本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

あおによし奈良の京は 咲く花の にほふがごとく …

2013-10-18 20:08:27 | 住職の活動日記

 あおによし 奈良の京は

   咲く花の にほふがごとく

 いま さかりなり

 

という歌があります。

 

 「 あおによし 」 とは 「 奈良 」 にかかる

枕詞です。

 「 あおによし 」 は漢字で書くと 「 青丹 」 となります。

青や赤で彩られた都ということです。

 

 『 丹 』  という言葉が気になりました。

先日、水俣で 「 水銀被害根絶の宣言 」 が採択されました。

『 丹 』 という言葉は調べてみると、

① 赤色の土。 水銀と硫黄が化合してできているもの。

  「 丹砂 」。

② あか ( 赤 )。 あけ ( 朱 )。 あかい。

③ 赤く塗る。

④ 精製した薬。不老不死の薬。

というような意味があります。

 

 『 丹 』 という字は 「 水銀 」 をあらわしていました。

ということで、昔は宗教と丹 ・ 水銀は深い関わりを持っていたのです。

古墳に描かれた朱色は丹、水銀を用いていました。

お寺の赤い柱も朱色、水銀です。

赤という色は不思議な力を持っていたようです。

今でも、「 赤色の肌着 」 とか身に着けると

魔除けになるとか、力をいただくとか、

いろいろに言われているようです。

 

 また、奈良の大仏建立に際しては多くの水銀が用いられました。

鍍金 ( ときん ) という技術で、

金を水銀で溶いて大仏に塗り、そのあと炭火で水銀を蒸発させて

金を張り付けるという。

金メッキのような技術です。

ですから、大仏建立に際してはたくさんの方が水銀中毒で

命を落とされたのではないでしょうか。

 

 『 丹 』 という字がつく地名とかは

必ずと言っていいほど 「 水銀 」 が採掘された場所のようです。

弘法大師も高野山を開かれるとき、

「 高野明神 」 またの名を 「 丹生明神 」 ( にゅうみょうじん )

をお祀りしておられます。

それによって水銀を扱う一族の方々は巨大な富を得た、

ともいわれています。

古代の文化、経済を支えた側面に 「 丹 」 水銀があった

ということも忘れてはならない事実です。

 

 水俣病という水銀中毒の問題も経済繁栄の

裏で苦しんでいる人たちのことを忘れてはいけない

また、世界中ではいまだに水銀で苦しんでいる人たちが

経済優先の中で命を削っておられることを

しっかりと認識しておかなければいけないと思います。

 

 『 丹 』  という水銀の歴史も

あらためて見つめなおすといろいろ面白い

ことがわかってくるようです。

 今話題の 「 お伊勢さん 」 、

お伊勢参りのお土産として一世を風靡した

「 伊勢白粉 」 ( いせおしろい ) も

水銀と深く関係しているようです。

 

 水銀といっても、まだほんの入り口しかわかっていませんが

いろんな側面を持っているようです。

 

 折に触れて、調べていきたいと思っています。

 

 

 

 

 

コメント
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