喜多院法興寺

住職のひとりごと

阪神大震災から17年まだ心の傷癒えず

2012-01-17 06:28:15 | Weblog
1月17日付 編集手帳 読売新聞
 {タマネギに涙はつきものである。〈 玉葱 ( たまねぎ ) の皮 剥 ( は ) ぐ時に 易々 ( やすやす ) と人にも見せて涙ながせる〉( 富小路禎 ( とみのこうじよし ) 子 ( こ ) )。別に理由があっての涙を、タマネギにこと寄せて流した経験は歌人に限るまい。
◆17年前の1月16日、兵庫県芦屋市の 米津漢之 ( よねづくにゆき ) 君(当時7歳)と 深理 ( みり ) ちゃん(同5歳)は生まれて初めて、翌日の夕食用に二人でカレーを作った。兄と妹はこの記念すべき合作のカレーを口にすることができなかった。二人は翌朝の地震で亡くなる…
◆「私には会ったことのない兄と姉がいます」。2年前、震災の追悼式典で小学6年生・12歳の米津 英 ( はんな ) さんが挨拶した。「わが家では毎月17日にカレーを食べます」。今夜もそうだろう。
◆阪神大震災からきょうで17年になる。歳月は流れても、親御さんの耳には幼い二人がはしゃぎながら料理をする声がいまも聞こえるであろうことを思うとき、タマネギをむくお母さんの目頭は想像するまでもあるまい。
◆カレーか、ハンバーグか、亡きわが子の好物で献立を考えているお母さんは多いことだろう。1月17日のタマネギは、3月11日のタマネギは、普段にまして目に染みるはずである。}

 17日は1995年1月の阪神大震災から17年が経過した。その時の犠牲者は死者6434人、負傷者4万3792人を出した。県などが主催する追悼式典は、神戸市中央区の人と防災未来センター慰霊のモニュメント前で行われる。今回は東日本被災地に復興のエールをおくるイベント「東日本大震災絆の発信」も開かれる。17年も経過した阪神淡路大震災の、心の傷は今もなかなかぬぐえない。しかし希望の火が着実にともつている。今日の編集後記を見て、涙が止まらなかった。