朝から冷たい小雨が降ったり止んだりの徳島県阿南市です。
こうも悪い天気が続くと「酒が呑める」とばかり喜んでいられずちょっとうんざりしてたんですが・・マレーシアのヨットに戻っているラー三世の金田氏からスカイプで呼び出しがありました
ヨットの整備に何時も一緒にいた奥さんを置いて一人でマレーシアに行った金田氏ですが整備も終わり朝から酒を飲む生活になって「早めに日本へ帰る」決心をしたそうです。
先日平田影郎氏のHP(掲示板)を見て改めて思ったんですが「有り余る時間」特に退職後の数十年を過ごす計画を立てるのは早くから準備する必要があります。
早期退職をした僕や金田氏はヨットで海外をクルージングすることに数年を費やしています。
少ない予算で年金がもらえる時まで愉しく過ごすにはいい考えだったと思っていますが海の生活は好き嫌いもあって誰もが夫婦揃って出来ることではありません。
(本当は誰にでも簡単に出来ることなんですが・・)
ただそれを最初に持っていった僕の考えは「体力に応じて」「七年を基準」に計画を立てました。
僕も今60を前にして恐れていた以上に体力があることを喜んでいますが長い退職後の生活を「常に体力と気力の限界」に近い計画を立てることが喜びを感じられ愉しい生活が続けられる一番簡単な方法だと思います。
体力が要らない遊びは後に送って限界に近いことから順番に計画をたてないと後悔するように思うのです。
退職人生を18年過ごしてきて思うのは、一生懸命でなければ出来ない事は時に苦しく億劫な時もあるけれど、本当の愉しさはそんな中にあるとおもいます。
僕もついつい「楽な道」を選んでしまいがちです。でもそうして後に残るのは「虚しさ」でした。 頑張って精一杯の日々を過ごしましょう
そういう僕も実はここ数日テレビを見てしまうんですが
今日は天気も悪く出かける事ができないので先日から書いているサスペンスの続きを文章にしてみました
第3章目となってきました。素人が書く文章ですからつまらないと思いますが趣味とは言え一生懸命考えて書いています。 興味があれば読んでください
3章
安藤建設の常務取締役総務部長 岡田俊好が夕闇迫る岐阜県大垣インター近くの名神高速道路上で死んだ。
岡田は車が好きで一年余り前に追加発売されたクラウン三代目モデル50系2ドアハードトップを運転していた。
50系は4ドアが主体だが輸出を考えてアメリカの安全基準の殆どを達成、高級感とスポーティさを兼ね備えたデザインは「白いクラウン」の宣伝効果も効いて日本市場の6割を占めた名車だった。
今後増えていく高速道路時代を意識してシャーシー形状からトヨタが作り直したこの車を岡田は気に入り自慢していた。
東京出張も新幹線や飛行機を使わず車にしたのはそのような一面からであった。
安藤建設では半年の間に社長と総務部長の相次ぐ事故でパニック状態になった。
総務部長の岡田は前社長や現社長と共に安藤建設を基礎から作り上げた安藤の片腕であり「奥」と内外共に認める事務方のトップなのだ。
前社長安藤の信頼も絶大で信頼に応える努力家でもあった。
総務の仕事は多岐に渡る。建設会社の場合、現場職、営業職、事務職と簡単に三つに分けることが出来、常に会社に居て現場や営業の職員が働き易い環境をつくる役目で金銭の管理も任されている。
株式上場会社などでは株主総会の場合に総会屋の手配や折衝もするので暴力団との繋がりが噂に上る部署でもある。
上場していない会社でも工事現場の近隣住民の苦情処理や賠償などで暴力団が関係することは多い。
会社と言うのは全てが全てを公に出来ない要素を持っている。 脱税などで世間の非難を浴びる会社は多いがそれは氷山の一角でしかない。
資本主義社会で生き抜く為にはどんな会社にもイザという時の「隠し玉」は必要で帳簿に出せない裏金は絶対に必要である。
殆どオーナー会社と言える安藤建設の場合、それら裏金をどのように保管しているかを知っているのは総務部長の岡田と前社長の安藤だけだったから問題は大きかった。
想定金額は一億円かそれ以上。 経済成長に沸き大卒初任給が4万円になったとは言え葉書が7円の時代である。
岡田自身まさかそのような事故を起こすことは考えもしなかったし、紗枝も後任社長もすぐに必要で無い裏金について詳しく聞く必要もなく今になっていた。
事故の見解は警察の調べでスピードの出しすぎによる運転操作のミスと発表された。
花嫁修業中の多恵にも事故の知らせは届きショックだった。 岡田は何度も家に来たことがあり幼いときから知っていた。
何度も遊んでもらったり勉強を教えてもらった記憶もあった。
オンナには男が及びもつかない「直感」がある。
そしてその直感を真実のように信じる事が出来るのが女であり、それ故に僅かな時間の見合いなどで結婚と言う他人の家に飛び込んで行く大きな決断が出来るのだ。
時にそれで失敗しても一般に女はどのような場合も挫けず、いつの間にか自分の城を築いてしまう。
女にじっと見られたり、突然に他の女の話などを真剣な顔で持ち出されると何も無くても男は慌てて弁解したりする。
何しろ思い込みが激しいからどんな攻撃を仕掛けてくるか解らない。女と言う計りきれない生物がそうと解ると殆どの平和主義者の男は内心常にびくびく暮らしている。
そんな直感を若い多恵も持っていてこれが「単なる事故でない」と告げていた。
だがそれが誰なのか、どのようにして事故に見せかけたのか思いつかない。 歯がゆい焦りを感じた。
とりあえず葬儀に出て参列者の顔を見ることで何かのきっかけを掴もうと考えた。
事故と判断されたのだから敵も安心して顔を出すと思うがこれも直感が頼りだった。
小夜も店にでて岡田の事故を聞いた。 安藤の事故も含め安藤建設に何かが起きている。驚きと共に小夜は事件だと確信を持った。
次々訪れる客の殆どが相次ぐ安藤建設の不運話や先々の予想をしていた。 一人娘の結婚話しにまで進み推理好きの幼顔の青年は面白おかしく完全犯罪を口にしていた。
事故死として片付けられているうちの二割以上は殺人で完全犯罪を狙うなら事故死を装うのが一番簡単なのだとその青年は言った。
それだけ話題になる会社だったし、小夜の店の客は岡田や安藤建設を知っている人が多かった。
高知から出てきて特別な苦労も無く生活出来ているが夜の世界に七年も居ると世の中の汚さや人の業に接する機会は多い。
が今まで人を疑いの目で見たことは無かった。 まして人殺しなど
岡田は店の常連でもあったから当然葬儀に行くことになる。
小夜も参列者を観察すれば事故として片付けられた二つの事件の糸口が掴める様な気がした。