本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

経典翻訳事業

2024-05-24 20:39:33 | 十地経

お釈迦さまが教えを説かれ

それを口伝えに伝えて

つまり「口伝」ですね、

それが文字になり

経典となって

今に伝わっている。

そういう形でお釈迦様の

教えに触れている

とても不思議な気がします

 

最初の頃は

お釈迦様も文字に書き写す

ことを禁じておられた

ようです。

そういえば、安田先生も

書くことはしなくていい

目を見てじっと聞きなさい

ということを仰って

おられました。

 

その言葉を文字にしていく

という、ですから

最初はサンスクリットで

それもデーバナーガリー

という原語で書かれたもの

それを葉っぱに書き写し

その葉を糸に通した

というものです。

それで「お経」という字は

経(たて糸)という字が

使われます。

 

そのインドの言葉を

中国語に翻訳したのが

今使っている経本になった

ということです。

 

その中でもやはり

一番有名なのが「玄奘三蔵」

三蔵法師です。

翻訳も大きく分けて

玄奘よりも以前に翻訳され

たものを旧訳(くやく)

といい、それ以後のもを

新訳といいます。

 

玄奘三蔵が勝れている

ところはただ個人として

訳したのではなく

プロジェクトチームを

作って翻訳したという

ことです。

そこに勝れている点がある

と思います。

 

そのプロジェクトチームは

9人編成です。

まず、

訳主(ここでは玄奘)が

正面に座し梵文を翻訳して

読み上げる。

その左に座した證義ショウギ

という人が訳主と共に

その梵文を批判調査する。

その右には證文ショウモンという

訳主が読み上げる梵文が

誤りがないかを調べる。

 

そして梵文を聞いて

梵分のままを漢字に写す

という梵学僧・書写ショシャが

いて、

文字を綴って句とする人が

綴文テツモンといいます。

それを訳した方がいいのか

そのまま使った方がいいか

のを検討する参訳サンヤク、

 

つまり「般若」という言葉

はプラジュニャーという

それを訳さずに

そのまま音写した言葉です

 

訳しても言葉がダラダラと

長くなってしまう言葉を

削って句の意味を定める

刊定カンジョウという役があり。

 

南面して、訳文を潤色

整えるという潤文ジュンモン

という人がいて

一つのお経が完成する

ということになります。

 

玄奘三蔵の訳が素晴らしい

のはこういう構成によって

翻訳が行われる

ということなのです。

 

さらに驚くべきことは

60歳になった玄奘が

大般若経六百巻の翻訳に

臨んだことです。

生涯かけて翻訳事業をやり

訳した経典は

約2000巻にものぼります。

自身の著書は一つもなく

ただ西遊記のもとになった

ものが一つあります。

 

これは時の皇帝から

資金援助を受けるために

玄奘が旅した行程の中

その訪れた国々の情報を

書き記したもので

それを弟子に書かせたもの

が「西遊記」のもとに

なったと言われています。

 

そういう沢山の方々の

努力の賜物が今のお経です

努々疎かに扱っては

ならないと思いながら

読んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

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