない