あおによし 奈良の京は
咲く花の にほふがごとく
いま さかりなり
という歌があります。
「 あおによし 」 とは 「 奈良 」 にかかる
枕詞です。
「 あおによし 」 は漢字で書くと 「 青丹 」 となります。
青や赤で彩られた都ということです。
『 丹 』 という言葉が気になりました。
先日、水俣で 「 水銀被害根絶の宣言 」 が採択されました。
『 丹 』 という言葉は調べてみると、
① 赤色の土。 水銀と硫黄が化合してできているもの。
「 丹砂 」。
② あか ( 赤 )。 あけ ( 朱 )。 あかい。
③ 赤く塗る。
④ 精製した薬。不老不死の薬。
というような意味があります。
『 丹 』 という字は 「 水銀 」 をあらわしていました。
ということで、昔は宗教と丹 ・ 水銀は深い関わりを持っていたのです。
古墳に描かれた朱色は丹、水銀を用いていました。
お寺の赤い柱も朱色、水銀です。
赤という色は不思議な力を持っていたようです。
今でも、「 赤色の肌着 」 とか身に着けると
魔除けになるとか、力をいただくとか、
いろいろに言われているようです。
また、奈良の大仏建立に際しては多くの水銀が用いられました。
鍍金 ( ときん ) という技術で、
金を水銀で溶いて大仏に塗り、そのあと炭火で水銀を蒸発させて
金を張り付けるという。
金メッキのような技術です。
ですから、大仏建立に際してはたくさんの方が水銀中毒で
命を落とされたのではないでしょうか。
『 丹 』 という字がつく地名とかは
必ずと言っていいほど 「 水銀 」 が採掘された場所のようです。
弘法大師も高野山を開かれるとき、
「 高野明神 」 またの名を 「 丹生明神 」 ( にゅうみょうじん )
をお祀りしておられます。
それによって水銀を扱う一族の方々は巨大な富を得た、
ともいわれています。
古代の文化、経済を支えた側面に 「 丹 」 水銀があった
ということも忘れてはならない事実です。
水俣病という水銀中毒の問題も経済繁栄の
裏で苦しんでいる人たちのことを忘れてはいけない
また、世界中ではいまだに水銀で苦しんでいる人たちが
経済優先の中で命を削っておられることを
しっかりと認識しておかなければいけないと思います。
『 丹 』 という水銀の歴史も
あらためて見つめなおすといろいろ面白い
ことがわかってくるようです。
今話題の 「 お伊勢さん 」 、
お伊勢参りのお土産として一世を風靡した
「 伊勢白粉 」 ( いせおしろい ) も
水銀と深く関係しているようです。
水銀といっても、まだほんの入り口しかわかっていませんが
いろんな側面を持っているようです。
折に触れて、調べていきたいと思っています。